リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

163. 15回目のドイツ旅行(11)「ウルムの美女」と大聖堂

2019年01月10日 | 旅行

▶︎15回目のドイツ旅行(11) 「ウルムの美女」と大聖堂


ウルム大聖堂


ウルムのホテル探し

 9月16日(日)の続きです。

 ブラウボイレンからウルムに入りましたが、ホテルの位置がなかなか特定できません。ヴィリーはナビを使うより自分の感覚で運転したい人なので細かい住所には対応しにくいのです。大聖堂近くのホテルなのですが、一時停車した場所と私がプリントアウトしてきたホテルの地図との照合がうまくできず、皆に待っていてもらってあちこち走り回り、ようやくホテルとの位置関係がつかめました。ホテルに取りあえずトランクを預かってもらって、少し離れたところにあるという民間駐車場へ。でもここから駐車場への行き方がまた複雑でわかりにくく、結局、大聖堂の裏側にある駐車スペースに潜りこみました。ちょうど1台分だけ空いてて良かった!

 近くのレストランで簡単に昼食をとりましたが、ヴィリーはここでもすぐ側にいる若者たちに「どこか良いレストランは無いかな?」と聞いて「日本食の美味しいレストランがありますよ」と情報を得ていたのでした。こうしたポジティブな人柄はヴィリーの大変な長所だと思います。そこで、夕方待ち合わせてそのレストランに行き、ドライブのお礼にご馳走することにしました。二人はアンゲリカが見たいというモダン美術館へ、私たちはウルム美術館へと一端別れました。明日の月曜日は休館日なので今日のうちに「ウルムの美女」を見て写真を写しておきたかったのです。

*「ウルムの美女」は『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の152頁に掲載してあり、正式名称は以下のとおりです。

 Reliquienbüste der Heiligen Maria Magdalena, sogenannte „Schöne Ulmerin“ 聖遺物胸像、聖マリア・マグダレーナ、いわゆる「ウルムの美女」  


ウルムの美女との再会

 ウルムまで来た目的の第一は、この「ウルムの美女」をじっくりと見ることでした。前回は展示準備中で閉まっていた部屋をご好意で特別に開けていただき、急いで見ただけに、もう一度ゆっくり彼女と対面したかったのでした。やはりミッヒェル・エアハルト作の「ウルムの美女」は見応えがありました。特に洋服の腕や頭のかぶり物の彫刻が見事です。ちょっときょとんとしたような目は美人というよりはチャーミングといったほうが合っている気がします。この美術館には他にもハンス・ムルチャーの作品が多くあり、見所たっぷりです。でも内部の部屋の位置関係が複雑で、2回目なのに結構迷いました。途中で、ここはモダン美術館と繋がっているのだということがようやくわかりました。だから共通券も売っていたのですね。ヴィリーとアンゲリカとは出会いませんでしたが。

 夕方、ヴィリーとアンゲリカとホテルの近くで待ち合わせ。旧市街を通りぬけ、新市街へ向かって歩いて行くと、まだまだ木組みの家も残っていて、趣のある教会もあちらこちらに見かけました。着いたレストランの名前はSakura Sushi。旧市街中央からは十数分歩きましたが、とても落ち着いた清潔感のあるレストランで、しかもお寿司もおいしくてリーズナブルでした。お薦めです。住所は、。興味のある方は検索してみてください。


世界一高い大聖堂

 翌9月17日(月曜日)は、ウルム大聖堂で撮影をしました。これが二つ目の目的です。以前来たときには堂内が暗いのに三脚を持っていなかったため、写真はすべてぼけてしまっていました。ですから今回は三脚を持ってきたのです。

 ここにはハンスムルチャーの有名な「キリスト受難像」(ただし入り口の像は石膏で作られたレプリカで、教会内部にあるのがオリジナル。写真・下)があります。また祭壇の前の聖職者用椅子には、たくさんのミッヒェル・エアハルト(一部、入り口近くの3体はイェルク・ジュルリーン作。彼は椅子そのものを彫っているようです)の胸像彫刻があります。面白かったのは、片側に女性の胸像、反対側に男性の胸像が並んでいることです。女性は預言者で10体、男性はギリシャやローマの詩人・哲学者・弁士など8体だそうです。一つ一つの表情も興味深く、中には女性なのか男性なのか悩むものもありましたが、並びから見るとキリッとした女性のようです。

*以上、大聖堂パンフレットによる記述を元に書きましたが、誤訳の可能性があることをお断りしておきます。


 三脚で角度を変えながら写していると、「あなたは許可を取ってから写すべきですよ」とある男性から注意されてしまいました。そういった表示は見かけなかったので驚いて受付に行くと、撮影料として15ユーロを払い、しかも身分証明書を預けないといけなかったのだそうです。パスポートは部屋に置いてきてしまったのでホテルのキーをかわりに預けたら何とかOKしてくれました。ずいぶん厳しいものです。でも一端支払っておけば首からぶらさげるカードのようなものをもらえたような気がしますが、翌日でも撮影できると言われたので、本格的に撮影を続けたい人にはある意味ではありがたいルールなのかもしれません。

 正面の祭壇中央部分もイェルク・ジュルリーンとミッヒェル・エアハルト作となっています。宗教改革の聖画像破壊で大分壊されてしまい、辛うじて残った扉やプレデラ(元は個人蔵だった祭壇の)を取り付けてまとめたと書かれていました。



女性の並びにあった「きりっとした胸像」


 ようやく気が済むまで撮影してから、翌日の下見でウルム駅まで行ってみました。来るときにはヴィリーが車で運んでくれた重たいトランクも、明日は自分たちでころがしながら駅まで歩かなければなりません。駅周辺は工事中でしたから、下見をしておいて良かったと思いました。駅のフードコートにアジアンレストランがあったので、結局そこで昼食。ヴィリーたちと一緒の時は純粋にドイツ料理を取りましたが、二人になるとシュッとアジア食に戻ってしまいます。もうグルメの時期はとうに過ぎてしまって、お腹に慣れ親しんだ食べ物をとりたくなるものなのですね。


 午後はライン川まで出て、ゆっくりと散策しながら近くの景色を楽しみました。こんな素敵な家もありました。


※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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