手に取れば袖さへにほふをみなへしこの白露に散らまく惜しも (万葉集)
高岡市にある万葉歴史館の庭に咲いていた女郎花です。
万葉歴史館では、万葉集にちなんだ草木が、季節ごとに植えられていて、女郎花はもちろん秋の庭に。秋の庭には他に、萩やフジバカマ、かわらなでしこなど、秋を代表する草花が植えられています。春の庭などは時期になるととても華やかなのでしょうが、秋の庭は華やかさはないものの、静寂にあふれた雰囲気があります。それはそれで、風情があって・・・
この女郎花はまだ咲ききっていなくて、半ばつぼみの状態。もう少し、花が開くと、黄色がもっと鮮やかに映ることでしょう。
金沢から高岡へ向かう途中、倶利伽羅峠のバイパスの両側に、黄色い花が群れて咲いていました。今思うと女郎花の群生だったのかな、と。
女郎花も秋を代表する花のひとつで、古来からたくさんの歌に詠まれてきました。
万葉歴史館の女郎花ということで、万葉集から一首選んでみました。
おみなえしは、手にとってみると、ほのかにその香りが袖に移ってくる。その香りをただむやみに、花に置かれた白露に散らしてしまうのは、なんとも惜しいことだ。
女郎花のほのかな香りが、ただ、露に溶けていってしまうのを惜しんでいます。誰か大切な人にその香りを楽しんでもらいたい、そんな思いが伝わってくるようでもあります。
《おまけ》
兼六園では白萩を写してきましたが、桃色の萩も咲いていたので、写してきました。
高岡市万葉歴史館(公式サイト)
(2004/10/04)