リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

194. 写真展が始まりました。

2019年11月26日 | 自己紹介

▶リーメンシュナイダー写真展


この写真は写真展のメインテーマになっているヘルゴット教会(クレークリンゲン)のマリア祭壇です。2007年8月15日の夕刻、西の薔薇窓から夕日が射して薄暗かった祭壇が明るくなり、くっきりと聖母マリアが浮かび上がった瞬間です。この感動は忘れられません。今は亡きヨハネス・ペッチュが連れて行ってくれて撮影できたのでした。


2019年11月23日(土曜日)に、練馬区のギャラリー古藤(ふるとう)にて福田 緑写真展「祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く」がスタートしました。その前日に東京新聞山手版、都心版でこの写真展が紹介されたこともあり、記事を読んで訪ねてくださった方も多かったようです。何より、冷たい雨の中を朝からお客様が見えたのに感激しました。そしてじっくりじっくりキャプションを読み、写真を眺め、最後にチャリティー絵はがきや写真集を買ってくださる方も多く、心の中で手を合わせていました。

 夕方5時から開かれた永田浩三氏(武蔵大学教授・下の写真で乾杯の音頭をとってくださっている方です)とのギャラリート-クには40席が一杯になり、熱気あふれるトークとなりました。幅広い中世彫刻の時代背景と共に語られて、リーメンシュナイダーの人物像がよりクリアになったと思います。私は好きなようにリーメンシュナイダーの魅力や作品について語ることができ、充実感あふれるギャラリートークとなりました。その後のオープニングパーティーにもほとんどの方が残ってそれぞれの熱い思いを語ってくださいました。皆さまに感謝です。


写真は、ブラジルからお見えになっている岡村淳さんが写して送ってくださいました。ありがとうございます。


 以下のアドレスに、11月22日の東京新聞の記事が出ています。お時間のある方はご覧ください。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201911/CK2019112202000123.html


 ◆なお、遅れ遅れになっていますが、旅行の続きは写真展が終わってから書くことにします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

193. 16回目のドイツ旅行(5) ニュルンベルクからバンベルクへ  

2019年11月09日 | 旅行

 ▶今日もまたリーメンシュナイダー・ツァー



◆2019年7月20日(土) 特急列車で2つの都市を回りました。

 昨夜から、Wi-Fiが繋がらなくて気になっていたので、朝目が覚めたらすぐに試してみました。もちろんこのアパートのWi-Fiを設定すればメールのやり取りもできるのですが、出先で検索したり連絡を取ったりするために成田空港で借りてきたWi-Fiですから、いつでも使えないと意味がありません。昨日の昼間まではずっと順調に使えていたものが夜になって急に繋がらなくなったため、不安でした。朝になってもやはり繋がりませんでした。ここでやっとバッグの中に入っていた取扱説明書を見付けて読み、多分再起動すると大丈夫かもしれないとわかりました。パソコンでもスマホでもうまくいかないときは再起動をかけること。その原点をすっかり忘れていたのです。その通りでした。これで昨夜見られなかったメールも読めるようになって本当にホッとしました。

 今日は特急列車に乗って遠出の日です。ちょっと欲張ってまずはニュルンベルクへ、その後帰りがけにバンベルクにも寄ってこようというのです。京子さんの体調が気になっていたのですが、案外元気に毎日を過ごし、私よりも早くさっさと歩く方だったのに胸をなで下ろしての遠出でした。外は暑くて上衣要らず。

 ニュルンベルク中央駅に10:23に着くと、まっすぐゲルマン国立博物館に向かいました。2018年にはアダム・クラフトの特別展をしていましたが、今回はリーメンシュナイダーの作品があった部屋の改修に伴い、レストランの奥で特別展をしていたので戸惑いました。そこでは以前展示されていた作品が低目の台に置かれてオレンジ色の壁で取り囲まれていました。私には新鮮な感じもしましたが、ちょっと作品たちは落ち着かない気持ちがしているのではないかと思いました。京子さんは聖エリザベートを目の前でゆっくり見られたと大変感激していました。私は今まで何気なく見ていたファイト・シュトース作の「煮えたぎる油壺の中の聖ファイト」の横顔が案外落ち着いた顔をしているんだなとわかったこと、下の鏡のおかげで油壺の底までよく見えたこと、などが収穫でした。その後、常設展示をそれぞれ好きなように見て回りました。以前から三津夫と探していたペーター・デル(父)の作品がようやく見付かって、8月にもう一度ここへ来る楽しみが増えました。この日は一眼レフを宿に置いてきているので、次回は持ってくる予定だからです。レストランで京子さんと再会し、鶏肉のランチを頼んだらなんと大きな鶏肉だこと! しかも一人3切れもあるのです。食べきれない分は包んで持ち帰りました。

 せっかくなので聖ローレンツ教会にも回り、ファイト・シュトース作の「受胎告知」を見てから14:10の列車でバンベルクへ。

 大聖堂までの最後の急坂は元気な人でも結構きついのと大分歩き疲れていたのとで、大聖堂まではタクシーで行くことにしました。タクシーの運転手さんがどこから来たのかと聞いたので「東京から大聖堂のリーメンシュナイダー作品を見に来たのです」と答えると、「地元の人間もあまり行かない大聖堂に、はるばるリーメンシュナイダーの作品を見に来たなんて素晴らしい、ありがとうございます!」と感激してくれました。
 ところが、大聖堂ではせっかくのリーメンシュナイダー作「聖王ハインリッヒⅡ世と后クニグンデの石棺彫刻」が階段の上から見られなくなっていました。側面の彫刻はなんとか柵の間から見られますが、棺の蓋に彫られている素晴らしい聖王夫妻の彫刻が見られなくなったのはどうしてなのでしょう。綱が張ってあって階段がのぼれなくなっていたのでした。何かまずいことでもあったのでしょうか。せっかくここまで来た目的の半分が目隠しされてしまったようで残念でした。

