
この劇団を見るのは昨年『ザ・クリープショウ』に続いて今回で2本目になる。今回もいろんな意味で難解な作品である。だけど今、こういう芝居を作るって凄いなと思う。冷戦下のアメリカを舞台にて、ある教会で起きた銃乱射事件を描く。銃乱射事件って、数日前に見た映画『スイートイースト』と同じじゃないか、なんて思う。偶然同じことから始まる作品を連続して見るという貴重な体験をする機会を得る。しかも2作品はその事件を中心に描くのではなく、その直後を描くというのも同じ。まぁ当たり前だけど、その本編である直後のお話はまるで違うけど。(まるで別の話だから、ね)
生き延びたふたりのシスター(実際にもふたりは実の姉妹)のその後の数時間を、教会から4キロ離れたモーテルで描く。偶然隣り合わせの部屋に入ったふたり。彼女たちの元を訪れた客はお互い間違えて反対の部屋に行く。と、こういう基本設定のもとお話は展開する。いくらなんでも都合よすぎるけど、そこを大前提にして、ふたつの部屋を対比させて、ふたりの姿を描く。
舞台は左右対称である2室。さすがに壁はないけど、きちんと中央で分かれている。交互にふたりの話が描かれる。ふたりは別々の方向で自分たちの正義を貫く。予想外の展開に戸惑いながらも自分を曲げない。
まさかの訪問者を通してふたりはお互いに気づく。姉は妹のことを、妹は姉のことを。同じ場所にいて、同じようにこの世界の未来を想い、戦っている。だけどまるで違う方向を見ていたふたり。75分の小さな芝居はまさかの出来事を通して、この世界の未来を穿つ。描かれるのはタイトル通りシスターズのエンゲルスだ。過去のアメリカを舞台にしながら、これは今の世界の未来を描く。この先にある不安と向き合い、答えを出そうとするふたりのシスターたち。さらには彼女たちの周囲の人たち。作、演出の中村圭吾は理想と現実の狭間に立つ彼女たちのドラマを見事に立ち上げた。