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映画・演劇のレビュー

ブルーシャトルプロデュース『戦場の翼』

2019-07-15 15:17:44 | 演劇

 

今回も昨年と同様、3話からなるオムニバス・スタイルで見せる。100分間で1941-45年を描く。ゼロの誕生から終焉までのゼロの時代を描く。宮崎アニメ『風立ちぬ』で有名になった堀越二郎の物語から始まり、真珠湾攻撃を経て、東京大空襲までを現代のシーンであるプロローグとエピローグを含めて見せて、100分という上演時間の短さには驚く。

 

流れるように日本が太平洋戦争に突入し、敗戦していくまでをゼロを通して一気に見せていくのだ。これまで7年間の集大成という気負いはない。それよりも、まるでダイジェストを見るような軽やかさで、玉音放送までを駆け抜ける。重厚な長編作品を期待したわけではないけど、思いもかけず、こんなふうに短編連作のよさが存分に生かされた作品に仕上がったのはうれしい。想像とまるで違う作品で、それがここちよい。

 

BSPらしいフットワークの軽やかさがいい。音響と照明を駆使した美しい身体表現によるパノラマ。役者たちはその身体をフルに使い、ゼロを表現する。ダンスシーンの見事さはますます磨きがかかり、輝きを増している。重厚なドラマよりも零式戦闘機という無機物がまるで命を持った有機体のように見えてくるというただそれだけことが素晴らしい。こういうアプローチをするんだ、と感心した。もちろん、それはこれまでの連作での流れを思うと、もう当然の帰結でもあるのだけれども、いつ見てもそれは新鮮だってことが、素晴らしいのだ。飽きささない。

 


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