リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

338. 18回目のドイツ旅行(18) 2人旅 バーデン・バーデンからフランクフルトへ

2024年01月28日 | 旅行

▶旅の〆(しめ)は大体フランクフルトです


トーマスとルース夫妻と知り合ったのは1998年でした。それから25年を超えるおつきあい。

 

▶バーデン・バーデンを発ち、フランクフルトへ

 2023年9月15日。今日はバーデン・バーデン駅からこの旅の最終宿泊地、フランクフルトへ向かいます。いつもならフランクフルト中央駅にあるコインロッカーにトランクをいれてからリービークハウスに寄ったりするのですが、ここ数回は展示替えであまりリーメンシュナイダーや中世後期の作家による作品にお目にかかれないので今回はパスすることにしました。

 バーデン・バーデンの宿を10時にチェックアウトして道路に出ると、たくさんの親子連れが歩いて学校に集まってきています。私たちが泊まった宿のすぐ近くに学校があるのです。これが、話に聞いたことがある入学式のようで、ちょっとおめかしした親子連れがあちらからもこちらからも…。子どもたちは大きな花束やプレゼントらしきものを腕に抱えています。これから先生たちと楽しい学校生活を送れますようにと思いながら駅に向かいました。
 はじめは空いていたバーデン・バーデン駅は次第に混んできて、ベルリン・ゲズントブルンネン行きの列車に乗車すると満席。民族衣装の男性が大勢大きな声で笑ったり喋ったりしながらビールを飲んでいました。こちらではほとんど瓶ビールで缶ビールを車内で飲む姿はあまり見かけません。そういえばオクトーバーフェストなのですね。私たちは車両のつなぎ目にトランクを置いて1時間20分を過ごす覚悟でしたが、マンハイムで空いてきたので、最後に少しだけ座ることができました。


▶フランクフルトの2泊3日

 フランクフルト中央駅に着いてから駅の簡易食堂で昼食をとり、地下のSバーンに乗ってからルースにSMSを送るも届かないようなので、最寄り駅に着いてから電話しました。ルースが車で迎えに来てくれます。15分ぐらいかかるとのことでした。でもルースを待つ間にも周りでひっきりなしにタバコを吸う人がいて、とても辛く感じました。今では日本の方がタバコの煙に悩まされることはずっと少なくなりました。

 ルースは運転が得意で、トーマスと出かけるときももっぱらルースが運転するのだそうです。遠くへ避暑に行くときも旅行に出るときも運転手はルースです。他の友だち家族とは反対です。 
 何度も泊まらせてもらった2人の家に再びやって来ました。去年は来られなかったので4年ぶりになります。外観は変わりませんが、いつもの半地下室は絨毯がなくなり、サッパリしたような寂しくなったような感じがしました。昨日買ったリンツのチョコレートとカメラを持って1階に上がるとトーマスも出てきて1か月ぶりの挨拶を交わします。8月は元気に歩いていたのに、今日はゆっくりと歩いています。自転車で倒れたなんて、もうすぐ80歳というトーマスの体には衝撃が大きかったことでしょう。何とか年内にまた元気で歩けると良いなと願いながら挨拶。一緒にルース手作りのコーンスープをいただきました。
 食後は定番の「スーパーでのお土産購入」です。ルースに近くのREWEに連れて行ってもらって身近な人たちへのお土産を買いました。

 その後、旅の報告をしながらおしゃべりしていると、トーマスが嬉しそうに7月21日付けのフランクフルター・アルゲマイン新聞の記事を見せてくれたのです。何とリーメンシュナイダーの彫刻「復活のキリスト、または昇天のキリスト」が発見され、ただいまニュルンベルクで修復中という内容です。ゲルマン国立博物館に「近々展示」と書かれていたので9月ならもう展示しているはずだと。「あら~、それなら明日ニュルンベルクまで行ってこようかしら?」と急遽三津夫と盛り上がったのでした。というのも、旅行前には明日はマリア・ラーハまで車で連れて行ってくれることになっていたのですが、トーマスがこういう状態では難しく、次回来たときにゆっくり泊まりがけで行こうと話しているところでした。では、明日一日何をしようかな…と思っていたので、まさに渡りに船。まだグローバルユーレイルパスが使えますから。2人は私たちの素早い決断に驚きながらも嬉しそうで、「それなら明日帰ってきたら一緒にレストランに行こう」と言っていました。もしそのリーメンシュナイダー彫刻まで見られたら、今年はリーメンシュナイダーの新発見2体の拝観で、素晴らしい結婚50周年記念となります。

 夕食まで50日間近く旅行で回ってきた内容を写真で見せたりお喋りで紹介したり。夕食にはブルスト入りのリンゼンスープが出て、乾杯!(写真・下)お二人は基本ベジタリアンなのですが、私たちが行くと肉類も入れてくれて一緒に食べます。


私はこの丸いテーブルが大好きです。ルース、いつも美味しい食事をありがとう!


