リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

319. 17回目のドイツ旅行(47)大失敗の最終日、無事に帰国です。

2023年03月02日 | 旅行

▶今日は帰国の日



ビンゲンの町


▶帰国前に行きたいところとはBingenという町でした。

 ウルム博物館で買った「Einer Kathedrale würdig Das Meisterwerk des Bingener Altars」(聖堂にふさわしいビンゲン祭壇の名作 写真・下)というカタログがあります。このビンゲン祭壇の祭壇画は Bartholomäus Zeitblom という画家によって描かれたそうです。バルトロマイ(バルトロミオス?)・ツァイトブロムはネルトリンゲンで生まれ、ウルムで画家として活躍し、この祭壇をニクラウス・ヴェックマンとイェルク・ジュルリーン(息子)と共に制作したそうです。ヴェックマンはダニエル・マウホの師匠です。






 このカタログにある祭壇の写真を見て2人とも興味を持ち、Bingenってどこだろうと調べてみたらフランクフルトから1時間弱で行けるようなのです。それで、「せっかく半日以上動ける時間があるのだからこの祭壇も見に行ってみない?」と言ったのは私でした。飛行機は午後7時40分発ですから午後5時ごろまでに空港に着いていれば大丈夫です。「それじゃぁ行ってみようか」ということになりました。教会の住所がわかれば駅からの地図も見られたのですが、カタログを見た限りでは見つからず、現地で聞いてみるしかなさそうです。当たって砕けろの訪問でした。


◆2022年10月19日(水曜日)9062歩
 夜中、何となく気持ちが悪くなって3回も目が覚めました。朝6時半頃起床すると喉に違和感と痛みがあり、喉風邪の症状は今日の方が強いようです。
 昨夕の町歩きの怖さから朝食のパンも2人で買いに行きました。
今朝は毛布にくるまった男性が4~5人歩道に転がって寝ています。前回は誰もホテルの前に寝てはいませんでした。これから寒くなったらどうなるのだろうと気がかりです。
 朝食後、梅干しを食べ、漢方薬も飲んでおきました。

 このあと最後のトランク詰めに手間取り、「何時の列車に乗るんだ」と三津夫に聞かれてもはっきり答えられない状態でしたが、ようやくパンパンのトランクのチャックを閉めることができて受付に預けて出発。9時15分の列車に乗ることができました。
 私たちの行き先は Bingen(Rhein) Hbf で、列車の終点はコブレンツです。この列車が10分遅れでやって来た上に途中でも少しずつ
遅れて11時頃やっとビンゲン中央駅に着きました。この駅がまた何と寂しい感じの駅でしょう。駅の周りは工事中で殺伐としていました。教会への行き方を聞く場所もありません。どうやらここから大分歩かないと市街には出られそうもないとわかり、歩き出そうとしたところへバスが1台やって来たのでビンゲン祭壇の写真を見せて「これを見たいのですが」と言うと、「町に着いたらインフォメーションがあるからそこで聞きなさい」と言いながら乗りなさいという合図。感謝しながら乗せてもらいました。でも料金は取られませんでした。親切な運転手さんに会えて良かった。

 町のバスターミナルで下ろしてもらってインフォメーションの場所を聞くと結構距離があるようです。迷いながら、周りの人に方向を何度も確かめては歩き、やっとインフォメーションにたどり着くと、若い女性がパソコンで検索してくれて「この祭壇はこの町ではなく違う Bingen にあるんですよ」と言われてしまいました。あら~、ガッカリ。当たって砕け散った大失敗の巻でした。正しい町の名前と教会名を書いてもらったら以下の通りでした。

 Bingen/Hohenzollern, Weis Sigmaringen , Pfarrkirche Maria Himmelfahrt

ホーエンツォレルン城はシルヴィアやヴィリーたちと一緒に訪ねたことがありますが、どうやらその地域のようです。ここにはまたの機会に訪ねたいと思いながら帰り道をとぼとぼ歩きました。その時の景色がトップと下の写真です。

 帰りの電車も遅れて大分待たされたので少々心配になってきた頃、やっと来ました。これで取りあえずフランクフルト中央駅まで戻れそうだとホッとしました。大失敗もこれで何とか笑い話にできます。


ビンゲン駅で。私はアンゲリカが送ってくれた上衣を着ています。
 運動靴は啓子さんから頂いた靴です。本当にありがとう!

