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習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『消されたヘッドライン』

2009-05-14 20:29:12 | 映画
 ラッセル・クロウとベン・アフレック主演のサスペンス大作である。2時間7分の大作で、「最初から最後まで息もつかせない」ということらしい。まぁ、嘘ではない。なかなか緊張感のある映画だ。悪くはない。だが、なんかテンポはいまいちで、ラストのどんでん返しなんか、つまらない。あれではそこまでのお話を反故にしてるんではないか。

 ネタばれになるから書けないが、僕はがっかりした。まだなんかあるな、とは思ったし、あれで終わってはあっけなさ過ぎだが、それじゃああれでよかったか、と言うと、あれならやらないほうがまし、ということになる。これでは何の話かまるでわからないだろうが、ストーリーは書けないのだから仕方ない。

 とある殺人事件。それと何の関係もないはずだった同じ時に起きたスキャンダルとが絡み合い、軍事企業の陰謀が暴かれることとなる。事件を追う新聞記者と、罠にはめられた彼の友人である議員。2人を中心にその周囲の様々な人物模様を配して、デブになったままのラッセルくんが巨大な謎に挑むのだ。(ラッセルは前作『ワールド・オブ・ライズ』の撮影のために肥ったのだ。不摂生からではない。)

 一昔前なら、こういう映画はそれなりに評価されたであろうが、今では完全に無視される。もちろん評論家からだけではなく、まず観客からである。23日公開だが、きっと劇場は閑古鳥が鳴くだろう。1週間したらレイトショーだけになること請け合いだ。地味な洋画は一瞬で消える。なんだか嫌な時代になった。

 こういうきちんと作られた映画はそれなりに評価されてもいいと思う。先にも書いたがこれは傑作にはほど遠い。どちらかといえばダメ映画だ。だが、無視されるには惜しい映画なのである。気合は入っている。昨年の原田眞人監督の傑作『クライマーズハイ』を思い出させる。こういう新聞記者が事件を追うものって古今東西枚挙に暇がない。そこには傑作も多い。『大統領の陰謀』なんてけっこうヒットしたはずだ。

 たまにはこういう渋い映画を見て、それなりに有意義な時間を過ごすのもいいと思うから、ぜひひとりでも多くの人が劇場に足を運んであげて欲しい。損はさせない。たぶん。

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