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映画・演劇のレビュー

『花まんま』

2025-04-25 11:45:00 | 映画
前田哲監督の新作だ。彼の映画は毎年続々と公開される。いずれも笑わせて泣かせるヒューマンドラマ。あまりにそればかりが続くから心配するくらい。だけど本人は平然とオファーを受けて毎回感動的な映画を提示していく。これはこれで立派だ。

今回は鈴木亮平、有村架純のコンビが主人公の兄妹を演じる。お話はちょっとしたファンタジーである。現実ではあり得ない出来事を自然に日常の日々の中で見せてくれる。大阪を舞台にしているけど、さりげない大阪弁でコテコテの嘘くさい大阪にはしない。主演のふたりが関西出身であることだけでなく、あり得ない話だから、丁寧に見せる努力をした。その賜物であろう。お話には基本設定以外には何の仕掛けも捻りもない。あまりに単純すぎてここでも心配するくらいだ。だけど主人公のふたりがさりげなく上手いから最後まで飽きさせない。お決まりの結婚式の兄のスピーチで泣かせる。あまりにベタな人情劇で乗れない人も多々いるだろう。前田監督のファンである僕もさすがにこれは「何だかなぁ」と思った。

他人の記憶がある。その人は彼女が生まれた時に同じ病院ですれ違って亡くなった人である。生まれ変わりではない。ただすれ違っただけ。死んだ彼女の記憶が生まれたときからある(残っている?)。そんな不思議から始まる物語。

主人公である鈴木・有村のふたりの子ども時代を演じた子どもたちがあまりよくないのが残念だ。しかもこのふたりは小学1年と5年にも見えないし。この幼いふたりが東大阪から近江くんだりまで旅するシーンに感動できたらいい映画になったのに残念である。そこがお話の肝である。

心地よく嘘でしかない世界に酔わされるのがこの映画の魅力であるはず。だけど残念だが上手く乗り切れない。冒頭の夢のシーンから嫌な予感はしたけど、そんな予感が当たったしまった。

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