 フランクフルト中央駅で、ホテルに戻る前にフードコートで焼きそばを食べ、ホテルに着いてからも図々しく珈琲を飲んでトイレも使わせてもらって、トランクを引き取りました。
 でも、こうしてバタバタ走り回っているうちに体の症状も落ち着き、帰りの飛行機でも気分が悪くなることもなく過ごすことができたのはけがの功名でしょうか。


▶最後の空港で苦労したこと

 いつもはトーマスが出発ターミナル2の真ん前まで車で送ってくれていたので、自分たちの足で空港まで帰る経路をすっかり忘れていて少々ドギマギしました。S バーンに乗って空港駅で下車し、久しく乗ったことのないモノレールにも乗り、ターミナル2に何とか着いてまずは一段落。
 飛行機にも空いているうちにチェックインしようと思ったのですが、どこにも JAL のマークが見つかりません。まだ早すぎて窓口が開いていないのでした。しばらくベンチに座って日記を書いたり飲み物を買いに行ったりしながら時間を過ごし、チェックインが始まってからトランクをベルトに乗せたら何と私のトランクが重量オーバー。三津夫の方はまだゆとりがあったので、恥ずかしながら脇の床に2つのトランクを広げて調整する始末。何とかこれで大丈夫だろうと再度量ってもらったら無事OKとなりました。あとは飛行機さえ飛んでくれれば多分日本に戻ることができます。


フランクフルト空港の出発ターミナル2 JAL はDのカウンターです。


◆2022年10月20日(木曜日)6319歩
 機内で日付が変わったので最終日の帰国時の手続きについても少しだけ書いておきます。

 日本時間の午後3時40分頃無事成田空港に着陸しました。残る心配は帰国時のコロナ関係の審査です。表示に従いながらいつもよりずっと長く歩き、まずMy SOSがある人が先に分かれていき、それ以外の人はQRコードをこれから作る人、もう作ってある人で分けられ、私たちは後者だったので青い用紙をもらって歩き続けました。入国用のコロナチェック窓口までまた少し歩きましたが、熱を出したことも咳が出ていることも記入した上で見せたQRコードに「心配したでしょう」と、かえって慰労されて済んだのでホッとしました。その後はトランク受け取りまである意味とても順調に流れました。帰国前のストレスは一体何だったのかと思うほどでした。おそらく今はもっと簡単になっていることでしょう。


 これにて私たちの17回目のドイツ旅行47日間の記録は終了です。
 私たちがこの旅行中に訪問した施設を数えながら書いてきましたが、見直してみたら数え忘れていたところがあったり、番号を付け忘れて飛んでいるところがあったりしたため、書き直しました。その結果、以下のようになりました。

 訪ねた教会・修道院:57か所 
    美術館・博物館:30か所

 ちなみに旅行中に歩いてカウントできた歩数の合計は42万9496歩でした。
 

 もしこうした教会や博物館に行きたい方がいたら少しでも参考になれば…と思いながら長々と
書いてきました。読むのも大変だったことでしょう。お疲れさまでした。ここまで読み続けてくださった方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

 また、記事に関して何かご意見やご異議、ご質問などがある方は以下の頁に連絡先を書いてありますのでご連絡いただければ幸いです。

 274. 17回目のドイツ旅行(2) 新聞記事の翻訳です。

 
*今後、海外旅行を計画されている方へ

 皆さんの旅もどうか順調でありますように。
 世界の情勢が少しでも早く落ち着いて、皆が安心して旅行ができるようになりますように。
 

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2023  Midori FUKUDA

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

318. 17回目のドイツ旅行(46)トーマス、ルースと再会できました

2023年03月01日 | 旅行

▶今日は旅の最終地、フランクフルトに向かいます。



バート・ヴィルベルにて

 

▶今日はフライブルクからフランクフルトまで移動します。

 トーマスから今回の宿泊は無理だと連絡が入ったときに、前半の旅で泊まったフランクフルトのホテルにはまだ空きがあったのですぐ1泊分の予約を入れておきました。他のホテルでは駅に近いところは全く予約が取れなかったからですが、それにしても初回の宿泊費の2.7倍もしたのです。行ってみてその理由がわかりました。この時期は近くのフランクフルト・メッセで本の見本市が開かれていたのでした。それで他のホテルも満杯だったのですね。需要と供給の関係はシビアなものです。

◆2022年10月18日(火曜日)6417歩
 6時半に目覚め、支度をして食堂に下りました。今日もまた朝食を食べて17ユーロずつ払いますというサインを求められました。でも一通りのおかずを取ってパンと一緒に食べたらそれ以上もう食べられません。ゆっくり珈琲を飲みながらも「2日間で68ユーロはやっぱり高いなぁ」とつくづく思ってしまいました。

 8時56分の ICE に乗って11時過ぎにはフランクフルト中央駅に着きました。まだ早めではありましたがチェックインできました。でも部屋は広いのに大きな旧型ストーブがデンと置かれています。2つのトランクを広げるにはスペースが取れないので、戸棚を1つ諦めて、その前に広げることにしました。お風呂場は広く、昔はなかなか豪華な部屋だったのではないかと思われますが、トイレの陶器にはヒビが入り、何とも侘しく感じました。最初に泊まった部屋はここまでではなかったのですが。駅から近いことだけは利点です。

