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習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『リサイクル 死界』

2008-04-19 23:11:42 | 映画
 あるDVDを見ていてそこに納められたこの映画の予告編を見て、その衝撃のビジュアルに魅了された。これはぜひ今すぐ見なくてはと思い、すぐにレンタルしてきた。タイのパン兄弟(オキサイド&ダニー・パン)による新作。東京では昨年6月に公開されたらしい。香港とタイの合作。

 もうひとつの世界をSFXを駆使して描く映画なんて、もう掃いて棄てるほどあるが、そんな中でもこの映画に惹かれたのは、その廃墟のビジュアルである。何かに似ていると思った。それって九龍城砦の迷宮だ。この映画はあの風景を再現したのである。それって、かってピーター・チャンが『THREE 臨死』の第三話で見せてくれたあの誰も住んでいない集合住宅にも似ている。あの映画は怖かった。取り壊しになるここに引越してきたエリック・ツァンとその息子がここにたった一人住んでいたレオン・ライの男と出会い体験する不思議な世界が描かれる。

 パン兄弟によるこの映画もまた、死の向こう側にあるものを扱った作品だ。見棄てられ、忘れられた場所、と物、人。死の世界のビジュアルがへんな空想の産物ではなく、とてもリアルな廃墟であるところに心惹かれた。迷路のような巨大集合住宅の残骸の中をさまようヒロインという設定がいい。作家の妄想が、現実となるというありきたりな話だが、それでもそれを、現実の向こうにある死の世界に誘う導入の仕方が上手いので、ついつい見てしまう。マンションのエレベータで、幽霊の親子と一緒になり、そのまま別世界に入っていく。

 圧倒的なそのビジュアルが活かしきれていないのは残念だし、徐々にアクション映画みたいになっていくのも興ざめだが、これでもか、これでもかというイメージの洪水には感動させられた。なんだかロールプレイングゲームみたくなるのもご愛嬌だ。さすがにゾンビものはいただけないが。

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