
夏休みのお子さまランチとして見たならば、別に腹も立たないけど、大人向けの1本の映画としては、これではあんまりではないか。今時、子供用、大人用の区別なんて『ポケモン』や『ドラえもん』ならいざ知らず、こういうタイプの映画ではなくなっている。『ハリーポッター』は大人だって見るし、『スパイダーマン』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』なんかは決して子供向けではない。
そんな時代に、明らかに大人を舐めてかかったようなつくり方をしてしまったこの映画は当然のこととして、子供にも見向きされないという事態にもなりかねない。いくらフジテレビが巨費を投じて作ったからといって、TVならいざ知らず劇場では、無理だ。
それにしてもこの酷さは何なんだろうか。TVシリーズは見てないので、よく分からないが、視聴者はこのレベルで、満足していたのだろうか。(でなくては、劇場用映画にはならんはな)
『踊る大走査線』を本広克行と共に手掛けた澤田鎌作の劇場用第1作ということもあり、実はほんの少し期待していたのだ。『踊る』のようなマニアックなものにはなるまいが、映画ならではのドラマ作りが、ここにはある、と思ってワクワクして見たのだ。なのに、結果はリアリティーのかけらもない単調なバカバカしい物語しかなく、それを巨費を投入して、リアルな映像として見せるが、それだけ。その程度ではハリウッドのバカ映画にも及ばない。
『踊る』の澤田版は本広版と比べ、さらなるエンタメをしていた。それはあのドラマのテイストには馴染まないが、2人の個性が並行することでドラマのバランスをよくしていたのは事実だ。だから、映画版の『踊る』には大作としての風格が欠けていた。だからこそ、今、満を持して澤田が映画に挑むということは、僕にとっては大きなイベントとなると思ったのだ。
なのに、これはどういうことか。彼は一体この作品で何をしようとしたのか。それさえ良く解らない。まず大切なのは作り手の意志であり、シナリオの面白さである。
これでは子供騙しにすらならない。こういう安直さでは誰も納得すまい。これでは作品世界は広がらないし、作り手に世界観も見えない。中国まで行って何をしたかったんだか。『西遊記』の中のどういう要素を捕らえ、どういう世界を示そうとするのか。それだけでも提示して欲しい。金角、銀角の2人の目指したもの、それに対し悟空たちの示すもの、そのぶつかり合いに納得できないことには、どんな激しいバトルを見せても何の意味もない。
ラストで、ゴダイゴの『ガンダーラ』が流れて、一瞬胸が痛くなったが、あれはあの歌のロマンがこちらの胸に伝わっただけでこの映画とは何の関係もない。あの歌にある世界観のほんの1%でもここにあったなら、なんて思う。堺正章によるオリジナル(ということにしておこう)にあったロマンがここにはない。それが痛い。
香取慎吾はほんとによくやっているし、銀角の岸谷五朗は『龍が如く』に続いてここでも狂犬を嬉々として演じ、いい雰囲気を出しているだけに、残念でならない。
そんな時代に、明らかに大人を舐めてかかったようなつくり方をしてしまったこの映画は当然のこととして、子供にも見向きされないという事態にもなりかねない。いくらフジテレビが巨費を投じて作ったからといって、TVならいざ知らず劇場では、無理だ。
それにしてもこの酷さは何なんだろうか。TVシリーズは見てないので、よく分からないが、視聴者はこのレベルで、満足していたのだろうか。(でなくては、劇場用映画にはならんはな)
『踊る大走査線』を本広克行と共に手掛けた澤田鎌作の劇場用第1作ということもあり、実はほんの少し期待していたのだ。『踊る』のようなマニアックなものにはなるまいが、映画ならではのドラマ作りが、ここにはある、と思ってワクワクして見たのだ。なのに、結果はリアリティーのかけらもない単調なバカバカしい物語しかなく、それを巨費を投入して、リアルな映像として見せるが、それだけ。その程度ではハリウッドのバカ映画にも及ばない。
『踊る』の澤田版は本広版と比べ、さらなるエンタメをしていた。それはあのドラマのテイストには馴染まないが、2人の個性が並行することでドラマのバランスをよくしていたのは事実だ。だから、映画版の『踊る』には大作としての風格が欠けていた。だからこそ、今、満を持して澤田が映画に挑むということは、僕にとっては大きなイベントとなると思ったのだ。
なのに、これはどういうことか。彼は一体この作品で何をしようとしたのか。それさえ良く解らない。まず大切なのは作り手の意志であり、シナリオの面白さである。
これでは子供騙しにすらならない。こういう安直さでは誰も納得すまい。これでは作品世界は広がらないし、作り手に世界観も見えない。中国まで行って何をしたかったんだか。『西遊記』の中のどういう要素を捕らえ、どういう世界を示そうとするのか。それだけでも提示して欲しい。金角、銀角の2人の目指したもの、それに対し悟空たちの示すもの、そのぶつかり合いに納得できないことには、どんな激しいバトルを見せても何の意味もない。
ラストで、ゴダイゴの『ガンダーラ』が流れて、一瞬胸が痛くなったが、あれはあの歌のロマンがこちらの胸に伝わっただけでこの映画とは何の関係もない。あの歌にある世界観のほんの1%でもここにあったなら、なんて思う。堺正章によるオリジナル(ということにしておこう)にあったロマンがここにはない。それが痛い。
香取慎吾はほんとによくやっているし、銀角の岸谷五朗は『龍が如く』に続いてここでも狂犬を嬉々として演じ、いい雰囲気を出しているだけに、残念でならない。