唐茄子はカボチャ

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THE WAVE ウェイヴ

2010年08月09日 | 映画 あ行
THE WAVE ウェイヴ [DVD]

アット エンタテインメント

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内容(「Oricon」データベースより)
高校生たちに行われた心理実験。たった5日間で、独裁制が復活した…。実話に基づく、戦慄のシチュエーション・ムービー。ドイツのとある高校で行われた、“独裁制”をテーマとした授業。教師べンガーは、クラスを独裁国家に見立てた、心理実験のような授業を提案する。初めは誰もが嫌悪感を示すが、今まで経験したことのないクラスの一体感に魅せられていき、やがて走り出した集団は、コントロールを失っていった…。

・・・という話です。

でも、ちょっと疑問に思ったところもあります。授業が「独裁制」ではなかったような気がするのです。
あのクラスでやったことがすべて独裁制のプロセスだとは思えないです。かなり自由にみんなアイデアを出したりして。
それに、先生に何にも従ってないし。
団結とか、ユニフォームをそろえるとか、足を鳴らすとか、それをやると独裁っていうのは安易な感じもするし…

なんというか、独裁制の結末が先にあって、それにいろんな要素をつなげて行ったという感じで、そこに至る必然みたいなものは感じませんでした。
チームを作って、ユニフォームをそろえて、シンボルマークもつくって、というのは普通にありますよね。みんなでアイデアを出して。そこまでは独裁制とは全く関係がない普通の生徒の会話だったのに…
それがなぜ、危険な方向に生徒が行ってしまったのか。そこが全く分からないのです。ウェイブのロゴを街にいっぱいつけてしまうところがちょっと唐突すぎる気がしました。

しかも、1週間でそこまで行くとは全く思えないし。

白い服を着てこなかった生徒への徹底的な無視は独裁制の排除というよりは、ただ気に入らない生徒への陰湿ないじめみたいになってるし。これが独裁という要素では全くないですよね。

ただ、独裁制が機械的で抑圧的な統制から始まるのでなく、表向きに民主主義的な形をとりながら、いつのまにか国民が統制されていくのだろうから、民主的に見える生徒の議論が独裁とは無縁の光景とも言えないとは思うのだけれど・・

なにが違和感あるのかな?

楽しくて夢中になっている中で、先生が絡め取っていくというか、いつのまにか自由を奪っていた。みたいなものを期待していたので、逆に生徒が勝手に暴走して、それが独裁だみたいに思いこんでいるところになんか違和感を感じたのか?

うーん・・・なんか、実感がわかない。

ただ、人間の心なんて、案外簡単に操作できるような気もしているので、思いこませてしまう授業をすること自体は面白そうだけど、かなり危険なものだと思う。
体験をさせて独裁の気持ちよさを体験させてしまうのではなくて、どのように国民が熱狂していったのか、事実を伝え、理性的に独裁を排除するように考える力を養うのが授業なんじゃないのかな?

まあ、展開は面白かったけどね。こじつけっぽいところが、やっぱり納得いかない。