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映画・演劇のレビュー

越谷オサム『金曜のバカ』

2014-05-15 19:45:16 | その他
 『陽だまりの彼女』の越谷オサムによる短編集だ。彼の本を読むのはこれで2冊目。今回もたまたま読む本がなくて手にした。『陽だまり』はあのあまりのオチにずっこけたのだが、あの1冊で、もう免疫ができているので、何をされても今回は驚かない。文庫版の解説を吉田大八が書いているので、気になって読んでしまった。『桐島、部活やめるってよ』を作った吉田監督のあの感性が、越谷作品をどう読むのか、気になったからだ。なか . . . 本文を読む
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劇団大阪シニア演劇大学『煙が目にしみる』

2014-05-13 22:14:26 | 演劇
1時間20分という上演時間が実に好ましい。オリジナル台本をそのまま見せるのではなく、カットすることでエッセンスを抽出する。この作品の持つ雰囲気を大事にして、テンポよく見せて気持ちよく終わらせる。軽やかさはこの作品の身上だ。  シニアだけによるよるキャスティングは、時に冗談のような配役も必要とするけど、それが楽しめる。(昨年見た作品は衝撃的だったけど、今回の女子高生も凄い。本当言うと、前回の幼女 . . . 本文を読む
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dracom『たんじょうかい ♯2』

2014-05-13 22:12:07 | 演劇
 筒井潤さんが、今回取り上げた3作品は、前作以上に冒険的だ。しかも、自分にしか出来ない(というか、しない)演出によって、(それでなくては彼がする意味はない)それぞれの作品を料理する手際は見事としか言いようがない。おもしろい。  だが、アフタートークで稲田真理さんが敢えて苦言を呈していたこともわからないではない。彼女ははっきりと「これじゃ、台本はいらないじゃないですか!」と言っていたのだ。筒井さん . . . 本文を読む
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『アメイジング・スパイダーマン2』

2014-05-13 22:03:04 | 映画
 いろんな意味で疲れていたから、何も考えず、楽しめて元気になれる映画が見たかった。そこでこの映画を選んだのだが、予想に反して、つまらない映画でがっかりした。ハリウッドの娯楽映画は最近どんどんつまらなくなっている。特にこの手のヒーローものは、もうどうしようもなくマンネリ化している。先日見た『キャプテン・アメリカ ウインターソルジャー』が久々に興奮する映画だったので、もしかしたら、こちらはそれ以上の作 . . . 本文を読む
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『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命』

2014-05-11 20:26:53 | 映画
 未公開、あるいは単館公開の地味な映画をツタヤで発掘してくるのは秘かな楽しみだ。結構リスキーなのだが、思いもしないような作品に出会うとかなりうれしい。膨大な映画の中から、敢えて選ぶ1作だから、慎重に選択する。情報源はパッケージのデザインと、紹介文だけである。もちろん、スタッフ、キャストで選ぶことも可能だが、発掘なのだから、知らない監督、未知の国の映画を選ぶことが多い。こんな映画作られていたんだ、と . . . 本文を読む
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スクエア『アベノ座の怪人たち』

2014-05-11 20:25:35 | 演劇
 とても単純な構造の芝居なのだが、よくできていて、単調な芝居で2時間以上の長尺なのに、なぜか全く飽きさせない。串団子方式の単調なストーリー展開(毎回長い完全暗転がある)なのだが、ショートストーリとしてそれぞれが独立した様相を呈しており、ゲストの役者の個性にも助けられて、次はどんな話がくるのか、とワクワクさせられる。いつものスクエアとはいささか趣を異にしているけど、それは近鉄アート館のオープニング企 . . . 本文を読む
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劇団大阪新撰組『タカラバコ』

2014-05-11 20:23:57 | 演劇
 泥臭くて垢抜けない。でも、とても暖かくて、気持ちがいい。これこそ新撰組の芝居だ、そう思わされる。そんな作品を南陽子さんが作った。そのことを心から喜びたい。いくつもの試行錯誤を経て、ようやくここまでたどりついたのだ。2時間超えの大作である。これは彼女の本格長編作品第1作でもある。さらには、結構ダークな内容でもある。きちんと世界観を確立して、ここに描かれる社会の在り方を背景にして怖い作品を作ることも . . . 本文を読む
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『ケルベロスの肖像』

