季節を描く

季節の中で感じたことを記録しておく

箱根ラリック美術館(2009.3.30)

2009-04-02 20:52:16 | Weblog

 アール・ヌーヴォーとアールデコをともに代表する巨匠ルネ・ラリック(1860-1945)の美術館である。彼は初めアール・ヌーヴォー時代、宝飾デザイナーとして活躍していた。彼の宝飾品は1900年パリ万国博覧会に100点以上出品され大成功をおさめる。その後、1908年、初めてフランソワ・コティのために香水瓶を制作し、これがまた成功する。こうして彼は第1次大戦後、戦間期、アール・デコを代表するガラス工芸作家となる。1925年パリのアール・デコ(装飾美術・工業美術)博覧会で彼は会場のモニュメントとなるガラスの噴水を製作した。

                                  

 アール・ヌーヴォーの彼の装飾品はジャポニズムを引き継いだトンボ、蝶のモチーフが傑出している。また七宝焼きの微妙な淡い色合いが美しい。アール・デコの彼のガラス製品は単に工業美術的でなく、装飾美術的要素が強い。装飾における単純さと過剰さがきわどいバランスを保っている。 

               

 ラリックが制作したガラス・パネルで飾られた「オリエント急行」の車内が予約制(コーヒー・デザート付き)で見られる。アガサ・クリスティ原作「オリエント急行殺人事件 」(1974年の映画)で撮影に使われた列車、その1両が展示されている。 

                   

 美しく端正な庭と瀟洒な建物をもつモダンな美術館である。

                       


“肖像の100年:ルノワール、モディリアーニ、ピカソ”展(箱根、ポーラ美術館、2009.3.30)

2009-04-02 20:01:56 | Weblog

 とても風が冷たくて寒い日だった。3月だというのに。日射しはでも明るかった。強羅からバスで15分くらい。モダンな美術館。音声ガイドを借りて鑑賞。 

 “Ⅰ.肖像の100年”  ルノワール「レースの帽子の少女」(1891)が茫洋としてかわいい。有名なシャガール「私と村」(1923-24)は再会して懐かしかった。ローランサン「ヴァランティーヌ・テシエの肖像」(1933)はドレスの色が美しくとてもよい。ピカソ「帽子の女」(1962)は典型的なキュビズム的作品。色々に見えていかにも不思議。

 “Ⅱ. ポーラ美術館の絵画”  シスレー「ロワン河畔、朝」(1891)は明るく爽やかな印象派的作品。税関吏ルソー「異国風景」(1910)は一目見て彼の作品とわかる。藤島武二「女の横顔」(1926-27)には気品がある。ルネサンスの様式を真似たもの。

          

  “Ⅲ.化粧道具”  アールヌーヴォーの銀製手鏡がずらっと並び壮観。どれも重そう。値段が高そう。そして磨けばピカピカになるのにと思う。化粧品の会社だから化粧道具を集めたのだと納得。 

 レストラン「アレイ」で昼食、Aコース2350円。明るくて外の景色が美しくおいしかった。 光にあふれ自然と共生する美術館である。 

  PS:ホールに何点かの彫刻がある。その中でブールデル(1861-1929)「バッカント」がとてもよかった。あの荒々しいバッカスの巫女の彫像である。イサドラ・ダンカンがモデルだという。すばらしい。