原色をベースにしたカラフルな世界はいつものサリngROCKの世界である。サイケで乱暴、なのに見事な統一感がとられている。だが、いつものそんな空間で、展開していくお話のほうは、なぜかドライブ感がない。いつもならここから大きくコースアウトしていく、という場面でなぜかそうならないまま、先に進んでいく。
日常のラインから大きく逸脱していく異形のものを描くサリngが、今回は、その日常というラインに踏み . . . 本文を読む
何のために芝居を見ているのだろうか。そんな本質的な問題に対して真摯な答えを出してくれる。太陽族はそんな数少ない劇団だ。
劇についての劇という一種のバックステージもののスタイルを取る今回の作品は、楽屋落ちすれすれのネタも孕みながら、そこには劇そのものに対するギリギリの切実な問いかけがある。今月(3月)のウイングフィールド・ホットプレスに於ける岩崎さんの訴えとも連動して、メッセージが前面に出るこ . . . 本文を読む
前半のドタバタ振りがあまりしっくりこないのは、若い役者たちがへんにパターン化された芝居をしてしまうからだ。つかみの部分で乗り切れないのは辛い。話自体は面白いだけに、残念だ。
4人暮らしの女たちのところに、いきなりスーパーマンが紙袋を提げ泊めてもらいにやって来る。まるでいつもの調子で猫なんかを拾ってきたように、スーパーマンを家に連れてくる女。女だけの部屋に外人の男を泊めるのはどうだか、と思う . . . 本文を読む
この劇団はとてもおもしろい発想をする。見せ方も個性的で悪くない。自分たちのスタイルをしっかり持っていて、その方法論を実践している。様々な実験を試みてくれるので毎回楽しい。 だけれども、いつも頭でっかちで内容がスタイルに追いつかない。手段にばかり気を取られて、それだけで自己満足している。いくら形が面白くても中身がなくては無意味だと思うが。
もちろんスタイルが内容を凌駕するなんて場合もないではな . . . 本文を読む
これはずるいと思った。初老のオヤジ(芦原すなお)が若い女のことを(主人公の翠だけでなく、その周囲の女たちも含めて)バカにして書いているように見えて、なんだか、ちょっとむかつく。だけれども、最後近くまで我慢して読んでいくうちに、こういうバカ女(自分ではいけてると思ってるはず)にもリアリティーがある気がしてきた。若いということは、こういうことなのかな、なんて思い始めた。作者は彼女をバカにしているので . . . 本文を読む
恋人に別れを告げられ、その日から眠れなくなってしまった男の話。仕方ないから深夜のスーパーマーケットでバイトを始める。そこで彼は不思議な体験をする。世界がフリーズしてしまい、自分だけがそこで動き回ることが出来るようになるのだ。これは夢の出来事なのか、と思う。だが、事実だ。彼は静止した世界をさまよい、そこできれいな女の人を裸にして写生したりする。彼は美大生だったりもする。なんだか、ちょっとエッチな映 . . . 本文を読む
ゴールデンゲート・ブリッジでは、年間平均24人の投身自殺者を出しているらしい。(24という数字はなんだか微妙だ。恣意的な印象すら与える)
この有名な場所で、たくさんの人が見ている前で死んでいくこと。その意味を追求していく、わけではない。もう少し広い意味での自殺者の対してのお話になっている。映画全体の間口が広すぎる。その結果自殺防止キャンペーンみたくなってしまうのが残念だ。独立したドキュメンタ . . . 本文を読む
こんなにも自分たちが泣きまくっている映画を見たのは生まれて初めての体験だ。スクリーンを見ながら涙が止まらなくなるというのはyくあることだが、スクリーンの向こう側で、役者たち(この映画の場合はアニメなんでこの言い方はあれだが)がこんなにも泣きまくるって異常なことだ。
自分たちの悲惨な状況に対して泣き、仲間のことを思っては泣く。感動しては泣き、ずっとあらゆる感情に対して、泣く、というリアクション . . . 本文を読む
一体何なんだ?このマニアックで静謐を湛えた映画は。(思わず倒置法になってしまった!)これはコメディーとは言わない。笑わせることが目的ではない。だが、こんなにも笑える映画もない。
この映画の主人公たちの生き様の無様さが笑える、というわけでもない。彼らは誠実で一生懸命だ。確かに不器用である。こんなやつが居たら可哀想だがうまく社会に順応できないだろう。真面目に生きていることがこんなにも笑えるなんて . . . 本文を読む
松田優作のあの有名なTVドラマではないよ。もちろん根岸吉太郎監督の映画でもないし。(薬師丸と優作主演のこの映画は隠れた名作。当時空前絶後の大ヒットしたのに、今では忘れられた映画になっている)
三池崇史が昨年撮った新作映画だ。あのマカロニウエスタンムービー『ジャンゴ』と同時期にひっそり公開された作品らしい。大阪では未公開ではないか?
おい!三池崇史、おまえいいかげんにしろよな、と思わず . . . 本文を読む
ここまで無意味でくだらない映画は他にない。三木聡のこれまでの作品すら遥かに凌ぐ脱力系コメディーである。思いつきといいかげんを身上に、どうでもいい話を何だかよくわからないまま必死にになって作っていき、そのくせそれをおざなりの見せ方で示す。「思いつき」なので整合性なんかまるでないし、「いいかげん」なんですぐごまかして話を先に進める。
まぁ、語るべき話なんてまるでないから、ただ煎餅でも齧りながら、 . . . 本文を読む
ようやく『ラスト・コーション』を見てきた。公開から1ヶ月も経ち、この日で上映が終了するというまさに「ラスト」でようやく見ることが出来た。本当は何よりもまず、この映画を先に見るべきであった。そんなこと言われないでもわかっている。
『ウエディング・バンゲット』で初めてアン・リーを見た時から彼の映画の虜だ。『恋人たちの食卓』が僕にとってのベスト・ワンである。あれだけ繊細に人の心を描とった作品は他に . . . 本文を読む
シーン、シーンをコラージュさせて早いテンポで展開していく。役者たちが次々に役を変えていき、場所も状況もめまぐるしい勢いで転換していく。厚生年金会館芸術ホールでの公演なので、マイクを使用しており、誰が喋っているのかもよくわからない。話している役者を探すのも、一苦労。でも、見つけた頃には次のシーンになっていることも。
男だけの集団(それが売りでもある)なのだが、女の役もたくさんあり、男が女を演じ . . . 本文を読む
とてもあっさりした作品で、お話らしいいお話もない。とっかかりがないから、演出する上でとても大変だっただろうと思う。
みかんがむを解散してしばらく活動を中断されていた森美幸さんの久々の新作である。演出はもちろんよろずや主宰の寺田夢酔さん。この2人のコンビはよろずやの前作『青眉のひと』に続いて2度目。『青眉のひと』は初演は見ているが前回公演を見逃しているので、彼らがどんなことをしたのかはわからな . . . 本文を読む
溝口は苦手だ。最初に見たのが『雨月物語』である。期待して見た。あの頃は、まだ高校生だった。でも、いっぱしの映画マニアを気取っていた。フェリーニだとか、小津だとか、偉そうに言っていたのだよ。で、世界の巨匠ミゾグチである。
気合入れて見ました。でも、ぜんぜんわからなかった。面白くなかったのだ。でも、恥ずかしくてつまらなかったなんて言えなかった。それがトラウマになって溝口嫌いになった。(まぁ、それ . . . 本文を読む