リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

2. 旅の始まり

2015年05月28日 | 旅行

     

                                              

            <作品写真1> 聖セバスチァン                     <作品写真2> 同じ像の手の部分                                     <作品写真3> ローゼンクランツのマリア

                            Heiliger Sebastian                            Seine Hände                                                              Rosenkranzmadonna

              Tilman Riemenschneider, 1510, oder 1515                Mainfränkisches Museum, Würzburg                                         Tilman Riemenschneider, 1521-1522
                                                                                                                                            Wallfahrtskirche St. Maria im Weingarten, Volkach

                                                                                                                                                                                         
              

 旅日記 No.1

リーメンシュナイダーとの出会い

  私がリーメンシュナイダーの名前を知ったのは、生活クラブ生協で毎月発行しているブックレット「本の花束」を読んだときです。そこに、『リーメンシュナイダーの世界』(植田重雄著 恒文社)が紹介されていたのです。ちょうどドイツ人の兄妹とオーストラリアで友だちになったばかりだった私は、ドイツにいずれ彼らを訪ねたいと思っていました。せっかくドイツに行くなら、このリーメンシュナイダーの彫刻も見てみようかなというほどの気持ちでこの本を注文したのでした。

 ところが届いた本を見てみたら、リーメンシュナイダーはずいぶん素敵な彫刻をたくさん彫っているのです。「これは絶対見たい」と思うようになりました。特に気になったのがヴュルツブルクにあるという聖セバスチァンの彫刻<写真1>でした。縄で木に縛り付けられ矢を射られたというこの聖人の手<写真2>を、リーメンシュナイダーは繊細に彫り上げています。まるでまだ生きているかのように。またフォルカッハという町には「ローゼンクランツのマリア」<写真3>という、バラの花で楕円形に囲まれたマリア像があるというのです。これも是非見てみたいと思ったのでした。


ドイツの友と訪ねるはずが…

 ドイツのシュトゥットガルトにほど近い小さな町に、トルステンとシルビアは住んでいました。大学生の娘と私で彼らを訪ねたのは、1998年のこと、初めてのドイツへの旅でした。しかもドイツ人のお宅に泊まらせてもらうのですから、とっても緊張していました。
 ドイツ国内は、彼らが一生懸命プランを考えて案内してくれるというので、直前までどこに泊まるのかもわからなかったのですが、ミュンヘンに行くことだけは聞いていました。ミュンヘンにはバイエルン国立美術館の中にリーメンシュナイダーの彫刻があるはずです。それを見たいと思っていることを彼らには伝えてありました。残念ながらヴュルツブルクには今回は行けないようでしたがまたの機会があるはずです。

 私と娘はまずフランクフルト空港に降り立ちました。そこからシュトゥットガルトに飛びました。空港には2年ぶりに会うトルステンとシルビアが待ち受けていてくれました。彼らの家がどんなに素敵だったか、書くと長くなってしまうのでここではカットしておきます。
 トルステンが運転し、シルビアがナビゲーターをしてのドライブは、約1週間続きました。ミュンヘンには3泊したのですが、いつどこへ行こうかとあれこれ相談しているうちに「曜日」を失念していて、バイエルン国立美術館に行ったときは何と月曜日でお休み! ほぞをかむ思いでした。でも仕方がありません。次にミュンヘンに来たら何が何でも月曜日以外に来てリーメンシュナイダーの彫刻を見るぞと決意したのでした。

 次回は、ようやく見ることができたリーメンシュナイダー作品との対面を書きます。

※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1. あなたはリーメンシュナイダーをご存じですか?

2015年05月27日 | 自己紹介

 

                                         

                                           『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』
                                        (著者 福田 緑 丸善プラネット株式会社 2012年発行) 
                                         表紙の写真 ヨハネス・ペッチュ Johannes Pötzsch

はじめに

 私は今まで別のサイトでホームページを公開していましたが、この度こちらに引っ越すことに決めました。本来ならホームページとして継続したいところでしたけれど、たくさんの画像を入れ込んだサイトの引っ越しはなかなか難しく、こちらのブログなら少しずつ引っ越しができそうだとわかり、移すことにしました。  


では自己紹介から

 私の名前は 福田 緑といいます。木の緑、葉っぱの緑にちなんで母がつけてくれました。私はこの名前がとても気に入っています。  
 私は団塊の世代に生まれ、教師を長いこと続けてきましたが、2005年3月に早期退職しました。これからは今までできなかったことにチャレンジしたり、時間がなくてなかなか行けなかったところに行ったりしようと考えてのことでした。     


あなたはリーメンシュナイダーの彫刻をごらんになったことがありますか?

 リーメンシュナイダー(1460年頃~1531年)は、中世ドイツの彫刻家で、ヴュルツブルクを中心とした都市にたくさんの彫刻を残しています。私は彼の彫刻に1999年の夏、ミュンヘンで初めて出会いました。そのときの感動は思いがけず深いものでした。それから私は機会あるごとに彼の彫刻を訪ねて回っています。今では「リーメンシュナイダーの追いかけ人」(「おいかけびと」と読んでください。)と自称しています。
 1999年から始めた旅は2008年12月に一度区切りを付け、この頁の最初に紹介した『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』という写真集にまとめて自費出版しました。この本につけた作品一覧は、リーメンシュナイダーの作品を見てみたいという方々へのインフォメーションです。参考にしていただければ幸いです。何かご意見、ご相談などありましたら、以下のメールアドレスを半角に直してご連絡ください。できる範囲でお答えしたいと思います。
   midfk4915@yahoo.co.jp 
 
 次回から、リーメンシュナイダーとの出会いについて書いていきます。
 
 追記:このブログのアドレスは、「リーメンシュナイダーの追いかけびと」というつもりでドイツ語でつけたのでしたが、ドイツの友だちに「これでは緑が彫刻家で、彼のあとを継いで彫っていくという意味あいになってしまう。」と注意されました。ただ、そう教えてもらったのは2016年の旅の途中で、ブログを相当書いた後でした。帰国してから問い合わせてみると、今からアドレスを変更することはできないということがわかりました。ドイツ語でブログを書いて欲しいという要望もあるため、そちらは正しいドイツ語でアドレスをとりたいと思います。この日本語ブログを読む方は、ご了承の上、お読みくださいますよう、よろしくお願いいたします。

※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA     
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする