リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

234. リーメンシュナイダー写真集 第四巻 いよいよ最終段階に近づきました

2020年09月27日 | 日記

▶第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』に載せなかった画像から。

 



聖血の祭壇より 聖血が入った十字架を支える天使
 ティルマン・リーメンシュナイダー 1501.04.15~1504/1505
 聖ヤコブ ルター派教区教会  ローテンブルク・オプ・デア・タウバー

 

▶第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の進捗状況

 現在、三校校正紙は校正の公文さんの元で最終的なチェックを受けています。もしかしたらもうデザイナーの石井さんの手に渡っているのかもしれません。あとわずかではありますが、見直す度に何かしらスペルミスや文言の手直しが入ります。私の入力段階で防げれば良いのですが、なかなかミス無しでは打ち込めず、ドイツ語講師のバールケ先生にも丁寧に見なおしをしていただきました。校正の公文さんには日本語の使い方も含めて詳しく見ていただき、ようやくほぼ校正の段階は終了に近づいています。これが終わったら富士美術印刷の試し刷りを見ながら色の打ち合わせをして私の仕事は終了! その日が待ち遠しいです。

 この半年間、ほとんど都心に出掛けることはせず、途中少しコロナ感染が下火になってきた谷間で急ぎ用を足しに2回ほど出掛けただけですが、今はまた感染者数が増えていて気がかりです。でも印刷会社までは極力日中の空いた時間を見計らって行ってきたいと思います。

 

▶ちょっと不思議なことがありました。

 前々回で紹介した表紙のデザインが決まるまでいろいろとやりとりがあったのですが、これで行きましょうと決めたのは9月15日でした。その翌日か翌々日、三津夫がツイッターのウェブサイトに『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』が画像付きで紹介されていると教えてくれたのでした。一目見て「え~~~!?」と思わず叫んでしまいました。決まったばかりの表紙の画像がちゃんと出ていたからです。「猫の泉」さんという方のツイッターでした。第四巻の頁数まで出ているので余計「???」でした。今、その方のツイッターを辿って確かめてみたら紹介されていた日付は8月19日でした。表紙についてはアイデアを出してはあったものの、相談もきちんとしていない頃のものです。う~~~む。どうしてこんな内容までわかったのかしら? 恐らく丸善出版が宣伝のために情報だけは出してあったらしく(私は知りませんでしたが)、表紙のデータが出た後で画像だけ入れ直したのではないかと思われますが、どうなのでしょうね? それにしても何とも素早いこと。ツイッターってまだ恐れ多くてやったことがないのですが、すごいスピードで動いていくものなんだなと目が点になった体験でした。
 でもその猫の泉さん、どこのどなたなのかと不思議に思っています。

 では、また状況が動いたら書くことにします。いつも読んでくださってありがとうございます。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2020  Midori FUKUDA

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233. リーメンシュナイダー写真集 第四巻 目次のご紹介

2020年09月25日 | 自己紹介

▶第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』に載せなかった画像から。



ブログ232に載せた天使はこの写真の中にいます。
 司教ルドルフ・フォン・シェーレンベルク碑銘彫刻  
     ティルマン・リーメンシュナイダー 1496~1499
     ヴュルツブルク大聖堂

 

▶写真集第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の目次です。

 

 目 次
       
刊行に寄せて  バイエルン国立博物館、博士マティアス・ヴェニガー
Zum Geleit     Dr. Matthias Weniger, Bayerisches Nationalmuseum

まえがき
                                                                            
中世ドイツの作家作品を紹介するにあたって
                                                                              
〔年表〕 中世ドイツの主な作家たちとその作品

〔地図〕 中世ドイツの作家作品所在地


第Ⅰ部 リーメンシュナイダーを歩く 祈りの彫刻19点
 *各テーマタイトル内の作品名は、制作年の古い順

聖母の手  Die Hände der Muttergottes
  ハスフルト、聖キリアン カトリック教区教会 Katholische Pfarrkirche St. Kilian, Haßfurt
     1.  聖母子像 Muttergottes
  ケルン、ケルン応用工芸博物館 Museum für Angewandte Kunst Köln, Köln
     2.  聖母子像 Maria mit dem Kind
  フランクフルト・アム・マイン、リービークハウス Liebieghaus, Frankfurt am Main 
     3.  聖母子像 Muttergottes
  ヴュルツブルク、フランケン ヴュルツブルク美術・文化史州立博物館
  Museum für Franken - Staatliches Museum für Kunst- und Kulturgeschichte in Würzburg, Würzburg
     4.  聖母子像 Maria mit Kind

息づく手  Lebensechte Hände
  ヴュルツブルク、マリア礼拝堂 Marienkapelle, Würzburg 
     5.   騎士コンラート・フォン・シャウムベルク碑銘彫刻(1499没)
      Grabmal des Ritters Konrad von Schaumberg
  クリーヴランド(アメリカ合衆国)、クリーヴランド美術館
 The Cleveland Museum of Art, Cleveland, United States of America
    6.   聖ラウレンティウス Saint Lawrence
  クリーヴランド(アメリカ合衆国)、クリーヴランド美術館
 The Cleveland Museum of Art, Cleveland, United States of America
    7.   聖ステファヌス Saint Stephen
  ヴュルツブルク、フランケン ヴュルツブルク美術・文化史州立博物館
 Museum für Franken - Staatliches Museum für Kunst- und Kulturgeschichte in Würzburg, Würzburg
    8.   聖セバスチアン Heiliger Sebastian
                                                                            
祈り Gebet
  ローテンブルク・オプ・デア・タウバー、聖ヤコブ ルター派教区教会
  Die evangelisch-lutherische Stadtpfarrkirche St.-Jakobs-Kirche, Rothenburg ob der Tauber
    9.  聖血の祭壇より ゲッセマネのキリスト
        Christus am Ölberg aus dem Heilig-Blut-Altar
  クレークリンゲン、ヘルゴット教会 Herrgottskirche, Creglingen
    10.  マリア祭壇 Marienretabel
  ハイディングスフェルト地区(ヴュルツブルク)、聖ラウレンティウス カトリック教区教会
  Katholische Pfarrkirchenstiftung St. Laurentius, Heidingsfeld, Würzburg
    11.  ゲッセマネの群像より キリスト
       Christus am Ölberg aus einer Ölberggruppe

眠り   Schlaf
  デトヴァング、聖ペテロ聖パウロ ルター派教区教会 
  Evangelisch-lutherische Pfarrkirche St.-Peter-und-Pauls-Kirche, Detwang
    12.  十字架祭壇より 眠る見張りたち
         Die schlafenden Wächter, Teil des Heilig-Kreuz-Altars
  ヴュルツブルク、フランケン ヴュルツブルク美術・文化史州立博物館
 Museum für Franken - Staatliches Museum für Kunst- und Kulturgeschichte in Würzburg, Würzburg
    13.  ゲッセマネの眠れる使徒ペテロ、ヤコブ、ヨハネ
       Die schlafenden Apostel Petrus, Jakobus und Johannes am Ölberg

磔刑  Kruzifixus
  ヨーロッパ、X修道院 X-Kloster, Europa
    14.  磔刑像 Kruzifixus
  インズィンゲン、聖ウルリッヒ聖セバスチアン ルター派教区教会
 Evang.-luth. Pfarrkirche St. Ulrich und Sabastian Kirche, Insingen
    15.  磔刑像 Kruzifixus
  シュタイナハ・アン・デア・ザーレ、聖ニコラウス聖カタリナ カトリック教区教会
  Römisch-katholische Pfarrkirche St. Nikolaus und Katharina, Steinach an der Saale
    16.  磔刑像 Kruzifixus

哀しみ  Traurigkeit
  ヴュルツブルク、フランケン ヴュルツブルク美術・文化史州立博物館
 Museum für Franken - Staatliches Museum für Kunst- und Kulturgeschichte in Würzburg, Würzburg
    17.  悲しむマリア Trauernde Maria
  グロースオストハイム、聖ペテロ聖パウロ カトリック教区教会
 Katholische Pfarrkirche St. Peter und Paul, Großostheim
    18.  嘆きの群像 Beweinung Christi
  マイトブロン、聖アフラ教区準教会 Kuratiekirche St. Afra, Maidbronn
    19.  嘆きの群像 Beweinung


第Ⅱ部 中世ドイツを歩く 祈りの彫刻 24点
 *作者名はおよその生誕年順  作品名は制作年の古い順

Hans Multscher ハンス・ムルチャー
  ウルム、ウルム大聖堂 Ulmer Münster, Ulm
    20.  キリスト受難像 Schmerzensmann
  フランクフルト・アム・マイン、リービークハウス Liebieghaus, Frankfurt am Main
    21.  聖マリア・マグダレーナ像 Heilige Maria Magdalena

Niclaus Gerhaert von Leyden ニコラウス・ゲルハールト・フォン・ライデン 
  ネルトリンゲン、聖ゲオルク ルター派教区教会 Evang.-Luth. Pfarrkirche St. Georg, Nördlingen
    22.  主祭壇 Hochaltar
  ストラスブール(フランス)、ルーヴル・ノートルダム美術館
 Musée de l’oeuvre Notre-Dame, Strasbourg, France
    23.  ある預言者の頭部 Kopffragment einer Prophetenbüste
    24.  ある男の胸像 Büste eines Mannes
    25.  ある顔面麻痺の男の頭部 Kopf eines Mannes mit Gesichtslähmung

Michael Pacher  ミヒャエル・パッハー
  ザンクト・ローレンツェン(イタリア)、聖ラウレンティウス教区教会 
  Pfarrkirche zum Hl. Laurentius, St. Lorenzen, Italien
    26.  王座に就く聖母子像 Thronende Madonna mit Kind
  ボーツェン(イタリア)、聖母マリア旧教区教会
   Alte Pfarrkirche unsere liebe Frau, Bozen, Italien
    27.  グリース祭壇 Grieser Altar

Michel Erhart  ミヒェル・エーアハルト
  ウルム、ウルム大聖堂 Ulmermünster, Ulm                                       
    28.  ウルム大聖堂の聖堂内陣席 Chorgestühl des Ulmer Münsters
  フランクフルト(マイン)、リービークハウス Liebieghaus, Frankfurt am Main
    29.  幼きキリスト Christ Kind
  ミュンヘン、バイエルン国立博物館 Bayerisches Nationalmuseum
    30.  聖母子像 Maria mit Kind                                  

Veit Stoss ファイト・シュトース
  ニュルンベルク、聖ゼバルドゥス教会 St. Sebalduskirche, Nürnberg      
    31.  フォルカマーの記念碑 Volckamersche Gedächtnisstiftung
    32.  聖アンデレ Heiliger Andreas
    33.  ヴィッケルの磔刑像 Wickelscher Kruzifixus

Erasmus Grasser   エラスムス・グラッサー
  ミュンヘン、ミュンヘン市立博物館  Münchner Stadtmuseum, München 
    34.  モーリス・ダンスの踊り手 Moriskentänzer

Adam Kraft   アダム・クラフト
  ニュルンベルク、聖ゼバルドゥス教会 St. Sebalduskirche, Nürnberg
    35. シュライアー・ランダウアー墓碑 Das Schreyer-Landauer-Grabmal
    36.  十字架の道行き Kreuztragung

Peter Vischer der Ältere  ペーター・フィッシャー(父)
  ミュンヘン、バイエルン国立博物館 Bayerisches Nationalmuseum
    37. いわゆる「枝を折る人」 Sog. Astbrecher
  ニュルンベルク、聖ゼバルドゥス教会 St. Sebalduskirche, Nürnberg
    38.  ゼバルドゥス墓碑 Sebaldusgrab

Gregor Erhart  グレゴール・エーアハルト
  アウクスブルク、聖ウルリッヒ聖アフラ教会 St. Ulrich und Afra, Augsburg
    39.  聖母子像 Madonna

Hans Leinberger ハンス・ラインベルガー
  モースブルク、聖カストゥールス司教座聖堂 Kastulusmünster, Moosburg
    40.  聖カストゥールス伝説の(4枚の)浮き彫り 
      Relieftafeln der Kastuluslegende
  ランツフート、聖マルティン教会 St. Martin, Landshut
    41.  聖母子像 Maria mit Kind
  レーゲンスブルク、聖カシアン参事会教区教会 Stiftspfarrkirche St. Kassian, Regensburg
    42.  美しい聖母子像 Schöne Maria

Hans Daucher  ハンス・ダウハー
  アウクスブルク、聖アンナ教会 Sankt Anna, Augsburg
    43.  フッガー礼拝堂 Fuggerkapelle



第Ⅲ部 資料編


中世ドイツの作家たち 作品一覧について

 ティルマン・リーメンシュナイダー 掲載作品一覧

 同時代の作家たち 主な作品一覧

掲載写真の提供者および撮影者

参考資料 5

主な参考文献


あとがき

**********************************************************************************

以上、ティルマン・リーメンシュナイダー作品19点 他の中世作家の作品24点 合計43点を載せます。

皆さんはこの中で何作品ぐらいご覧になったことがありますか?

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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232. リーメンシュナイダー写真集 第四巻「まえがき」の続きです。

2020年09月23日 | 自己紹介

▶「まえがき」の2回目、後半を紹介します。

 


写真集第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』(本は白黒写真)
「まえがき」に載せた天使 司教ルドルフ・フォン・シェーレンベルク碑銘彫刻より  
     ティルマン・リーメンシュナイダー 1496~1499
     ヴュルツブルク大聖堂
 

まえがき(2)

 2019年は私にとって特別な年であった。
 今まで連続して自費出版してきた写真集を「祈りの彫刻 リーメンシュナイダー三部作」としてまとめ、第22回日本自費出版文化賞に応募した。10月にグラフィック部門特別賞として「富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社賞」を受賞。その後、11月から12月にかけてギャラリー古藤(ふるとう)(東京都練馬区)に於いて、恐らく日本で初めてのリーメンシュナイダー写真展となる「福田緑写真展 祈りの彫刻リーメンシュナイダーを歩く」を開催した。受賞直後だったことも追い風となり、東京新聞、日経新聞から丁寧な取材を受け、しんぶん赤旗、朝日新聞にも写真展の記事が掲載された。それとともに日に日に来場者が増え、2週間で500名を超える方が見に来てくださった。その中にはすでに30~40年前からリーメンシュナイダーの作品を大切に思い続けてきた方々がいらした。たったの20年間で「追いかけ人」と称していた自分はまだまだ若輩者なのだと思い知った。ある方は遠く広島から新幹線で駆けつけてくださった。日本にこれほど多くのリーメンシュナイダーファンがいることを知り、深く感動している。こうした方々との語らいは尽きることなく、心輝く時間だった。私はリーメンシュナイダーの導きによって人生の大きな贈り物をいただいた。

