
島田雅彦がいかにも好きそうな小説。こういう薀蓄をたれたような作品ってあまり好きではない。表題作のほうは短い章立てをしていて、どんどん先に話が進んでいくから読みやすかったが、もうひとつの『つぎの著書に続く』は後半もうどうでもよくなってしまった。自分の書いた書物が批評家から幻の作家リチャード・ジェイムスの作品と酷似していると指摘された主人公が、今まで名前すら知らず、その著書を読んだこともなかったその作家の本を読み、彼のことを調べていく、という話だが、ホラ話として楽しむにはあまりに薀蓄がうるさすぎて、途中から飽きてしまった。
その点、『オブ・ザ・ベースボール』の方は、テンポがいいから面白い。1年に1度の割合でこの村に降ってくる人間(!)をバットを持って(なぜバットなのか、本人たちにすらわからない)救出にあたるというレスキュー隊の9人の隊員たちが主人公。彼らの何もしない日常が描かれていく。だいた1年に1度あるかないかの仕事で、しかもいつ降ってくるのか皆目見当もつかないのだ。でも、村の子供たちからは尊敬されているらしい。名誉ある仕事なのである。
ある日降ってきた人間と遭遇した隊員が、思わずその男を持っていたバットで打ってしまう。彼は空に打ち返そうとしたのだが、当然バットで打ったから死んでしまうのだ。彼は解雇されてしまう。
ただ、それだけの話である。それを軽快なテンポで見せてくれる。呆れるような設定で、この不思議な世界観を見事に構築して見せる。野球のユニホームを着てバットを持つ9人のメンバーたち。レスキューと言いながら、なぜバットを持ち待ち輪徘徊してるのやら、しかも、いつどこから(もちろん、空からなのだが)降ってくるかも知れない人たちを助けることなんかできるわけがない。今だひとりとして、助けることが出来ていない彼らの退屈な日常業務がお話のすべてだ。
面白おかしく書くわけでもない。ストーリー自体にはなんの仕掛けもない。この世界の一断面を、さらりと切り取って見せただけだ。それがなんとも不思議な味わいを見せてくれる。
その点、『オブ・ザ・ベースボール』の方は、テンポがいいから面白い。1年に1度の割合でこの村に降ってくる人間(!)をバットを持って(なぜバットなのか、本人たちにすらわからない)救出にあたるというレスキュー隊の9人の隊員たちが主人公。彼らの何もしない日常が描かれていく。だいた1年に1度あるかないかの仕事で、しかもいつ降ってくるのか皆目見当もつかないのだ。でも、村の子供たちからは尊敬されているらしい。名誉ある仕事なのである。
ある日降ってきた人間と遭遇した隊員が、思わずその男を持っていたバットで打ってしまう。彼は空に打ち返そうとしたのだが、当然バットで打ったから死んでしまうのだ。彼は解雇されてしまう。
ただ、それだけの話である。それを軽快なテンポで見せてくれる。呆れるような設定で、この不思議な世界観を見事に構築して見せる。野球のユニホームを着てバットを持つ9人のメンバーたち。レスキューと言いながら、なぜバットを持ち待ち輪徘徊してるのやら、しかも、いつどこから(もちろん、空からなのだが)降ってくるかも知れない人たちを助けることなんかできるわけがない。今だひとりとして、助けることが出来ていない彼らの退屈な日常業務がお話のすべてだ。
面白おかしく書くわけでもない。ストーリー自体にはなんの仕掛けもない。この世界の一断面を、さらりと切り取って見せただけだ。それがなんとも不思議な味わいを見せてくれる。