ルーティーンズ

2022年01月15日 | 小説 エッセイ



「ルーティーンズ」(長嶋有著 講談社刊)という本を読んだ。
下記の小説があった。
「願いのコリブリ、ロレックス」
「ルーティーンズ」
初出
「願いのコリブリ」 群像2021年2月号
「願いのロレックス」文學界2021年2月号
「ルーティーンズ」 群像2021年8月号

久しぶりに長嶋有さんの小説を読んだ。
よかったです。
この小説は“私小説”といってもいいんですかね?
「願いのコリブリ」は、愛する自転車を盗まれた妻が一人称で書いている。
「願いのロレックス」は、ロレックスの時計の、日付が変わるところをみたい夫の話だ。
この男が昔つきあっていた女がいう。
「ロレックスの日付表示は二十三時五十九分五十九秒までその日の日付で、
 ○時○分○秒を指した瞬間、パチン、と日付が切り替わる」
それを聞いてから、
男はロレックスの日付が切り替わるところをみてみたいと思うようになった。
(今日気づいたのだが、長嶋有さんは「見る」を「みる」と表記する)
「ルーティーンズ」は、この夫婦の“俺”と“私”が交互に語っていて、
「1・四月二日 俺」から「16・五月十八日 私」「17・同日 俺」で終わっている。
新型コロナで生活が変わったことが書いてある。

この夫の「ナガシマ」は小説家だ。
奥さんは漫画家です。
ナガシマは、はじめの結婚で失敗し再婚した。
そして子どもが生まれた。
コロナの影響で保育園が休園し、子どもを預けられなくなり夫婦が交代で世話をして、
お互いの仕事をしている。
私は現在の長嶋さんが、このような暮らしをしているのかな、と思ってしまう。
(でも、これはあくまでも小説だからフィクションだとは思う)

私が40代前半の頃、長嶋さんと同じ句会で俳句を作っていた。
そこには川上弘美さんもいた。
どちらも芥川賞をとり、私は何もなくただ生きてきた。
私が40歳の春、パソコン通信のAsahiネットができた。
そして筒井康隆を中心として「パスカル短編文学新人賞」が生まれた。
私は、それに投稿したくてパソコンを買い、Asahiネットに入った。
その「パスカル短編文学新人賞」の第1回の受賞者が川上弘美さんです。
「パスカル」のオフ会があり、私が最初に話した人が川上弘美さんでした。
待ち合わせ場所の池袋駅にいたときに、彼女から話しかけられた。
それから居酒屋にみんなで行き、楽しい時間を過ごした。
Asahiネットには「パスカル会議室」というものがあった。
そこに作品を投稿し、それを批評し合った。
「パスカル」が終わってから、その中の何人かで「第七句会」という句会ができた。
その句会になぜか私は誘われた。
その句会の人たちと私は、10~20歳以上離れていた。
いつもはネット句会ですが、何ヶ月に1度はオフ句会をした。
オフ句会で私は、よく長嶋さんと話した。
彼は漫画が好きで私に「ブラックジャック」を読むように勧めてくれた。
あるときは、「ブラックジャック」の「第52話」のコピーを持ってきてくれた。
(今、あらためてこの漫画を読みましたが、素敵な話です)
今回、長嶋有さんの「ルーティーンズ」という小説を読み、
あらためて長嶋有さんはがんばって書いているな、と思った。
私も、これまで何度も小説を書くことに挫折してきたが、また書こうと思いました。
読んでいて、そう思わせてくれる小説だったのです。
こんどのがんの手術が終わったら、小説を一所懸命書きます。


あの頃、ラジオで「ブラックジャック」を放送していたのです。
私の息子たちへメッセージも書いてくれました。

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