▶今日は雨の一日でした。
❤ハンス・ラインベルガーの「休むキリスト」
◆2019年7月31日(水)まずはモースブルクへ。
朝起きたら雨でした。うっかり充電していた小さいデジカメ(チビデジと呼んでいます)を忘れて出発。私は一眼レフで作品を写し、チビデジで館内カード、建物、主立った目印やちょっとした面白いものなどのスナップを撮りわけているのですが、こういうときは教会を写しわすれたり、駅の写真を撮り忘れたりすることが多いので、あとからガックリするということも。気をつけなければ。
モースブルクへはランツフート中央駅からニュルンベルク行きで一駅目。たった5分で到着です。これがしんどいスタートとなりました。三津夫は列車内でトイレに行くことができましたが、私は行く暇がなかったのです。
モースブルクの聖カストゥールス大聖堂には2016年に箭本啓子さんと3人で来たのでしたが、その時にはハンス・ラインベルガー作の祭壇ばかりに注目していて、祭壇横に並んでいた4枚のレリーフに目が行きませんでした。今日は、あのとき気が付かずにいたハンス・ラインベルガーの浮き彫りと、さらに磔刑像、ペストのための奉納石碑の3点をしっかりと見に来たのです。
祭壇の手前には柵があって中に入ることができません。祭壇両脇のレリーフはすぐにわかりましたが、壁が斜めになっているため真っ正面からは写せませんでした。そしてどうしても遠目からの撮影になるので、もう少し性能の良い望遠レンズでないと詳細が写せないなぁと思いながら撮影していました。そうこうしているうちに次第にトイレに行きたくなってきました。雨の中の教会は冷えるのです。困った。ドイツの教会にはあまりトイレがありません。ちょうど掃除に来ていた若いお兄さんに三津夫が見たがっていた磔刑像と「ペストのための奉納石碑」(下の写真)はどこにあるのかと尋ねたところ、さらにもう一点磔刑像があると全て教えてくれたので、レリーフを写した後、3点の写真を撮りました。10時過ぎから約1時間、何とか撮影を終えた頃にはトイレのがまんができなくなり、三津夫はお腹も空いていないのにと機嫌が悪かったのですが、教会前のカフェに飛び込んで、取りあえず注文をしてからトイレに駆け込みました。今回の旅の中でも一番の危機でした。
❤ハンス・ラインベルガーの「ペストのための奉納石碑」
❤ハンス・ラインベルガー(1510) モースブルク、カストゥールス大聖堂
撮影:福田三津夫
◆ようやくランツフートの町を歩きました。
ランツフートは、中世彫刻家の中でも作品の多い一人、ハンス・ラインベルガーの工房があった町です。この町にアパートを借りたものの、毎日のように出掛けていてなかなか町の探索ができませんでした。ちょうど予定していた今日は生憎の雨。雨合羽を羽織っていても心の中まで冷たく沁みてくるような雨でした。モースブルクから電車で戻り、中央駅から歩いてニコライ教会へ。どこから入るのかと探しているとようやくドアが見つかりました。しかし、あまりにも新しい造りの教会で、私たちが探しているような500年前のキリスト像が見当たりません。奥はさらにドアがしっかりと閉まっています。押してみても開きません。どなたかいれば鍵を開けていただこうとあちらこちら探して歩きましたが、工事をしている人はいても教会の関係者らしき人は見当たりません。念のためもう一度ドアを押してみたら、何だ、ちゃんと鍵は開いていたのでした。先ほどはちょっと恐る恐る開けたので力が足りなかったのかもしれません。ずいぶん時間を無駄にしてしまいました。
静かな聖堂に入るとハンス・ラインベルガーの「休むキリスト」(写真トップ)がありました。さんざん鞭打たれ、荊の冠を被った状態でこのように休むことができたのだろうかとは思いますが、ラインベルガーは何体か、同じように座っている傷ついたキリストを作っています。写真集第3巻にはボーデ博物館のキリスト像(1525頃の作)を載せました。ラインベルガーの彫るキリスト像は筋骨逞しく、リーメンシュナイダーとは全然違った雰囲気です。特にごつい足はみごとです。ただ、このランツフートのキリストは1520年以前の作で、ボーデ博物館にあるキリスト像よりは筋張っている感じがします。何故かラインベルガー作の他のキリスト像(写真・上)も結構骨張っているので、ボーデ博物館のキリスト像が特に筋骨逞しかったと言えるのかもしれません。
ここから旧市街までは結構あるので、もう一度駅まで戻り、バスで乗って行くことにしました。28日に通った道です。旧市街で下車してまずは市立博物館に行きました。ここにもラインベルガーがあるはずなのですが、受付のお兄さんは無いといいます。取りあえず見てみてくださいと切符も買わないままで入らせてくれました。ついでにトイレに行かせてもらって助かりましたが、隅々まで探してもやはり彫刻は見つかりませんでした。仕方がないのであきらめて聖マルティン教会でこちらも逞しい聖母子像を見ました。中はこちらも工事中。鉄骨が張り巡らされた中で大きなマリア様ににらみつけられるように感じます。私としては珍しく緊張しながら写しました。この写真は第4巻に載せますが、マリア様の裾の襞が素晴らしく彫られていて、その中に小さな天使が見え隠れしているという他には無い特徴を持っています。
このあと他にも聖霊教会でラインベルガー周辺作家の「マリアの戴冠」を見て回り、BIO Markt(有機農産物のお店)に寄り、スパゲティと野菜を買って宿に戻りました。それほど遠くないと思っていたのですが、結構歩きました。14,089歩。
この日の夕食は三津夫が美味しいスパゲティを作ってくれました。
❤ハンス・ラインベルガー周辺作家の「マリアの戴冠」
※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA