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「奥村土牛(1889-1990)」展(山種美術館):「絵を通して伝わってくるのは作者の人間性」(土牛)

2019-03-10 20:28:47 | Weblog
(1)
山種美術館の創立者・山﨑種二は、「絵は人柄である」という信念のもと、画家と直接関わり合うなかで作品を蒐集した。特に土牛とは親しく、まだ無名だった時期から交流を続け、135点の土牛コレクションを持つ。
(2)
土牛は、画家志望の父親のもとで10代から絵画に親しみ、梶田半古(カジタハンコ)(1870-1917)の画塾で生涯の師と仰ぐ小林古径(コバヤシコケイ)(1883-1957)に出会う。38歳で院展初入選。40代半ばから名声を高め、101歳におよぶ生涯において、晩年まで制作に取り組んだ。土牛は写生や画品を重視する姿勢を生涯貫き、「絵を通して伝わってくるのは作者の人間性」という自らの言葉を体現する作品を数多く生み出した。
(3)
土牛という雅号は、中国・唐の詩句「土牛石田を耕す」に由来する。その名を糧に、土牛は地道に画業へ専心した。80歳を過ぎて「死ぬまで初心を忘れず、拙くとも生きた絵が描きたい」と語り、100歳を超えても絵筆をとり続けた。


奥村土牛《舞妓》(1954)