リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

165. 15回目のドイツ旅行(13)シュヴェービッシュ・ハルでの一日

2019年01月21日 | 旅行

▶︎15回目のドイツ旅行(13)シュヴェービッシュ・ハルでの一日


 

シュピーゲル家での朝食


ゆで卵への愛

 9月19日(水) 前回、たまたまマリアンヌがチェックインに付き添ったときに私たちが朝食抜きで泊まっていることを知り、とてもかわいそうに思ったようで全部の食事を賄ってくれたのでしたが、今回も彼女は朝食を準備してくれました。体調の悪いマリアンヌに本当に申し訳ないことでしたが、ありがたくいただくことにしてホールストがホテル前の坂を上がった交差点に迎えに来てくれるのを待ちました。ホテルの前はいつも満車で車を停めるスペースがないのです。8時45分、約束通りに彼の車がやってきました。

 マリアンヌは昨夜よりは元気そうな顔で食卓を整えて待っていてくれました。笑ってしまったのはゆで卵の様子です。写真を見てください。動物の帽子をかぶったり、足がついていたりして何とも可愛らしいこと! 私の席には緑色の足のたまご君が待っていました(トップの写真)。

 でも、びっくりしたのはこの後出てきた”ゆで卵割り器”です。初めて見たときは「この道具、何に使うのだろう」と思っていたのですが、マリアンヌが「こうしてボールを上に持ち上げてから落とすのよ」とやってみせてくれたのです。すると、なんとまぁ、ゆで卵の頭がくるりんと割れて坊主頭になったのでした。彼女は2回目できれいに割れたのですが、三津夫がやったら1回でパカンと頭がむけたので大笑い(下の写真)。




 私はこのゆで卵割り器がとても気に入ってお土産に買って帰ろうと思ったのですが、その後どこのお店でも(あまりたくさん見て回ってはいませんけれども)見かけませんでした。今度マリアンヌに会ったらどこで売っているのか教えてもらおうと思います。


2冊の本をお世話になった方へ献本

 前日に時間を打ち合わせたのでしたが、マリアンヌが「ミヒャエル教会には献本しなくても良いのではないかしら。それよりもミドリがお世話になったゲーテ・インスティテュートにプレゼントした方が役に立つと思うのだけど」と言い出しました。ミヒャエル教会にはミッヒェル・エアハルト作の磔刑像があり、それを掲載する件についてはマリアンヌが教会に話をしてくれたので献本したほうがいいのだろうと思っていました。でも、彼女がしなくて構わないというのなら、3冊目の集大成でもあるのでお世話になったゲーテに献本もいいかなと考え直し、「そうしましょう」と決めました。となると、最初にゲーテ・インスティテュート、その後ハル・フランケン博物館に行くことになります。早速マリアンヌがゲーテに電話をして校長がいるかどうか確認してくれました。

 マリアンヌはお友だちの葬儀に出かけるのですが、その前に一緒に回ってくれるそうです。ゲーテ近くの駐車場までホールストが送ってくれたので、あとは歩きで回ります。マリアンヌの体調が気になりましたが、昨日よりは落ち着いた足取りなのでちょっとホッとしました。ゲーテに着いて懐かしい階段を上がると、受付へ。電話では校長のフラウ・ハウプトさんがいるはずだったのですがご不在で、秘書の方に手渡すと、大変喜んでくださいました。

 その後ハル・フランケン博物館へ。ここではパンサーさんが会議中だけれど、すぐに行くからとおっしゃっていたそうで、受付を通すと本当にすぐに下りていらっしゃいました。大変嬉しそうに「ハル・ウンターヴェールト門の紋章」を見てあれこれ質問され、話が弾みました。ここでマリアンヌとはお別れ。ホールストが彼女を迎えにきてくれるそうです。私たちはパンサーさんのご招待でそのまま博物館内をもう一度ゆっくり見て回りました。

 ホテルに戻るとマリアンヌが持たせてくれたパンやハムをサンドイッチにして昼食。昼食後は二人でホテル前のミヒャエル教会に行き、磔刑像を望遠レンズでしっかり写してきました。5時までしばし一休みして、再び坂の上の待ち合わせ場所へ。今夜は私たちがご招待するからと日本食レストランを探しておいたのですが、「ここに来たらドイツ料理を食べましょう。美味しいところに連れて行くから。あなた方はゲストなんだから気を遣わないこと」とたしなめられてしまいました。


茶色い畑を通り過ぎて…。

 二人がお薦めのレストランまで車で相当走りました。マリアンヌは車中ずっと「この夏は暑くて全く雨が降らなかったから畑がこんなに枯れた色で…」と残念がっていました。そう、いつもならドイツの畑はこの時期まだ青々していて気持ちが爽やかになる景色のはずなのですが、今年はドイツでも35度を超えて相当暑かったそうです。雨の降らなかった今年は、いつものようななだらかな緑の丘が見られませんでした。

 着いたレストランは Biebelsfeld のBesen wirtschaft でした。1ヶ月に3日間×2回しか開けないレストランだそうで、この日も早くからビール片手に語らい合う地元のグループで賑わっていました。私も三津夫も内容が推測できない料理だったので適当に選んで頼んでみたところ、大変大盛りで食べきれず、残してしまいました。次回は何と言われても1品だけ頼んで分け合おうと思います。ご馳走様でした!


 食後、レストランから出るとマリアンヌが歩いてどこかへ向かいました。どこに行くのかと思ってついていくと、小さな平屋の建物に入っていきます。中は工場のようで、マリアンヌの挨拶に答えて小柄な男性が出てきました。彼の名前はローマン・ヴェラー。マリアンヌが紹介してくれたところによると、彼はとても軽い飛行機を作っているのだそうです(写真・下)。一人か二人乗りの小さな飛行を注文に応じてこつこつと作っているようです。ホームページには修理も行うと書かれていました。ずいぶん面白い友だちを持っているなぁと思ったら、マリアンヌが所属するシュヴェービッシュ・ハルのフィルムクラブの仲間なのだそうです。彼女はこのフィルムクラブでずいぶん様々なフィルムを撮ったり編集したりしてきて、これが今、最も楽しい趣味なのだと話してくれました。近くまで来たのだから会っておきたかったのでしょうね。何も言わずにレストランで置き去りにしてしまったホールストも、ここに来たことがわかっているのかどうかと気がかりでしたが、ちゃんとこちらに車を回して中に入ってきました。予めそういう話ができていたのでしょう。



 帰りがけにまた彼らの家に寄り、小一時間おしゃべりしながらレストランの名前や料理の名前などを教えてもらいました。そして8時頃、二人でホテルまで送り届けてくれました。まだ明るかったので安心して送ってもらいましたが、明日またホテルまで迎えに来てくれるそうです。この2日間、何度も何度も私たちのために車を出すことを惜しまない姿には頭が下がります。ちなみにシュピーゲル家は町から少しはなれた小高い丘の上の住宅地にあります。町まで歩くと相当な時間がかかるでしょう。留学中はバスで行ったことがありますが、バス便は休日は特に少ないのでなかなか大変でした。いつまでも車が運転できるように、そしてまた何度も会えますようにと祈る気持ちです。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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