 2019年に、あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」が途中で一旦中止に追い込まれたことは記憶に新しい。私が初めての写真展を開催したギャラリー古藤は、その先駆けとなる「表現の不自由展~消されたものたち」を2015年に開催したギャラリーである。毎年2~3月には福島原発事故を忘れてはいけないと、何本もの映画の上映やギャラリートークを行う「江古田映画祭」を実行委員会の中心となって開催している。催し物の定員は40名という小さなギャラリーではあるが、確かな社会的ポリシーを持ちながら運営するオーナーご夫妻は大変親切で温かい。私の友人の一人、木村まきさん(横浜事件国家賠償訴訟原告)は、このギャラリー古藤で2018年に「横浜事件と言論の不自由展」を開催した。そして同年12月に、永田浩三氏(社会的な問題について幅広く発言し続けている武蔵大学教授で、橫浜事件の裁判傍聴を続けていらっしゃる)と、ギャラリー古藤のオーナー、田島和夫さん、大﨑文子さんご夫妻に私を引き合わせてくれたのだった。このギャラリーは1年も前から予約ができ、しかもほぼ毎月1回、このメンバーが集まって準備会議を持つ。このサポートは、初心者の私には大変ありがたいことだった。それまで写真展を開くなどと考えたこともなかったが、このギャラリー古藤で第一回目の写真展を行うことができたのもまた大変な幸運であった。

                                     
 現在、世界中が新型コロナの感染で疲弊しきっている。各地で緊急事態宣言が発令され、今まで国内はもとより海外の広範囲な地域へ自由に旅することができた世界はどこかに消えてしまったようだ。こうした問題が起きるたびに自由に息のできる世界が狭くなり、人々は互いの違いを元に心の壁を作り、憎しみ合ったり拒否し合ったりする傾向が強くなる。目の前の恐怖に縮こまるのは自分も含めて悲しい人間の姿だ。福島原発事故の際に出された緊急事態宣言がまだ撤回されていない日本は、現在二重の緊急事態を抱えているのだ。

 この息の詰まりそうな外出自粛要請の下、それでも通勤して働かなければならない世代の方々には申し訳ないという気持ちを抱えつつ、私も家の中に縮こまって毎日パソコンに向かっている。医療機関で働く方々に心の中で手を合わせながら、本書が完成する頃には、もう少し息のつける日本、世界になっていて欲しい、友だちと自由に会い、お喋りを楽しむことができ、行きたい集まりに参加し、ドイツにもまた安心して旅ができ、海外の人々を日本に迎えることができますようにと祈っている。リーメンシュナイダーや中世作家の作品と向き合う中で優しいマリア様のお顔を見るとやはり心癒やされ、かわいい幼子キリストや天使たちの姿を見ると心がなごむ。美術や文学、音楽、演劇といった芸術の力は大きい。こうした危機の時代、芸術は何百年もの時を一気に越えて心に染みてくる。

  今年の秋、東京・国分寺市で第二回目のリーメンシュナイダー写真展を開く予定でいたが、現状ではどうなることか先が見えない。今年は難しくてもいつか必ず実現したい。身体が動く間は写真展を続け、最後にギャラリー古藤で締めくくりたいと思う。その中で皆さまとどこかでお目にかかれる日があれば、リーメンシュナイダーや中世の彫刻家について心ゆくまで語り合いたいと願っている。

*****************************************************************************

次回は目次を紹介する予定です。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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231. リーメンシュナイダー写真集 第四巻の裏表紙を紹介します。

2020年09月21日 | 自己紹介

▶本の「顔」がこれでできあがりました。

 


写真集第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の裏表紙
   モーリス・ダンスの踊り手「新郎」
 エラスムス・グラッサー  1480  ミュンヘン、ミュンヘン市立博物館
 撮影:マティアス・ヴェニガー博士(バイエルン国立博物館)
  

▶今日は本の裏表紙を紹介します。

 本というのは表紙がとても大事です。いつも出版するときにはどの写真を表紙にするのか連れ合いの三津夫とあれこれ相談をします。私の載せたい写真と三津夫が載せたい写真はくい違うことも多いのですが、自費出版そのものは夫婦の共同プロジェクト。あれこれ話し合い、譲り合って最後は一致したもので決めてきました。そして、最初はここに載せた「新郎」を表に、三津夫の大のお気に入り、「ある男の胸像」を裏表紙にと考えたのでした。
 この「新郎」の写真はバイエルン国立博物館マティアス・ヴェニガーさんが撮影したシリーズの1枚です。私は中世ドイツの静かな彫刻の中で、こんなに動きのある楽しげな彫刻が彫られていたことに深く感銘を受けたものですから、是非第四巻では紹介したいと思い、ヴェニガーさんと所属するミュンヘン市立博物館の承諾を得て、シリーズの写真を掲載することにしました。そして本の顔となる表の表紙にも選んだのでした。

