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今年の2月公開でガンガン宣伝していたのに、公開直前に起きた修学旅行のバス事故のあおりを受けて公開延期になっていたのだが、ようやく4カ月遅れで上映が始まった。確かにあの時期この映画の公開は不可能だっただろう。あまりにもドンピシャで、驚くばかりだった。修学旅行のバス事故で高校生が死んで地獄に行く話なのだから。しかも、こういうバカバカしい内容の映画だし。(まぁ、そこは関係ないかぁ)
アホにもほどがあるような内容で、脱力するしかない。宮藤官九郎は、ノリだけでこんなにも大変な映画を作ってしまう。チープな映像に、けばけばしいメイク。絵に描いたような地獄の風景には笑うしかない。内容もこの軽薄な映画にぴったり。何一つ中身のないコメディである。それをこんなにも全力で作ってしまう潔さ。ふざけているのではなく、本気で熱い(暑苦しい)映画だ。
良識あるおとなが見たなら、怒り出すかも、と思うほど、バカバカしい。それをしつこく二時間以上延々と繰り返す。地獄じゃ。
全く期待せずに見たなら、笑える。怒る。二者択一。それしかない。期待して見てしまった僕はいささか複雑だった。宮藤監督のデビュー作『真夜中の弥次さん喜多さん』のテイストに近いけど、あれはちゃんとしたダークな世界で、これはノーテンキな地獄。
途中で、天国のシーンも出てくるけど、あの天国のほうが地獄かも、と思わせるところがこの映画の意図なのか。この世に何度となく転生してくる(しかも、虫になって)シーンもこの世の方が地獄か、と思わせる。だから、地獄が極楽。そんな映画。自由に楽しく過ごす地獄の日々。バンド組んで、ライブして、赤鬼さん(主役の長瀬智也)、青鬼さん(桐谷健太)もいい人たち。
予告編(正月ごろからどんだけ見たことか)の衝撃を超えるものは残念ながらない。もう少しストーリーに仕掛けがあるといいのだが、思いつきでしかない。でも、それを何も考えずホイホイやっている。普通なら脳内で楽しんでクスッと笑って終わるようなたわいもない話なのだ。それをよくもまぁ、無駄に労力を尽くし、一本の大作映画に仕立てた。そのエネルギーには感服する。でも、なぁ、と思う。