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映画・演劇のレビュー

『さよなら人類』

2015-09-27 22:18:36 | 映画
ロイ・アンダーソン監督のこの作品を最終日の最終上映でようやく見ることができた。なんとか間に合ってよかった。この秋一番見たかった映画なのに、いつものように時間がなくて、こんなことになった。でも、見ることができてよかった。

このとんでもなく寂しい映画を見ながら、ここにはなんにもないな、と思う。何にもない、何にもない、何にもない世界にただ風が吹いてた、というのは確かギャートルズの歌の歌詞か? まさにそんな感じ。でも、それを受け入れたいと思う。最初はこの映画が象徴するものは、とか理詰めで映画を見ていたけど、だんだんどうでもよくなってくる。最初からロイ・アンダーソンにはそんな気はない。この象徴的な日本語タイトルに影響されて、終わりの風景としてこの映画を捉えてしまったし、そのこと自身にはなんの問題もない。だが、そのことすら、どうでもいいことなのだろう。

おもしろグッズを売り歩いているふたりの男が一応主人公なのだが、そんなこともどうでもいい。ワンシーン、ワンカットで撮られる一幕劇の連鎖。でも、そこには特別のストーリーはない。なんのことなのか、意味わかんない、というエピソードも多々。えっ? で終わり。とぼけているのではない。笑えるわけでもない。笑えないよ、これは。

冒頭に3つの死が描かれる。字幕でそう言われたから構えたけど、ほんとうに死んだの、と思うエピソードも。そのあと、なんとなく、お話は地続きで始まる。4つ目のエピソードも死ですか、と思うくらい。でも、もう死なない。短い話も、いたずらに長い話もある。でも、すべて、ワンシーン、ワンカット。カメラの移動はなし。据えっぱなし。何もなく、終わる。終わった瞬間、えっ、終わりなの、と思うくらいにさりげない。彼らの売るおもしろグッズは正直言うと、つまらない。こんなの、誰が買うんだ、と思う。吸血鬼の牙、とか、変顔おめん(マスクかぁ)、とか。どうでも、いい。

時間も現在だと思ってたら、昔だったり。ここは、どこ。今はいつ。まぁ、どうでもいいかぁ、である。映画のあと、グランフロントの横を通って大阪駅に戻る。この巨大な商業施設と、駅には、たくさんの人たちがあふれている。週末の夜。でも、なんだか、そこがとんでもなく寂しい場所に思える。


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