 ただデザインを進めている途中で、昨年の日本自費出版文化賞 特別賞受賞の際、受賞記録の冊子に「写真はドイツのカメラマンによるものだが」と書かれているのを見て忙しくて『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』しか読まれていないのかなと感じたこと、知り合いの方からも「この表紙では撮影が緑さんとわからないですよ」といわれたこともあったことを思い出し、今回は表紙に「福田 緑  著・撮影」と明記していただくことにしたのでした。そうでないと2冊目からはほぼ私が自分で写した写真を集め、一部撮影禁止だった作品と私がうまく写せなかったけど是非載せたい写真については提供された写真を掲載したということがわかっていただけないのだと感じていたのでした。

 ところが、いざできあがったデザインを見てみると、ヴェニガーさんが写した「新郎」に「福田 緑  著・撮影」の文字が重なった場合、彼の写真なのに私が写したと勘違いされることも出てくると改めて気が付きました。そのため、表の表紙はブログ230に載せた静かな雰囲気の「ある男の胸像」、裏の表紙はマティアス・ヴェニガー博士撮影の「新郎」としたのでした。私は現在のコロナ禍を元気に飛び出すようなこの「新郎」の写真が気に入っているのですが、裏表紙で皆さんが本を閉じたときに、目にしていただければその思いも伝わるかと考え直した次第です。

 

▶ここで「まえがき」を2回に分けて紹介しておきます。

 
まえがき(1)

 1999年8月。ミュンヘンのバイエルン国立博物館のほの暗い小さな部屋で、初めてティルマン・リーメンシュナイダーの彫刻「天使に支えられる聖マグダレーナ」を見た。その瞬間、心に光の矢が刺さったような気がした。この作品が放つ敬虔な祈りの力に深く感動し、彫刻を見て初めて涙した日からはや20年が過ぎた。

 2005年4月1日。33年間勤めた教師としての衣を脱ぎ捨てた私は、「リーメンシュナイダーの追いかけ人(びと)」として彼の作品をまっしぐらに追いかける日々をスタートした。翌年、ドイツ南部の静かな町、シュヴェービッシュ・ハルのゲーテ・インスティテュートで半年間ドイツ語を学ぶ。リーメンシュナイダーの写真集が日本には一冊もなかったので、この素晴らしい彫刻家の作品を写真集として日本で紹介したいという気持ちが徐々に膨らみ、退職後の大きな目標となっていたのだ。そのためにはある程度資料を読み取ることのできるドイツ語力が必要だった。
 留学中に出会った今は亡きアマチュア写真家、ヨハネス・ペッチュ氏から素晴らしい写真の提供を受け、「リーメンシュナイダーの写真集を作りたい」という私の背中を押していただいた。さらに、娘の福田奈々子が、私が本に載せたいと思う作品を一眼レフで撮影してくれた。ヨハネスのカラー写真と奈々子の白黒写真のおかげで、カメラをろくにいじったことのない私が写真集を作るという夢が実現へと近づく。そして、ドイツ語が不十分だった私を助けてくれたのは大学でドイツ語を専攻した平野泉さんだった。彼女はふしぎなご縁から彗星のように私の目の前に現れたのだが、それについてはここでは省略する。