 ここまで強行軍できて、帰りのタクシーを探しましたが1台もなく、列車に間に合うように駅まで戻るには町中を通って歩くしかありません。それがこの土曜日は大変な人出で京子さんの姿を見失いそうでした。彼女の歩きの早いこと早いこと! 私も普段はそんなに遅くはないのですが、この日は暑さ疲れと、来独前の草取りで傷めた腰が再びうずき出し、彼女を追いかけるのに必死でした。駅まで着いたときはうずくまりたいほどの疲労困憊。でも京子さんはドイツのグラスが気に入ったと、駅でお土産を買う余裕までありました。降参です。もちろん列車には間に合いましたけれど。

 この日はゲルマン国立博物館もバンベルクのドームも写真を公開することは許可していませんので、ここに載せられる写真がほとんどありませんでした。あまりにも少なくて自分でも愕然としましたが、行きはタクシー、帰りは時間に追われての早歩きだったのでカメラを構えるゆとりもなかったのですね。それで、宿までの帰り道で見かけた猫の写真とバンベルク駅の写真だけ載せておきます。私にとって、この日は体力的に一番しんどい一日となりました。




※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

192. 16回目のドイツ旅行(4) ローテンブルクのリーメンシュナイダーを歩く  

2019年11月05日 | 旅行

 ▶リーメンシュナイダー・ツァー

 

 


 

この2枚の写真の違いはおわかりですか? ユダは以前、年に一度外されて奥の使徒ヨハネがよく見えた日があるのです。
このヤコブ教会の「聖血の祭壇」は、リーメンシュナイダーの最高傑作の一つです。ローテンブルクに行ったら是非ご覧ください。


◆2019年7月19日(金) ローテンブルクのリーメンシュナイダーを歩きました。

 ローテンブルクに旅する日本のツアーは多いけれど、聖ヤコブ教会の「聖血の祭壇」(ティルマン・リーメンシュナイダー作 1501~05年)まで案内してくれるところはほとんど無いようです。聖ヤコブ教会の中までは入るそうですが、勿体ないですね。中に入ってから左手の階段を上がると、この祭壇がそびえているのです。個人で行かれる方は是非足を運んでみてください。天使に支えられた十字架(写真・上)に聖血が入っているので、この聖血に祈りを捧げるために多くの巡礼者がお参りしたそうです。

 朝、アパートを出たときはドイツに来て初めての雨でした。少し涼しく、上衣も調節して出掛けたのでしたが、ローテンブルクに着いて町を歩くときは青空になっていました。まずはフランツィスカーナ教会で祭壇を見、次は聖ヤコブ教会でゆっくりこの聖血の祭壇を見ました。京子さんもこの祭壇は感動したと言ってしばらく見入っていました。以前、ツァーできたときは見られなかったので残念がっていたのでしたが、今日ようやくリベンジできたのですね。
 聖ヤコブ教会の後は聖ヴォルフガング教会です。以前、やはりリーメンシュナイダーの追いかけ人を続けている友人、野村和子さんがここを訪ねたとき、中に入れてもらえなかったと嘆いていました。私も一度見かけたことがありますが、気むずかしそうなご老人が入口の前にいらして、開いているはずの時間でも他の観光客を中に入れなかったことがあるのです。でもここ2~3年はきちんと開いていて祭壇を見ることができます。京子さんは先に外に出てどこかから来ていた観光客とおしゃべりをしていました。英会話をこのために習っているので、機会があったらどんどん話したいと積極的でした。そんな彼女の姿を見て、「これなら彼女の心配をすることなく自分の撮影に集中できる」と、ホッとしました。



◆町中の風景

 このローテンブルクの町中には上の写真のように小路にもちょっとお洒落なものが置いてあったり、上を見上げれば素敵な看板があちらこちらに吊り下げてあったりするので、観光客がこれだけ集まるのも頷けます。この樽飾りの小路の奥には Reichstadtmuseum という美術館があります。小さな郷土館のような雰囲気ですが入場料は一人6ユーロに撮影料が3ユーロと、ちょっと高いのです。昨年、ここで初めてリーメンシュナイダー周辺作家によるアンナ・ゼルプドリット像を見付けたので案内したのですが、あまり京子さんはこの像に興味が無いようでした。ただ、せっかくリーメンシュナイダー作品を訪ねてきたのなら工事中のヨハネ教会をのぞいて全部案内しておきたかったのでした。朝から、フランツィスカーナ教会、聖ヤコブ教会、聖ヴォルフガング教会、そしてこの「豊かな町の美術館(としか私には訳せないので困っていますが)」と訪ねてこれで私のガイド役は終了。デトヴァングまでは体力的にも時間的にも行くゆとりが無かったので、あとはお土産屋さんを好きなように回って見てもらいました。町の中央にあるマイスター・トゥルンクという仕掛け時計も2回も見ました。私も娘と昔見た懐かしいキノコのマスコットを見付け、久しぶりに買いました。
 お昼は持ってきたお握りを公園で食べ、午後はマルクト広場の前のカフェでアップルケーキとお茶を飲み、夕食は宿に戻ってからご飯とスープの残りやとろろ汁で済ませと、節約の一日でした。



ここがお昼を食べたブルク公園の城門(公園側から見たところ)です。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする