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久々の西部劇だが、今時単純なウエスタンでは映画として成立しない。追う者と追われる者、2対2の追跡劇というスタイルなのだが、彼らの想いが一つになり、協力して金を手に入れたとき、ほんの少しの過剰な欲がすべてをダメにしていく。欲張ったら身を滅ぼす、なんていう単純すぎる答えがこんなにも身に沁みる。シンプルな映画だから主張が明確で、そこに至るドラマも単純だけど説得力があるから、納得する。
シスターズ・ブラザーズなんていうなんか冗談みたいな名前の兄弟が主人公。黄金を求める彼らの旅が描かれる。もともとはそうではなかった。殺し屋である彼らはボスから依頼された金を見つけることができる化学式を持つ男を捕らえることが仕事だった。だけれども。気付くと金に魅入られている。自分たちの夢と自由を求める。
旅の途上でさまざまなできごとに遭遇し、自分の今の想いを見つめて、映画はだんだん彼ら自身の魂の旅という趣を呈してくる。殺し屋なんか辞めたい心優しい兄と、粗暴な弟。彼らがこの旅の先にたどりつく場所が素晴らしい。そのまるでおとぎ話のような優しさに満ちたラストを見た時、胸一杯になる。結局はそこなのか、とやはり納得する。監督は「ディーパンの闘い」のフランスの名匠ジャック・オーディアール。さすが。初のアメリカ映画だが、自分らしさを見失わない。