2014-05-11 20:22:40 | 映画
 海堂尊の小説を映画化した『チームバチスタの栄光』からスタートしたこのシリーズは、映画では竹内結子と阿部寛が主演して2本作られた。どちらもよくできた作品でよかったのだが、その2作品も含めて、さらに数作品がTVドラマとして制作された。そちらは伊藤淳史と仲村トオルが主演する。今回の映画は、なんとそのTV版のスタッフ、キャストによるものだ。  よくあるTVシリーズの劇場版なのだが、先行する映画シリーズ . . . 本文を読む
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『クロワッサンで朝食を』

2014-05-11 20:16:20 | 映画
ジャンヌ・モローが頑なな老女を演じる。金持ちだけど、身寄りもなく、一人ぼっちなのに、人を拒否する。憐れまれるのはいや。人を見下すのは、プライドの高さだけではなく、拒絶されるのが怖いからかもしれない。そんな彼女のもとに家政婦としてやってきた中年女性。エストニアからパリに出てきた。老人ホームで働いていたが、仕事を辞めて2年間老いた母親の介護をして、看取った。一人になった彼女が、そんなわがままな寝たき . . . 本文を読む
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『人生、いろどり』

2014-05-08 21:24:06 | 映画
 『まいちゃん、すーちゃん、さわこさん』の御法川修監督の作品。公開順はこの作品のほうが『まいちゃん』より先になるのだが、DVDリリースは逆転した。  この2本の映画は、まるで姉妹編のような2作品である。2作品とも、3人の女性が主人公。30代の3人を描いた『まいちゃん』のほうが、作品としてはずっと素晴らしいけど、この60代の3人を描いた作品も悪くはない。彼らしさがちゃんと出ている。  ただ、台本 . . . 本文を読む
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松岡圭祐『ジェームスボンドは来ない』

2014-05-08 21:21:09 | その他
こんな事実があったのか、そう思うと、なんだか胸が痛い。このノンフィクションっぽい小説を支えるのは、直島に「007映画」を呼ぶという無邪気な試みが村民の願いになるところにある。よくある村興しの話なのだが、007というところがいい。 そして、そこには、ひとりの少女が大人のみんなを引っ張って、夢の実現に向けて前進していく姿が描かれる。やがては県を動かし、一大プロジェクトとなる。だが、予算はつかない . . . 本文を読む
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『キャプテンアメリカ ウインターソルジャー』

2014-05-08 21:19:46 | 映画
 『アメイジング・スパイダーマン2』を見るつもりだったけど、この映画が気になって、選択を変更した。もちろん、こちらにして正解だった。同じようなヒーローものだが、この映画のアプローチには感動した。斬新だ。アメコミの映画化は疲れを知らない。怒濤のように押し寄せてくる。でも、どれを見てももう同じようのものばかりで、感動はない。もちろん、ノーランの『バットマン』シリーズのような別格はあるけど、それは例外中 . . . 本文を読む
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『そこのみにて光輝く』

2014-05-08 21:16:33 | 映画
こんなにも暗くて、つらい映画なんか見たくはない。でも、スクリーンから一瞬も目が離せない。ずっとこの主人公2人の姿を凝視してしまう。2人の間に入ってうろうろする彼女の弟も含めた3人の姿をただただ追いかける。彼らがどこに行きつくのかを目撃してしまう。きっと悲惨な最期が待っている。ここにハッピーエンドはあり得ない。わかっていても、凝視してしまう。そうさせるだけの「何か」がここにはある。 人間の暗い . . . 本文を読む
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『テルマエロマエ Ⅱ』

2014-05-08 21:09:50 | 映画
あの大ヒット作の第2弾である。前作は不意を突かれた。その手があったのか、と新鮮な驚きに包まれた。映画自身の出来はともかくとして、そのアプローチに感動させられた。吹き替えであることを逆手に取ったバカバカしさも悪くなかった。冗談のような映画を本気で作ったことによる感動がそこにはあったのだ。だが、その手が2度は通じないだろう、と思う。だから、この映画は普通じゃないような仕掛けがなくては前作を超えること . . . 本文を読む
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『プリズナーズ』

2014-05-07 21:45:04 | 映画
 一歩間違うと、人はこういうふうになるかもしれない。最愛の娘を誘拐された父親(ヒュー・ジャックマン)が、なり振りかまわず犯人を追いつめる映画だ。痛ましい話である。だが、過剰な行為は彼を日常から突き放す。今までの生活が損なわれるのだ。彼はもちろん悪い人ではない。だが、何としても娘を捜し出したい。怪しい奴はとことん追い詰める。やりすぎだなんて思わない。そんなことにかまっていられるような余裕はないからだ . . . 本文を読む
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