リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

251. パリパラピリポロと水は流れる

2021年04月25日 | 日記

▶初めての補聴器体験を書いてみます。

 


あしかがフラワーパークにて



▶ご無沙汰してしまいました。

 2021年4月25日、3度目の緊急事態宣言が出されました。
 その少し前の4月19日、娘と一緒に「あしかがフラワーパーク」に藤の花を見に行ってきました。  
 初めてここを訪ねたのは2017年の5月末のことでした。藤の花はとっくに咲き終わっていました。見事な緑の葉っぱが広がる大きな藤棚を見て、娘と「いつか花の盛りにもう一度見に来ようね」と約束していたのでした。ようやく今年はその時間を作ることができました。新型コロナの変異株が東京でも見つかり始めての一泊旅行は悩ましいところでしたが、何とか旬の藤棚を見、きれいな花を沢山見ることができて帰宅。今日の写真はその中から何枚かアップしてみます。

 そして、4月22日の木曜日、私はある補聴器専門店で初めて補聴器を買い求め、補聴器生活をスタートしました。驚くことがたくさんあったので、その体験を書いてみようと思います。

 


▶まずなんで今、補聴器なのかということから。

 私は子どもの頃、2~3回中耳炎で鼓膜切開を受けています。そして教員時代には、仕事が忙しいストレスと、電車の中で英語のテープを聞いていたことで鼓膜を酷使したせいか、42歳の時に突発性難聴を煩いました。先輩教師から「放っておくと聞こえが悪くなるから明日にでも休暇を取って病院に行ってきなさい」と薦められ、翌日すぐ帝京大学医学部附属病院へ。中耳炎で切開した鼓膜は硬くなっていて聴力が落ちていること、でも突発性難聴は薬を飲んでなんとか様子を見ましょうと言われ、半信半疑で飲み薬を飲み続けました。最初は頭の中で常にトラックが走っているような騒音が響き、回りの話し声がなかなか聴き取れませんでしたが、薄紙を剥ぐように徐々に騒音が落ち着いて、何とか日常会話で困るほどのことはなくなったのです。

 それでも遠くの人の話し声は聞き取りにくい状態が完全には治りきらずにいました。

 そんな状態のところへ昨年からはコロナ禍でマスク生活が始まり、口元の見えない会話が続くと、元々聞き取りにくかった声のソフトな人やハスキーボイスの人の口元が見えなくて話の内容が本当にわからなくなってしまったのです。私の場合は耳から7割、口元から3割ぐらいの情報を得ているのだと痛感しました。一番困ったのは地元のドイツ語クラスと、いろいろな会議でのソーシャルディスタンスをキープしての発言のやりとりです。今まで辛うじて聞き取っていた会話が半分もわからなくなってしまいました。もうこれは補聴器を買うしかないという状態に追い込まれました。  

 意を決して4月始めに補聴器専門店を訪ね、耳型をとりました。翌日は提携している耳鼻咽喉科を訪ね、聴力検査、診察を受け、必要な書類を書いていただきました。やはり2回ほど切開を受けていた左耳の鼓膜は硬くなっていて動きが悪く、こちらは中度の難聴、突発性難聴を煩った右耳は動きも良く、軽度の難聴と診断されました。その補聴器を受け取りに行ったのが22日のことでした。 



あしかがフラワーパークにて

 

▶補聴器を付けると大きく聞こえる音は…

 出来上がった補聴器を付けた途端に一番大きく聞こえるようになるのは自分の声です。録音した声を聞くと何だか自分の声ではないような感じがしたものですが、自分の話し声がちょうどそんなような声になって頭に響きます。担当の方は、「その声に慣れてくださいね」と笑顔で言います。彼女が動く度に何やらガチャガチャと響く金属音は? スーツの袖のボタンでした。そのボタンが机をこする度にすごい音がするのです。そして紙! 今まで紙を触る度にこんな音がしているとは思わなかった紙の音がシャカシャカと響きます。「皆さんびっくりされるんですよ」と彼女に言われました。

 その後、耳穴型の補聴器の取り扱い、電池の入れ方、出し方、手入れの仕方などを教わりました。ようやく何とか自分の手で小さな補聴器を耳に出し入れができるようになったところでスマホでの微調整を教わりました。この補聴器を私のスマホに登録し、音量を自分のスマホから変えることができるのです。これをやっておいてもらって本当に良かったと思います。

 


あしかがフラワーパークにて

 

▶補聴器を付けて聞いた音の変化

 さて、お店を出ての帰り道。まず駅の中でピンッ、ピンッと耳をつんざくような音が響くのに驚きました。何の音だろうと見回すと、どうやら改札を人が通り抜けるときの交通カードの電子音なのです。思わず肩をすくめたくなる音です。参ったなぁ…。この音に慣れることが一体できるのかしらと胸がドキドキしてきました。自分でも何とか改札を通り過ぎ、やはりがまんできずにスマホを取り出して早速音量を少し下げてしまいました。そのおかげで電車の中ではそこまで音が響きすぎることもなく、家に帰り着きました。

 帰ってまず手洗いをすると、今度は水の音がなんと大きいこと! このブログのタイトルに「パリパラピリポロと水は流れる」と書いたように、パ行の音が響くのです。水一滴一滴に音がついて転がり落ちてくるような、映画館で音響効果がとても強く響いているような感じ。トイレに行っても、台所で洗い物をしても常にこの音の洪水となります。おまけにスリッパで歩く音はガチャガチャパタパタと巨人が歩いているように響きます。これで負けてしまっては高かった補聴器を無駄にしてしまいますから、がまん、がまん。

 最初の夕食時。夫の声は元々よく響きます。補聴器を付けたままで2人で話しているととても大きく響くのですが、食事では、その夫の声よりも自分が咀嚼する音が大きいのにまたまたびっくり。夕食後は疲れてしまって早々に補聴器を外しました。初日は正味5時間ほどの装着。

 その翌日から幸いスマホで音源と音量を微調整できるので、取りあえず装着し続けることを目標に、辛いときは音を控えめにしながら生活しています。これから会議やドイツ語クラスの授業では音量を上げればいいのかなと思っていますが、これでいいのかどうかわかりません。1か月後に補聴器の調整に行く予約を入れてありますので、それまでは自分なりに試し続けるつもりです。そして、コロナが落ち着いてドイツに再び旅をしたときに、少しでもドイツ語の聞き取り能力があがっているように踏ん張ります。

 


あしかがフラワーパークにて

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2021  Midori FUKUDA

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