リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

270. 親友からの便り

2022年07月23日 | 日記

 


友人宅の「房フジウツギ」 花がたくさん付くのにびっくりです。

 

▶親友からの便りに胸打たれました。

 かつて共に働いていた小学校で、私は全く初めての分野の「ことばの教室」に配属されました。そこで少し年下だけど心はずっと先輩の温かい同僚に出逢いました。それが鈴木素子さんでした。

 彼女にどんなにたくさんのことを教えてもらったのか、数えきれません。初めての発音指導や吃音の子どもたちへの接し方などの技術面はもちろんのこと、ことばの教室に通ってくる子どもたちと悩める親御さんへのアドヴァイス、困っている同僚(私を含め)への手助け、どんなに小さな悩みも大きな悩みも親身になって受け止めてくれる彼女の姿に毎日たくさんの刺激をもらいました。そして一人ひとりの子どもたちへのアプローチを徐々に楽しむことができるようになったのでした。それらを退職後に振り返ってまとめたのが、ラジオ深夜便でもお話しした『子どもっておもしろい』という本です。

 その後、素子さんは転勤していき、数年後に退職。退職してからもしばらくは時々会っておしゃべりしていたのですが、段々別の忙しさが加わってなかなか会えない、おしゃべりもできないという状況で数年経ってしまいました。

 でも今回の本は、ずっと心の支えになってくれた素子さんにどうしても読んでもらいたかったので、贈呈させてもらったのでした。すると、一昨日、久しぶりに長いメールを送ってくれたのです。彼女のご家族のことも今の社会に思うこともたくさん書いてくれた中で、『結・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』について書いてくれた部分をここに彼女の承諾を得て紹介させてもらいたいと思います。

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結•祈りの彫刻の出版、おめでとうございます。
貴重なご本を贈っていただけるなんて、感動しちゃって……。
本当にありがとうございました。

北西にいたころには、緑さんがヨーロッパの彫刻家の研究者になるなんて、想像もできなかったけれど、後半生のひとつのまとめというところまできたんですねー。

研究者っていうとわたしにはちょっと畏れおおくて遠く思えちゃいますが、追いかけ人って言われると、一途に情熱を傾ける緑さんらしくて、わたしにはぴったりきます。

緑さんと三津夫さんらしいご本ですよね。 読んでいると、いつの間にか「啓」を読んでるような気持ちになってしまう。

リーメンシュナイダーや他の作家を追いかけ研究するだけでなくて、そこに至るたくさんの出会いや奇跡の出来事などが書かれてる。

作品のある場所にどうやっていけばいいのか、どんな所なのかまでわかる。
緑さん三津夫さんの思いや情熱が、本からあふれ、本を開くわたしの手からもあふれ出るよう!
そして、みんなに伝えたいというお二人の気持ちがぎゅうっと詰まってる!
北西で緑さんの情熱を見ていたわたしは、緑さんの本なんだなあ、緑さんと三津夫さんにしか作れない本だなあと、そう思いました。
大変だったとは思いますが、三津夫さんがお連れ合いで、よかったですねぇ。
三津夫さんも、緑さんがいて世界がいろんな方向にさらに広く深くなったのですよね…と、すみません…勝手にそう思ってます。
お二人で歩んだからこその、お二人の今ですよね。

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 素子さん、ありがとう。
 三津夫とはしょっちゅう喧嘩しながらもう49年も連れ添ってきています。ときには腹の立つこともあるし、時には感謝することもあるという相棒ですが、一つ言えることは、三津夫がいなかったら私は『続・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』までで写真集を終えていただろうということ。彼がしつこくしつこく促し、なだめ、励まして、結局その後3冊もの写真集を作らせたのだなあと今は思っています。最後のⅤ巻目は本当に文章も共著となりましたが、これまでのⅠ~Ⅳ巻も、気持ちとしては共著だったのですよね。その辺を素子さんはしっかり読み取っていたのですね。

 素子さんの文中にある「啓」とは、息子が生まれてから三津夫の提案で始めた夫婦のミニコミの名前です。ここに三津夫は教育論などを、私は生活の中で思ったことや子どもたちの生育記録などを書き綴ってきましたが、退職してからはもっぱらリーメンシュナイダーを追いかける旅の記録をまとめてきました。このミニコミの発行も、書いて、印刷して、綴じて、送るという作業が段々しんどくなり、100号までで区切りを付けたのでした。
 素子さんはその相当部分を読んでくれていた読者の一人でもありました。それまでは離れていても結構お互いの状況はわかり合っていたように思いますが、「啓」を終刊としたのちは、家庭環境の変化で、日常のやり取りもなかなか難しくなっていたのだなと思います。『結・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』が素子さんとの繋がりをもう一度しっかりと結びつけてくれたと感謝しています。


 次号では、『結・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』の「まえがき」と目次を紹介したいと思います。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2022  Midori FUKUDA

 

 

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269. 新刊『結・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』が届きました。

2022年07月16日 | 日記

▶思いがけず早い到着に慌てましたが…

 


友人宅の「タイマツバナ」


 見本は既にご紹介したとおりですが、7月20日にわが家に届くはずだった『結・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』が思いがけず早めに届きましたので、先行予約をいただいてお振り込みが確認できている方々、またお世話になった方々への発送を始めました。昨日から早速メールが届いたり電話がかかってきたりしています。私たちが驚いたように、20日発行と思って待ってくださっていた方は驚かれたようです。当然ですね。でも嬉しいサプライズで新本を手に取りました。

 なお、本書は刊行する前からアマゾンや楽天などでも紹介され、予約が受け付けられていたようですが(ただ、私がこのパソコンで検索する限りでは見つけられません)、三津夫が運営するアマゾンのネット本屋「猫家族」でも販売を始めます。既に情報はアップしたのですが、一般書店には予告通りに20日から出回るのかもしれません。「猫家族」では定価よりお安く、税無しでお買い求めいただけますので、どうぞご活用ください。

 

▶三津夫の親友、山﨑隆夫さんのブログを見て感動

 この検索の途上で三津夫の親友、山﨑隆夫さんが書いてくれたブログを読むことになりました。  

 

『彫刻はこう見るのか!』

『彫刻はこう見るのか!』

彫刻はこう見るのか! 福田緑・福田三津夫著、…素敵な写真集をいただく 大学時代の親友・福田三津夫君(以下、福田と呼ぶね)とパートナー緑さんが、2人で共同して出…

扉の向こうは子どもの時間

 

 何だかすごい感動!! こんな風に私の写真を見てくれる人がいるとはとても嬉しいことです。
    山﨑さんは自信なさそうに書いていましたが、特別アルバム内で
コピーライトのマーク©が付いている写真は購入したり、知り合いや友人の博物館で働く博士たちが寄贈してくれたものですが、何も書かれていない写真はすべて私が撮ったものです。バイエルン国立博物館のヴェニガーさんはご自分でも写真を撮って何冊ものカタログを書いていらっしゃるのですが、私の写真を「いや~、良いですねえ。どこがとは言えないんだけど良いですよ。」と言ってくれます。恐らく、山﨑さんが書いてくれたような気持ちが混ざっているのかなぁと感じました。これも中世後期(初期ルネサンスでもありますね)ドイツの彫刻家たちがたくさんの心のこもった作品を遺してくれたおかげです。

 山﨑さん、ありがとうございました。こちらこそ心からお礼申しあげます。

 

▶閑話休題

 いつも友人宅の花の写真を掲載しているのですが、なんでそればかりなのと思っていらっしゃる方も多いのではないかと思い、ちょっとだけ解説しておきます。

 このご近所の友人ご夫妻はご高齢で広い庭の手入れが難しく、私の娘は花が好きなのに植える庭がないとお互いが嘆きあっているのを聞いたのは2014年のことでした。そこで閃いたのが、私たちがこれと思った草花を買って来て植え、手入れをし、購入にかかった費用は友人ご夫妻にお払いいただくという、ある種のボランティア活動でした。完全なボランティアとはいいがたいかもしれませんが、私たちが毎年花屋さんに行っては珍しい花、可愛い花を買ってきて(これが大きな楽しみ)デザインしながら植えると、ご夫妻がとても喜んでくださるのです。雑草取りは大変な労働ではありますが、手が入ると庭はスッキリして違った顔を見せてくれますし、ご夫妻の笑顔は何よりの励みになります。おもしろい花やきれいな花は小さなカメラだとピントがはっきりしていませんが、記録として撮影し続けています。今回載せたタイマツバナは今年初めて大輪の花をつけました。堂々とした姿がパッと目を惹く花です。ご近所の方も通りすがりに「あの花は何ていうんですか?」「いつもきれいねと言いながら通っているんですよ」と声をかけてくださいます。

 最初にお子さんと一緒に庭しごとをしてくれた若いお隣さんは引っ越して、替わりに私がいつも一緒に清瀬で活動している友人たち2人が加わってくれました。娘も2015年には遠方に引っ越したので、来られるのは年間10回ぐらいでしょうか。その合間は清瀬グループで補っています。皆でわいわいと草取りをしては休みながらお喋りをしていると、体は疲れても心が元気になるのが不思議です。

 そんな訳で、これからも友人宅の花が入れ替わり載ることと思います。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2022  Midori FUKUDA

 

 

 

 

 

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268. 見本ができあがりました。

2022年07月11日 | 日記

▶こちらが第Ⅴ巻目の表紙と裏表紙です。

 


大天使ミカエル 「皇帝ハインリッヒⅡ世と皇妃クニグンデの石棺彫刻」より
 ティルマン・リーメンシュナイダー  1499~1513年 バンベルク大聖堂


大天使ラファエロと若きトビアス(部分)        
 ファイト・シュトース 1516年  ニュルンベルク、ゲルマン国立博物館 

 

▶ようやく見本が届きました。

 今回の『結(ゆい)・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』ほど何度も目をこらして原稿を読み直した本はありませんでした。それだけ校正の公文さんからは細かな質問や訂正が入り、何度も考え直したり書き直したりした本です。それでもやはりミスがゼロとなることは難しいのでしょうけれど、文章が長いということは大変なのだと身に染みてわかりました。

 本書は半分弱が写真集であり、残る半分強は中世後期のドイツで活躍した彫刻家たちの紹介、その作品が見られる主な美術館、博物館や教会の紹介となっています。皆さまが近くの町を訪ねる機会があれば、是非足を運んでいただきたいと願って作りました。

 今回ばかりは私たちがまだ拝観していない作品が24作品中6作品(拝観率75%)と、今までに較べて非常に多いのです。ちなみに今までの拝観率はといいますと…

  『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』 30作品中30作品 100%
  
『続・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』 70作品中69作品 99%
  『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』 64作品中64作品 100%
  『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』 43作品中43作品 100%

となっています。  

 そうした未拝観作品の写真をなぜアルバムに載せられたのかといいますと、画像を提供してくださったシュテファン・ロラー博士(フランクフルト・アム・マインのリービークハウス)、マティアス・ヴェニガー博士(バイエルン国立博物館)、エヴァ・ライステンシュナイダー博士(ウルム博物館)のおかげなのです。この方々のご協力がなければ、『結・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』はもっと寂しい本になっていたと思います。

 今年は3年ぶりに9月から17回目のドイツへの旅に出て、お目にかかって手渡しできる方には第Ⅴ巻を直接贈呈し、お忙しくてお目にかかれない方には日本から郵送するつもりでいます。

 今は、本書に掲載してまだ拝観していない作品を巡る旅の計画真っ最中です。

 なお、先行予約をいただいた方々には20日以降、手続きができ次第お送りする予定です。お手許に届くまで、もうしばらくお待ちください。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2022  Midori FUKUDA

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