純米燗オヤジの戯言 佐用の酒屋 地酒のDON

「完全発酵の純米酒を燗で呑む文化を普及させたい」そんな純米燗伝道師を自負する酒屋のオヤジ奮闘記。

純米酒・・・そう、本来・・・山吹色だ!

2012年10月28日 | 純米酒
昨日のお客様との会話の中で・・・


「蔵に呑み忘れた日本酒があったんやけど

賞味期限ってどれぐらいなの?

傷んでいるかどうかの見分け方ってある?

まだ呑めるやろか?」


とのご質問をいただいた。


結論から言うと清酒の賞味期限は・・・無い



まず・・・

清酒の瓶やパックに載っている日付は

瓶詰め(パック詰め)された日であり

醪(もろみ)から搾られた日でもなければ

火入れされた日でもない。

だから製造日を記載しているという認識は捨てていただきたい。



これを踏まえて敢えていうならば

醪(もろみ)に醸造用アルコールや糖類・酸味料を添加されて

酵母の健全な発酵を途中で止められてしまった

弱い清酒に限っていうならば

瓶詰め時より1年を目途にしてください

とお客様に目安を示すことにしている。

もちろん高温になる場所での貯蔵や

長時間日光にさらされていたとかの場合

あるいは生酒を常温放置した場合・・・などは

味が変質するのも早くなる。


また「1年もすると清酒は傷んで酢になる」とか

実しやかに言われるがそれは嘘だ。

本来は健全な酵母で完全発酵させた純米酒というものは

ワインと同じで10年、20年の熟成に耐えられるものなのだ

そこを勘違いされているお客様が本当に多い。

だからお客さま方には

原材料名が「米」と「米麹」のみ表示してある「純米酒」をお薦めする。

弱い質の清酒

米・米麹・「醸造用アルコール」という表示になるし

そのうえに「糖類」・「酸味料」まで添加された表示の清酒まで存在する。


こんな弱い清酒が幅を利かせるようになったのは

私たち酒屋のオヤジが

本物の清酒を扱わず

ええ加減なメーカーの説明を鵜呑みにして

同じくお客様にええ加減な清酒の説明することに終始し

本来の純米酒の真価を説いていくことの労を惜しんだが為である。


ま、そんな自戒の念はさておき

次に清酒が傷んでいるかどうかの見分け方を解説する。


まずは見た目であるが

盃に注ぎその色合いが透明か黄色味がかっているかを見る。

強い純米酒以外の弱い質の清酒の場合は

炭ろ過することで

余分な雑味を取り除き(米の旨味も取り除くことになる)

本来山吹色である清酒の色も透明にして

清酒の蔵癖を失くして

まるで水のようなお酒にしてしまう。

このようにして透明にした弱い質の清酒が

黄色味がかかると

味が変質してきた証拠であり

香りも「老香(ひねか)」という劣化した臭いが顔を出すようになる。

冷暗所に置いてあったとして

瓶詰め後約1年程度で黄色味がかる。


ただし完全発酵させた杜氏渾身の作の純米酒

無ろ過あるいはフィルターろ過のみであり

純米酒の旨味を取り除くような野暮なまねはしないので

当然本来の山吹色であるし熟成により山吹色は濃くなってく


だから清酒の色をみるだけでは

傷んでいるのかを判断することは難しい。


このようなことからも

最終的判断は

実際に香りを嗅ぎ

味を利くことだ。

自分の五感に不愉快さを覚えるものは

傷んでいると判断しよう。


難しいのは・・・例えば

劣化を示す「老香(ひねか)」と

旨味の凝縮を示す「熟成香」。

この香りの相違の判断は

個々人の臭覚や味覚の嗜好に影響される。


結局簡単にいえば

香りを嗅ぐと良い香りであり

味を利いて美味しければ

呑めます。傷んでいません。(笑)


さてこんな説明を聞いた今回のお客様は


「普段日本酒を呑まないので

呑んでみても味がわかりません。

代わりに松の木に呑ませておきますわ。(笑)」


当店のホームページにも蘊蓄を載せてますョ。
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