先週は比較的暖かい日が続いていましたが、週明けは再び冬に戻ってしまいました。
折角植えた春の花たちもすっかり雪をかぶってしまっています。
昼ごろにはお天道様も顔を出し、青空ものぞいていたのですが、夜になってまた雪が舞い始めました。
今日は県立美術館で一昨日から始まった特別展「百万石の大名展」を見にいってきました。
尊経閣文庫(前田家の書籍や美術工芸品などを収集したもの)所蔵の品々を中心に、利家から5代藩主綱紀の時代に至るまでの書状や書籍、美術工芸品などが展示されています。
利家の時代は書状や人物画像が中心。
秀吉の死後、朝鮮出兵している諸将に宛てた「四大老連署状」(慶長3年9月5日)は、以前大阪で行なわれた「五大老展」で見たのと同じものですが、残念ながらわが殿上杉景勝は、国許に帰国中で、連署状に名前を連ねておりません。
おまつさんの書状は相変わらず達筆で、釈文がないと読めませんし・・・
5代藩主綱紀は、様々な書籍を収集したことで知られていますが、自らも「桑華字苑」「桑華書誌」というものを書き残しています。「字苑」は博物学的なことを、「書誌」は書誌学的なものを書き記しています。具体的にいうと、「字苑」では、葉っぱの形や葉脈に至るまで、草や木に関して、スケッチと言葉で、それはそれは事細かに記しています。綱紀さん、さすがメモ魔です。
中でも少々感慨深かったのは、狩野探幽の筆による「楠公訣児図」。楠木正成が死の間際、子の正行に帝への忠誠を説いたという逸話を描いたもの。
この図のことが今読んでいる藤岡作太郎の日記に出てくるのです。16代当主前田利為の結婚披露園遊会に招かれた時、この絵が掲げられていた、と。(作太郎さん、結婚披露宴に招かれたのに、披露宴の様子は一切記さず、飾られていた絵などをこと細かく記録しています。)100年ほど前の記録に残されたのと同じものを見るというのは、なんとも不思議な感慨です。
尊経閣文庫には、国宝も何点か所蔵されていますが、今回「金沢万葉」とも呼ばれている平安時代に写された万葉集が、展示されていました。(後期には「古今集巻第十九残巻(高野切)が展示されるようです。)
先人達が伝え残してくれたおかげで、現在も目にすることができる優れた品々に触れて、寒風の中、心はどこか温かい思いを抱いて美術館をあとにしました。
蛇足ですが。。。
昨秋のリニューアルオープンに伴い、辻口博啓氏のパティスリ-&カフェ(ル ミュゼ ドゥ アッシュ)が美術館内にオープンしました。立ち寄ってみたかったのですが、一人だし、時間もなかったので、お楽しみはまたこの次に。