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映画・演劇のレビュー

『おいしくて泣くとき』

2025-04-09 23:11:00 | 映画
森山明夫の小説の映画化。だから少女漫画ではない。最近の映画界は「アイドルもの」の少女漫画映画版が満載で、何がなんだか状態。これもその手の作品かと思ったが、少し違う。(だけどこれもまた漫画化もされているみたいで)ということで少し心配だけど、見ることに。

確かにこれは少女漫画じゃないけど、まるで出来の悪い児童文学を見てる感じで扱うテーマはともかく、お話の方があまりに酷くて、もどかしい。ここには全くリアリティがないのだ。雰囲気だけで話を展開させていくから説得力ゼロ。これは酷すぎる。

女の子(當間あみ)への義父による虐待が描かれる。母親はいるはずなのに出てこないからこの家庭に何があったのかもわからない。ただそれらしい雰囲気だけ。あの暴力的な父親は何なのかもわからない。表面的には優しそうな雰囲気だけど、酔っ払ったら義理の娘には暴力を振るうのか。ただ実子である幼い息子には暴力を振るわない。面倒はみないが大事にしているみたい。母子家庭に幼い息子を連れて入ってきたみたいだ。

さらには男の子(長尾謙社)の描写。彼は父子家庭で、父は食堂をしている。そこでは家庭に問題がある子どもたちに無料でご飯を食べさせている。(子ども食堂の先駆け)だけど彼は学校で偽善者の息子と言われて虐めにあっている。

こんな背景を持つふたりのお話。ふたりは誰もやりたくない学級新聞委員を押し付けられ、それがきっかけで親しくなる。こういう定番の設定はいい。しかし、そこから始まるドラマはあまりに安易。さらに主人公のふたりの行動は15歳(高1)にしてはあまりに無知で幼すぎる。

クライマックスになるふたりで海に行くシーンもだからどうしようというのか、まるでわからない。行き場を無くしたふたりは少年が昔幸せだった時、家族で行った場所に彼女を誘う。逃げ出したかったのはわかるけど、ここに来て何をしたかったのか。しかも彼は一晩だけ帰らないのを許して欲しいと父に電話するが。

心也(少年の名前)のクラスメイトから偽善者と言われる彼の父親(安田顕)も、子どもを信じるのはいいけど、あまりに無防備すぎる。心配じゃないのか? さらには翌朝警察が来てふたりは補導されるけど、凶悪犯じゃないし、彼女が自分から電話してるのにパトカー2台でやって来て警官4人で連行するって大袈裟すぎる。

さらにはあのラスト。當間あみが30年で尾野真千子! もちろんそれだけではなく、彼女の不在だった30年の謎がようやく明かされるのだけど、お話にツッコミどころ満載で唖然とする。いくらなんでも無茶苦茶な、こんなハッピーエンドには泣けない。

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