▶トーマス、ルースとの再会

 今日はこのホテルのロビーでトーマス、ルースの2人と会う約束をしていました。ロビーは広々としていて椅子もきれいだったので、ここならゆっくり話せそうと思ってのことです。着いた時にロビーを見回すと、前回は気づきませんでしたが無料で珈琲やケーキを飲食できることがわかりました。なかなか親切なホテルではあるのです。部屋に荷物を置いてから一度ロビーに下りてみました。少し珈琲で喉を潤し、ケーキと林檎ももらって部屋でゆっくり休みました。そしてまずはトーマスたちに渡すお土産を準備しました。

 午後2時少し前にロビーに下りたらソファーが埋まっていて、脇のテーブル席しか空いていませんでした。まぁ、仕方がありません。窓の外を見るとちょうどホテルの真ん前にタクシー乗り場があって、ひっきりなしにタクシーや一般車が来ては止まり、出ていきます。2人が車で来たらなかなか停車できないのではないかと心配になりました。外に出て姿を見せていた方が車で来たときにわかりやすいかもしれないと、しばらく2人で外に立ってみました。すると遠くから手を振る人がいます。ルースです。その後ろからゆっくり歩いてくるトーマスの姿が見えました。歩けるんだと嬉しくなって急いで走り寄りました。右手に杖を持ち、シャキッと立ち止まったトーマスとルースとかわりばんこにハグを交わして3年ぶりのご挨拶。

 ロビーに入ると幸いソファー席が空いたので、そこでお互いの近況報告とお土産の交換をしました。トーマスとルースからはアンゲリカから届いた上衣の箱、大きな蝋燭、チョコレートと、最後に「MODI ORANDI SANCTI DOMINICI  ROSS.3 (1)」と書かれた聖書の復刻版のような本を渡されたのでした。ずっしりと重く、トーマスの話ではこの本には貴重な歴史があるようなので、キリスト教信者ではない私ごときが持っていては申し訳ないと言ったのですが、彼は「僕が持っていても仕方がないので緑に持っていて欲しいんだよ」と言うのです。困った…。取りあえず日本に持ち帰りましたがどうしたものかと悩んでいます。
 私たちからのお土産は『結・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』と、お煎餅と、彼らが大好きな緑茶です。日本から持ってきた写真集新刊13冊が全部直接手渡しできて本当に良かったと思っています。トーマスが目を細めてこの大天使ミカエルの表紙を見ながら「5冊の中でこの本に王冠をあげるよ」と言います。一番できが良いという意味だそうです。三津夫は「この表紙、僕が選んだんですよ」と喜んでいました。
 いただいたお土産を急いで部屋に一旦納めて、
ルースの案内で駐車場へ。そこはホテルから数分の大きな駐車場でした。こんな駐車場がすぐ近くにあるとは知らずに無用な心配をしたものです。

 ルースの運転で、以前にもよく出かけたバート・ヴィルベルのレストランに行きました。建物の壁が真っ赤な蔦で覆われていると思ったら葡萄の葉なのだそうです(写真・下)。葡萄がこれほど紅葉するとは知りませんでした。



バートヴィルベルのレストランで


バート・ヴィルベルは美味しい地下水で有名です。トーマスが頭に手を置いている男性像がその発見者だそうです。よく似ていること!


「しっかり歩いて筋肉を取り戻す」と意気軒昂なトーマスと、いつも優しいルースと。


 遅めの昼食をご馳走になり、お腹がいっぱいになりました。その後少し町を散歩しながら「来年もまた来るわね」と伝えました。トーマスとルースが日本に来てくれたら今までの24年間にわたる友情と親切にお返ししたいものですが…。
 今日はこのあと列車でフランクフルト中央駅まで戻ってきました。二人の元気な姿が見られて本当に良かったと思える1日でした。

 今日中にトランクをまとめておかなければならないので、日本へのお土産を買いにスーパーに行こうと REWE を探しながら歩きました。すると細い路地をびっしりの人波の中で黒人さんがぐるっと私たちを取り囲んで歩いている時間があり、三津夫は危険を感じたそうです。特に私がぶら下げていたバッグが大丈夫かどうかと…。幸い何とかスーパーが見つかり、急いで家族や友人たちへのお土産を買い込んで、今度はできるだけ広い通りを選んでホテルまで戻りました。いつもはトーマスが連れて行ってくれる郊外の REWE でゆっくりお土産を選んで帰るのですが、中央駅での買い物は今後はやめようと心に刻みました。

 明日は帰国の日です。でも、ちょっと寄っていきたい町が出てきたのです。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2023  Midori FUKUDA

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする