華語り

心に華を!!

桜月夜

2009-04-07 18:03:26 | 花だより

3月中はなんだか慌しくて、外の様子もゆっくりと眺めている暇もなく過ごしてしまいました。
三寒四温の言葉どおり、なかなか暖かさが続かなかった弥生三月。金沢の桜の開花は先月末にすでに出ていたようですが、寒い日が続いていて花の季節にはまだ遠い気がしていました。
4月にはいって数日がたち、ずいぶん暖かさが増し、春の気配が濃厚にあたりに満ち始めてきました。近所の桜もいつしか花をほころばせはじめていました。

桜の開花にあわせて、昨日から兼六園の無料開放が始まっています。
夜九時までライトアップもされており、夕べは夕飯を食べてから、帰省中の長男と夜桜見物に行ってきました。長男にしてみれば、親と夜桜見物しても何の色気もないのでしょうけれど・・・

木によっては八分咲きほどのものもありましたが、多くはまだ三,四分咲きといったところ。それでもライトに照らされた桜は昼間とは違う妖艶な雰囲気を醸し出しています。

10年前、金沢にやってきたときも、ちょうど桜の季節でした。
10日前後だったと思いますが、ずいぶん寒くて雪が舞っていたのを記憶しています。
初めての日曜日、兼六園の桜を見に行きました。途中の道はお花見渋滞で、ほんのわずかな距離なのになかなか進まず難儀しましたが、桜の花びらが舞い散る花のトンネルの下にいるのは、なんとも不思議な心地よさを感じたものです。
あのころ、まさか今、金沢に住んでいようとは思ってもいなかったのですが、子供たちがちょうどよい具合に受験などの年に引っかかってくれたおかげで、この地に暮らすことになりました。

あれから何度も兼六園の桜は見に行きましたが、同じ桜とわかっていても花に会いに行きたくなってしまいます。

空を見上げると花の間からよく冴えた月が望め、「桜月夜」とはこういった風情をいうのでしょう。
与謝野晶子が「今宵会ふ人みなうつくしき」と歌ったように、どの人もどの人も美しく見えるから不思議です。桜を眺め、春の喜びをかみしめるのはだれも彼も同じ思いなのかもしれません。