
シリーズ第一期の完結編になる第4作。この先どこまで作られるのかはわからないし、今回で終わりになるかもしれない。もちろん大ヒットするだろうから、次の準備はしているはず。だけど、役者たちのスケジュールやさまざまな問題は山積み。それでも山﨑賢人も佐藤信介監督もこの先を目指すことだろう。すでに公開から4日で22億円の大ヒットスタートしているらしい。
冒頭5分くらい丁寧にこれまでのあらすじが実にテンポよく描かれる。そして本編が始まるといきなり激しいバトルだ。前作の最後に登場した吉川晃司に信(山﨑賢人)たちが挑む。だが敵はあまりに強い。激しい戦いのシーンが延々と続く。全く叶わない。最後は命からがらで、なんとか逃げる。ここまでが序盤戦。
小さな出来事もお座なりにせず(冒頭のたったひとりの大事な友人の死!)丁寧に描き、その上で大きな出来事(ラストな最高の師の死)にきちんとつなぐ。ふたつは信にとっては等価なものである。佐藤監督は2時間半の長さをバランスよく見事に使いこなす。膨大な登場人物を分け隔てなくしっかり描く。
主人公はあくまでも山﨑賢人だが、今回はタイトルにもある大将軍、大沢たかおが実質的には主人公になる。なのに満足出来てしまうし、納得するのは映画がちゃんと山﨑賢人の視点から離れることなく描かれるからだ。
膨大なお話をダイジェストにすることなく、きちんとテンポよく描く。思えばこれまでの3作品はいずれもまるで違うテイストだった。そのことも凄い。(2作目なんて2日くらいの話だった!)だが、それだけではない。今回はこれまでの総決算なのである。ここまでの3本が壮大な予告編だったようにすら思わせるのだ。それって凄くないか? 要するに、これが実に上手く完結編にふさわしい重厚な作品に仕上がっているということなのだ。
この映画の魅力はストーリーを追うのではなく、今ある状況との戦いを描くというところにある。どんどん凄い敵が現れてくるけど、それがただのバトルにはならない。もしそうなっていればこれはただの退屈なだけの映画に堕す。派手なだけの戦闘はすぐ飽きるからだ。きちんと個々の人間を描くから興味深い。
最後は吉川晃司と大沢たかおのタイマン勝負になるが、そこは戦場でただ中で何万人の戦いを描くスペクタクルの中に1対1のその戦いを配する。なのにそれが嘘っぽくはならないというのがまた凄い。
よくもまぁこれだけ思い切った映画を作ったものだと感心する。これは今年一番の娯楽大作、超映画である。