 2008年12月。日本ではほとんど話題にものぼらないリーメンシュナイダーという中世ドイツの彫刻家の写真集『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』を丸善プラネット株式会社(以下、丸善プラネット)から自費出版。その後、やはり自分自身の手でリーメンシュナイダーの作品を撮影したいと一眼レフを買い、一眼レフカメラ初心者講習に通う。そして、「この村にまだ日本人は来たことがありません」と牧師さんから言われたドイツの小さな村や、往復できるバス便が1日1本しかない小さな町までカメラと三脚を担いで訪ね歩く。

 2013年1月。第二巻目の写真集『続・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』を丸善プラネットから自費出版。幸運に恵まれて3月には朝日新聞の書評欄に取り上げられ、何とかリーメンシュナイダーの彫刻を広く日本人に知ってもらいたいという夢が叶う。これで私の務めは終わったと思ったが、連れ合いの福田三津夫に「小さな教会で特別に鍵を開けて見せていただいた聖母子像や、一般人が入れない修道院で写させてもらった磔刑像を、このまま世に出さないでいいのかな。同時代の作家たちの魅力も日本の人たちにもっと知らせたいんだよ」と強く勧められ、さらに写真集作りに励むこととなる。

 2018年8月。第三巻目の『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』を出版。三津夫が願っていた同時代の作家たちの紹介もできて、ようやく肩の荷が下りたと思った瞬間だった。

 2019年7月。オーストラリアのエアーズロック空港で出会ってから22年のお付き合いとなるシルヴィアがドイツで結婚式を挙げることになり、招待を受けたのがきっかけで16回目のドイツへの旅に出る。この旅でさらに同時代の作家たちの魅力ある作品に触れ、とうとうもう一冊だけ写真集を出版することを決意。

 2020年1月。こうした経過を辿ってようやく第四巻目のリーメンシュナイダー写真集『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の編集に取りかかった。
                                     

 リーメンシュナイダーと同時代に活躍していた彫刻家たちについては三津夫の方がはるかに詳しく、熱い思いを長年持ち続けて研究してきた。ここ数年に亘るドイツ、およびチロル地方への旅行で撮りためた写真を、第三巻目に引き続き本書にまとめることにした。

 本書第4巻の第Ⅰ部には、リーメンシュナイダー作品の細部を追いかけた写真をテーマ別に編集した。ほとんどが既刊の写真集に載せた作品ではあるが、初出の写真、または同じ写真であってもカラーや切り口を変えた写真で構成した。
 そして第Ⅱ部には同時代の作家たちによる作品の個性的な面白さ、楽しさ、美しさを追求した写真を掲載した。特筆すべきは、バイエルン国立博物館で1550年以前の絵画・彫刻を担当されているマティアス・ヴェニガー博士(Dr. Matthias Weniger)が「刊行に寄せて」を書いてくださったことだ。さらに「モーリス・ダンスの踊り手」(エラスムス・グラッサーErasmus Grasser作)の写真を提供していただけたことである。長年の研究生活の中で数冊の分厚いカタログを出版し、写真家としても名をはせておられるヴェニガー博士からこのような魅力あふれる写真の掲載を許されたことを大変光栄に思っている。また、このグラッサー彫刻の所有者、ミュンヘン市立博物館からも快く掲載許可をいただけたことに深く感謝している。
 ニコラウス・ゲルハールト・フォン・ライデンの彫刻は三津夫の大のお気に入りだが、フランスのストラスブールにあるルーヴル・ノートルダム博物館に掲載許可をいただく手続きをするというのは気が重かった。それでも撮影した写真の掲載許可をドイツ語で申請したのだったが、コロナ禍と重なり、なかなかお返事がいただけずにいた。そこで、リービークハウスで中世彫刻を担当していらっしゃるシュテファン・ロラー博士(Dr. Stefan Roller)に仲介をお願いしたところ、快く引き受けてくださった。ロラー博士はヴェニガー博士のご友人で2019年の旅で初めてお目にかかったのだが、その際ゲルハールトの分厚いカタログをいただいた。博士はルーヴル・ノートルダム博物館と共同でこのカタログを作った方だったのだ。ロラー博士のおかげで念願叶って男性の頭部彫刻3点を本書に掲載することができ、大変嬉しく思っている。(2に続く)

