無風老人の日記

価値観が多様化し、自分の価値判断を見失った人たちへ
正しい判断や行動をするための「ものの見方・考え方」を身につけよう。

景気について

2014年03月17日 | Weblog
「消費税増税前に買っておくと得をするもの」ランキングでは、トップに自動車、次に航空券といった新聞記事やテレビ報道が盛んになされているが、もとから困窮生活を送っている私には全く関係ない話だ。

アベノミクスもそうだが、代々の自民党政権が不況時に採ってきた経済対策は、景気要因(下記)の③公共事業に国民の金を注ぎ込んで景気を刺激する、というものだった。



この方策は40年近く前から批判はされていた。

景気要因の7%前後(当時)しか占めていない公共事業投資への資金投入では有効な景気対策にはならない、それよりは景気要因の60%を占める個人消費を活発化させる(減税等で生活負担を軽減し個人の財布の紐を緩めさせる)方が有効な景気対策だ、というもの。

自民党政権にとって幸いだったのは、この公共事業に金を注ぎ込む経済政策のせいかどうかは別にして、今まで現実に景気は回復していった事だ。



この戦後経済政策の結果?として、狭い日本の国土・47都道府県に98の空港・3,069箇所のダム・55基の原子力発電所・5,000を超える高速道路(注1)となった。

(注1)計画中含む。現在高速道路全長約6,600Kmで、毎年約250Kmの新しい高速道路が建設され、将来全長11,520Kmを予定(計画)している。

安倍自民党政権は、今回の景気対策として法人税減税や円安を作り出して輸出企業に為替差益による恩恵を与え大企業の業績・収益を良くすることによって、上の図の様に従業員の給料アップ・中小零細企業の業績良化・一般消費の活発化といった景気回復の方策を採った訳だが、一般の国民・日本の産業の大半を占める中小企業に対し効果は上がっているのだろうか。

今日は、政府マスコミが「円安になった」「株価が上がった」「物価が上がってデフレから脱却した」と毎日の様に景気回復を吹聴しているが、現実は違うんじゃないかな?といった話をしようと思っている。


確かに前に書いたように円安による為替差益の恩恵はトヨタが中間決算(半期)で1兆円を超える純益を計上したのを見ても明らかである。
だから、政府マスコミが全体の景気指標改善とか、雇用指数改善(求人倍率良化・失業率低下等)とか、喧伝している訳だし、4月には社員の給料がこれだけ上がった、景気は良くなる又は良くなったぞ、と報道するのだろうが・・・。

米経済政策の変換による円安を追い風に、安倍自民党政権はアベノミクスの「異次元緩和」(私にはこの良いイメージを与える言葉の意味=どこが良いのか、が分からない)により日銀に毎月国債を買わせて円紙幣を大量に刷って政府に渡して円安を作り出した。
日銀は日本円紙幣を増刷し通貨量を増やしたのだから日本円の国際的価値(為替レート)が低下する(円安になる)のは当たり前の事だ。

それを政府マスコミは「円安になった!景気は良くなるぞ!」とアベノミクスを褒め称えるが、我々庶民は本当に「円安で景気回復」と喜んで良いのだろうか?

まず、日本経済全体から見てみよう。

下のグラフを見てもらいたい。(三井住友信託銀行・作成資料)



《資料コメントの概要》

日本は輸出国で貿易で稼いでいるイメージだが、このところ貿易赤字が拡大している。

円安になると輸出が(金額的にも)増えるはずだが最近では生産設備を海外移転している企業も多いため、以前ほど円安による輸出量の増加はみられない。
この貿易赤字は円安により輸入価格が上がった事と震災によるエネルギー輸入の増加が主な原因。

また、日本の全消費財の20%強が輸入品で、この消費財の海外依存傾向は右肩上がりに増えて来ているのも貿易赤字の要因です。

貿易赤字ということは、貿易での稼ぎよりも海外への支払いの方が多いということです。
稼ぎよりも支払いが多いなんて、日本の将来は大丈夫でしょうか。

貿易赤字が膨らんでいくと、(貿易の決済通貨は米ドルが中心なので)日本は円を売って米ドルを買い、貿易の支払いに充てなければならないので、為替の実需の動きから円安ドル高の圧力がかかります。

赤字は膨らみ、円の価値は下がりと今後の日本が心配になってくる。

円安は日本国だけではなく、私たち個人消費者にも関係します。
家計への影響も出てくる。日本は輸入への依存度が年々高まっているので、円安になると食料品や光熱費の料金も高騰することになるからです。
・・・後略


私は円安になった、物価が上がった、と喜び安倍自民党政権を支持する国民が理解できません。(例え政府マスコミの情報操作・世論誘導の嵐に巻き込まれていても)

まさに、前に書いた「有色人種は皆殺しだ」と考えているヒトラーを崇拝する日本人と同じです。


更に円安について書きますが・・・。


円安により輸出企業の国際競争力が回復した、とする見方について、一時的なものだ、とする見解があります。


円安でも輸出が伸びない日本の競争力》…日刊ゲンダイ(2014.2.19)より要約

「円安→輸出増→全国津々浦々の景気回復」がアベノミクスのシナリオだったが、輸出は伸びず円安による輸入コスト高が貿易収支を悪化させた。
当たり前の話で、幾ら円安にして価格競争を有利にしたところで、魅力的な商品でなければ誰も買わない。
この商品力(品質・技術)・競争力がなければ力強い経済は復活しない。
アベノミクスには、そこが欠けている。

「自国通貨を安くしても産業が根源的に強くなる訳ではありません。
“通貨安”政策は発展途上国が一時的に採る政策で先進国がやることではないのです。
確かに円安にすれば、一時的には利益が上がる。
しかし、競争力・イノベーション(技術革新)が無ければ、すぐ風向きは変わってしまう。
それがない日本企業が「円高」や「法人税が高い」ことを売れない理由にしてきただけです。

そもそも、自国の通貨が安くなって喜ぶのはおかしい。

強い経済、強い通貨が理想なんです。」
…後略…(元朝日新聞編集員・山田厚史氏)


書き出すと、書きたいことが次から次へと頭に浮かぶが、あくまでショート・コメントを目指している私としては、今日はここで終わりとしたい。

今日はここまで、またね。