今年のイースター(復活祭)は4月1日その一週間前の日曜日はパルム・サンデーと呼ばれる。カトリックが主宗教のポルトガルでは、このパルムサンディからイースターまでの一連の行事が重要になる。
聖体の行列は Eglise de L'Ordre Tiers De Nossa Senhora Do Carmo (カルモの聖女教会)から始まる。この教会はクリスマス時に娘夫婦が借りたお屋敷から非常に近いところにあるが、いまだこのパルムサンディ以外に開いていたことがない。
夕方5時から行列が始まるとのことで4時半過ぎに行ってみると教会の周囲は大変な人だかり、そんなに多くの人だかりでもあまり人声のしない静かな雰囲気。
教会の前には枯れたラヴェンダーの枝が敷き詰められている。このフレンチラヴェンダーは花盛りの時にもあまり香りはしないが、人々が枯れた枝の上を歩き回ると素敵な香りがあたりに漂った。
まずはこの楽団が先頭を切って出て行ったが、ほとんど音がしない。パルムサンデーはイエスキリストが貼り付けの刑にされて亡くなったのを悼む行事で、信者にとっては決して楽しい日ではない。
傷だらけのキリスト像などが素晴らしい生花に囲まれて次々に担ぎだされる。
最後の像はサンタマリア像でポルトガルやスペインではマリア信仰が非常に篤い。
聖体とともにほとんどの人たちは後に従って行ってしまった。まだ開いている教会の中へ入ってみると金襴のデコレーションにマリア像の天井画、すべてがきらびやかで素晴らしい。
教会内を一回りして写真を写し、行列の後を追った。 最後尾はまだ200メーターほどしか行っていない。後尾の音楽隊は静かな悲しそうな音楽を奏でている。
わき道からビショップスクエアーに行ってみるとキリスト像はこのあたりで止まっていた。
ローマ橋の上も枯れたラヴェンダーの枝が敷き詰められ、やっと先頭の楽団がやってきた。
信者にとっては彼らのすべての罪を背負って死刑になったキリストを悼む日。楽しかろうはずがなく、なんとも静かな行列だった。
この十字架を背負っていくキリスト像を見て、ずっと前に見たベンハーを思い出した。一昨年久しぶりにDVDでベンハーの映画を見て、あの映画が刑場へひかれていくキリストを描いているのを初めて知った。