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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230. リーメンシュナイダー写真集 第四巻の表紙が決まりました。

2020年09月18日 | 自己紹介

▶コロナ禍での出版準備

 


写真集第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の表紙が決まりました。
 ただし、今後、多少の変更はあるかもしれませんが。
  「ある男の胸像」ニコラウス・ゲルハルト・フォン・ライデン 1463年頃 
   ストラスブール、ルーヴル・ノートルダム博物館

 

▶第四巻出版までの苦労

 毎回、出版前に一番大変なのが美術館、博物館への掲載許可申請です。
 今年はコロナの感染が徐々に増えてきた頃、必死で仮頁の画像をプリントアウトし、写真掲載許可へのお願い文書を書いて3月9日に郵便局から海外へ発送しました。そして初めての許可メールがケルンから届いたのが3月18日でした。これで海外にちゃんと手紙が届いたのだなとホッとしたのをよく覚えています。ところがその後はなかなか反応が届きません。このブログの210で途中経過を報告していますが、あれこれ手を尽くして何とか7館中7館ともが許可を出してくださいました。本当にホッとしました。今までの経験では断られることも多く、その際は他の教会等の画像に変えていたのですが、その作業が終わる前に原稿を出さなければならなかったこともあって編集スタッフの皆さんには迷惑をかけ通しでした。

 2番目に大変だったのは、第Ⅲ部の作品一覧です。 
 リーメンシュナイダーに関しては今回掲載した19作品だけなので比較的情報もまとまっていたのですが、中世の作家たちは19人について主な作品をリストアップしましたので、膨大な量になり、この作品一覧だけで43頁にもなってしまいました。これだけ日本語だけでなくドイツ語や英語などを書き込むと、表内の文章表現を一致させ、誤字脱字のチェックも大変な作業でした。私も必死で取り組みましたが校正の公文さんのチェックはさらに細かく、丁寧で何度も見直す必要に迫られ、苦しい作業でした。ただ、この苦しさは「いや」というのではなく必要で大変ありがたいものです。彼女のおかげで見直せば見直すほど内容が確かになってきたからです。

 さらにドイツ語に関してはちょっとしたフレーズでも文法的に合っているのかどうか、最後まで自信が持てなかったので、現在週に一度通っているドイツ語クラスのルートヴィッヒ・バールケ先生に最終チェックをお願いしました。おかげで自分の目では見つけられなかったミスを18箇所も見つけていただきました。さらに定冠詞はここにはつけない方が良いだろうというアドヴァイスもあり、ちょうど三校校正紙を送り返さなければならない日に間に合ったので、後から修正箇所を追加するよりも一度で校正の方に回すことができたのは大変ありがたいことでした。バールケ先生には本当に助けていただきました。

 現在は写真頁の色の検討に入ろうとしています。
 これが私にとっては順序としては3番目だけれど、写真集としては一番大切な仕事。色というのは記憶の中ではどうしてもあやふやですし、パソコン画面ではパソコンによって写り方が変わってきます。またその画像を見るときの天気や、部屋の照明によっても変わってきます。とても繊細だけれど、極力天気のよい日に同じ部屋の照明の元で見較べて、メモを作りました。富士美術印刷さんでは他の作業がほぼ終わった段階で初めて本番と同じ用紙に試しの印刷(プルーフ)を出してくれるのです。その段階になったら富士美術印刷さんまで行って担当の加藤陽子さん、大塚欣一さんとプルーフを見ながらよく相談してきます。ここまで行けばあとほんのわずかで仕上がりです。丸善プラネットの予定では10月末には刊行となっていますので、もし書店で見かけるようになったらどうぞお手にとってご覧ください。

 次回は裏表紙と「はじめに」をアップする予定です。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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