Bプロは3本立。期待の大岡淳『詩劇 空に墜ちた男』があまりのファンタジーで驚く。トークショーの大岡さんの理路整然とした話し振りと作品のほんわかしたタッチがまるで水と油のようで、おかしかった。それは坂本演出のせいなのかもしれないけど、バカバカしくて楽しい。大池容子『遊星からの少女X』はタイトルそのままのお話でショートショートならではの魅力に溢れた短編。なんでもないどこにでもあるような「初恋もの」をバカバカしい描写で、笑わせながら見せる。坂本さんの過激さが、このかわいいお話となぜだかマッチして、でも、彼女がヘンテコで(だって宇宙人だし)そんなこんな噛み合わせの悪さがとってもキュート。
紺野ステカセ『あの場所、ふたり、あまやどり』が今回の5本で一番面白かった。これも実に泉さんらしい作品だ。ふたりの女性と、彼女たちがそれぞれ出会うひとりの男性とのふたつのお話が同時進行する。時間を越えて、同じようなシチュエーションが同じ場所で進行。雨の降らない町を舞台にして、たまたま雨が降ったふたつの日の物語。お話だけでなく、セリフまでもが共鳴して、中央に男、上手には若かった頃の(昔の)彼女、下手側に今の(歳を取ってしまった)彼女が立ち、モノローグでお話が展開する。別々の時間にいるはずのふたりが掛け合いもする。ふたつの話が重なるとき、生きてきたことの意味が見えてくる。ここで、毎日お客さんを迎え、過ごした時間が愛おしい。ずっとここで暮らしてきて、これからも同じように過ごしていく。ささやかな毎日の営みがふたつの雨の日の背後にはちゃんと見えてくる。