 夕食後は夜道の住宅街を40分ほど歩きました。トーマスは杖をついてゆっくりと歩いてきます。私たちはお喋りしながらところどころ立ち止まって彼が来るまで待ったりして、ルースから自転車事故の直後の様子など聞きました。近くにいた人がトーマスの転倒に気が付いて医者に連れて行ってくれたようです。大怪我でも、今はこうしてなんとか歩ける程度で本当に良かった。
 星はよく見えましたが、月は見えない夜でした。日本なら満月の夜だったでしょうか。


▶ニュルンベルク往復

 9月16日(土曜日)。ルースは私たちのために早めの朝食を支度してくれました。1階に上がるといつものように生姜湯を出してくれます。生姜湯は彼女の健康の秘訣のようです。その後トーマスも2階から下りてきて一緒に朝食をいただき、10時頃出発。ルースが土曜日は道路も混んでいないからとフランクフルト中央駅まで車で送ってくれました。10時53分発のミュンヘン行きに乗車。後ろの方は空いていたのでゆっくり座っていくことができました。

 ニュルンベルク中央駅も約1年ぶりです。まっすぐゲルマン国立博物館まで歩き、受付で胸を弾ませながら「新聞記事で読みました。リーメンシュナイダーの彫刻はどこの部屋で見られますか?」と聞くと「25」と言うので、「それはどこですか?」とマップを見ながら更に聞くと不思議そうな顔をして「展示は25年からです。それまでは見られません」と言うではないですか。狐につままれたような気分。大事に持って来ていた新聞記事を引っ張り出してよくよく見ると一番最後の方の文章に小さな文字で2025年と確かに書いてありました! 私はトーマスのことばを信じて記事は帰国してからゆっくり読もうと、まだ前半少ししか読んでいませんでした。うかつでした。でもせっかく来たのだからもう一度中を見て回ろうと気持ちを切り換えて、ファイト・シュトース、ペーター・デル、ペーター・フィッシャー、ハンス・バルドゥング・グリーンやリーメンシュナイダーの現在展示されている作品などをゆっくり見学しました。2時間ほど見て回り、午後4時の列車で帰りました。

 フランクフルト中央駅には午後6時過ぎに着きました。途中でメールを送っておいたのでルースが迎えに来てくれているはずです。今朝送ってもらった場所に立つと、彼女が車から降りて合図を送ってくれました。もちろんトーマスも一緒です。家の近くのレストランに戻るのかと思っていたら、案外中央駅の近くから小道に入り、木組みの家に到着。そこは以前から親しくしているという知り合いのレストラン兼本屋さんでした。私たちは初めて行きました。この日の朝刊にも取り上げられたというレストランで、私は女性の店主から「美味しい魚が手に入った」と聞いてそのスープを頼んでみたところ、本当に美味しくてゆっくり最後まで食べられました。トーマスはポテト料理、ルースと三津夫は野菜を牛肉で巻いた料理で、三津夫は「ドイツで一番美味しいレストランだった」とご機嫌。おまけにデザートと珈琲までいただいてしまいました。本当にご馳走様でした。


この本屋さん兼レストランの名前を覚えていないのが残念です。

 このレストランに着いたときに、「ゲルマン国立博物館はどうだったかな?」と私たちの報告をゆっくり聞こうと待ち構えていたトーマスに「2025年にならないと見られなかったの」と伝えるとすごく怒った顔で「そんなはずはない!」と言うのです。でも新聞記事を見せると渋い顔になりました。「この書き方だとはっきりわからないじゃないか」と今度は記事の書き方に怒っていましたが、「2025年にまた来るから大丈夫。」と伝えるとようやく安心したようです。

 

▶ヨーロッパ旅行最後の一日

 9月17日(日曜日)。以前は教会にまめに通っていたお二人も今の体調では行かれないようで、最後の贅沢なブランチ(写真・下)をゆっくりいただきました。その後は再度写真の説明をするのですが、あまりにたくさんありすぎてお互いに疲れてきました。大きな画面で見られないかと色々試してみましたが、これもなかなかうまくいかず、小さなカメラで見ているので余計疲れます。何とか良い方法はないものかと思うのですが。


 午後はドイツで最後の散歩に出かけました(写真・トップ)。まだ日差しは暑く、普段帽子が嫌いな連れ合いも帽子を被っています。こんな森が家を出てすぐ近くにあるというのは羨ましい環境です。この森の中に以前飼っていた犬のミリーのお墓もあります。夕方、お二人に空港まで送っていただき、2025年の再会を期して挨拶。予定通りの飛行機で帰国の途につきました。

 お二人が日本に来られたら精一杯おもてなししたいのですが、ルースは飛行機が苦手でトーマスは体調が今一つ安定しないために実現していません。トーマスは来年80歳になります。せめて彼が素晴らしいと絶賛してくれている富士山ぐらいお見せしたいものです。

▶終わりに。

 今回の旅行は50日間で550,345歩。よく歩いたものです。昨年のように足を痛めることもなく、無事に歩けたのは幸いでした。 

 ここで18回目のドイツ旅行は終わりです。長い日記にお付き合いいただいた皆さま、ありがとうございました。そして本当にお疲れさまでした。書き始めの頃は数回でまとめるつもりでしたが、結局何だかんだと書き込んで18回分にもなってしまいました。性分なのですね。なかなかまとめられません。ごめんなさい。

 今年2024年は旅の予定はなく、できれば第3回目の写真展を開きたいと思っています。実現できればお知らせをここに書きます。それまでごきげんよう。皆さま、どうかつつがなくお過ごしください。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2024  Midori FUKUDA

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