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映画・演劇のレビュー

『変態仮面』

2013-12-27 20:42:48 | 映画
 福田雄一監督は『俺はまだ本気出してないだけ』と同じノリでこの作品を作っている。その姿勢は悪くないと思うのだ。だが、もう少しリアルに話を展開すべきだった。本気にならなくては、こういうバカバカしい映画は成立しない。アメリカ映画なら100億くらいの予算を組んで、そこで本気を見せるところだが、日本映画では無理だ。だから、どこに本気を見せるのか、と言うと、それはこのバカな設定に徹底的なリアリズムを与えるしかないではないか。なのに中途半端なおふざけで、話を展開した。台無しだ。ここまでバカでくだらない設定は普通なかなかあるものではない。

 永井豪が『けっこう仮面』で、これの女性版を昔々にしているけど、あれはお色気(というかエロ)で、ある種のノーマルな展開だった。これはそこに、もうひとひねりがなされてある。凄い話なのだ。だからこそ、そこを丁寧に見せる必要があった。しかも、主人公を演じた鈴木亮平があれだけ、体を鍛えて頑張っているのに、これでは可哀そうすぎる。

 日本版『スパイダーマン』を十分目指せれるし、完全に設定は『スパイダーマン』のパロディーだ。冒頭の部分なんか、かなり意識している。それだけにB級の予算でも、ちゃんとA級のドラマを目指すべきだった。卑屈になることはない。自信を持ってHKブランドを貫くのだ。なのに、話はスケールが小さい。というか、それならそれで、小さいことを徹底して胸を張れ。いじけるのはよくない。

 パンティーを被ると強くなるという変態男であることに悩むとか、そのへんの設定はうますぎる。両親(SM嬢のドSの母親と、正義感の刑事で、Mの父親)のDNAを受け継ぐとか、強面なのに、普段は弱くて、だらしないとか。よくある設定も含めて、お話のほうは、とてもよく出来ているのだ。どうして、全体の作りをこんなにも、安っぽいものにしたのだろうか。だらしない。もちろん、映画が、である。




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