習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『L・DK』

2014-04-24 21:46:02 | 映画
 「ザ・少女マンガ」としか言いようのないような世界がここには展開していく。ここには何のひねりも気負いもない。全身少女漫画の世界だ。お約束のような展開を一切逸脱しない。見ていて恥ずかしくなるような展開を臆面もなく見せる。一昨年の『今日、恋をはじめます』もこんな感じだったけど、ここまで、全面的に少女漫画の王道を行く展開ではなかった。やりすぎというよりも、基本に忠実すぎて反対に驚きだった。そこは『ひみつのアッコちゃん』の川村泰祐監督である。迷いがない。

 リアリティーなんかここでは一切問題視されない。この世界観を忠実に再現することのみに心を砕くのだ。砂糖菓子のような映画を目指す。定番を絶対に外さない。想像通りの展開をする。劇場は女子中学生と女子高生しかいない。ピンポイントのターゲットに向けて、怒濤の展開のドラマを提示する。きっと満足度は高いはずだ。ここまで迷いのない映画はなかなかないのではないか。子供たちが喜びそうな内容を丁寧に見せてくれる。照れることなく、きちんと見せきるのだ。子供だましだなんて誰にも言わさない。子供を幸せにすることだけに全精力を注ぎ込む。あっぱれとしか、言いようがないではないか。

 高校生の男女が同居するなんていう話なのだが、それをリアルに描くのではなく(『跳んだカップル』はそうだった)シリアスだけど、リアルではなく少女漫画として描く。この匙加減は本当ならかなり難しいはずなのだ。なのに、なんだか易々とこなす。主役の2人がとてもいい。(剛力彩芽と山崎賢人)嘘臭い話にちゃんと命を吹き込む。潔い映画だ。嫌いではない。




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