
病院の屋上を舞台にして、そこを訪れる入院患者たち、お見舞いにやってきた人々。病室の緊張から解放されて、身も心も休ませる場所。ここでは何も考えない。遠くに海が見える。見上げると空がある。ただ、ここにいる。ここには白いシーツがたくさん干されてあり、彼らはその間を抜けて、ここにくる。
この芝居は、そんな彼らの関係性について、描くことが目的なのではない。彼らは、ただここにいて、そこで交わす何気ないいくつかの、たわいもない言葉のきれはしを見せていくだけだ。深刻な話はしない。だが、ただの雑談でもない。彼らはただの息抜きでここにいるわけでもない。今、自分たちが見つめる現実と、離れることはできないからだ。そこからほのかに見えてくる、痛み、悲しみの数々に、一瞬触れた気になる。でも、ほんとうはそんなものではない。
彼らの想いは、心の中に秘められたまま、頑なに心を閉ざすわけではない。そこまで強くもない。だが、あきらめている。病気と闘い、自分の命と向き合いながら、そんな日々に疲れている。もちろん負けたのではない。ただ、このひととき、身も心も休ませているだけだ。そのための屋上なのだから。
再演だが、まるで新作のように刺激的だ。ここには深津さんの今がしっかりと描かれてある。かって作って好評を博した芝居をもう一度見せるというのではなく、今の気持ちをそこにちゃんと乗せて、新鮮な文体で見せていく。別に特別新しい演出をしたとか、いうのではない。何度見ても新鮮なのはそこにあるのが、物語ではなく、彼らの今だからだろう。彼らと言うのはもちろんこの芝居の登場人物たちのことだが、それがイコールで深津さん自身であることは先に述べて通りだ。この場の空気や感触さえ伝わってくる。傑作である。
この芝居は、そんな彼らの関係性について、描くことが目的なのではない。彼らは、ただここにいて、そこで交わす何気ないいくつかの、たわいもない言葉のきれはしを見せていくだけだ。深刻な話はしない。だが、ただの雑談でもない。彼らはただの息抜きでここにいるわけでもない。今、自分たちが見つめる現実と、離れることはできないからだ。そこからほのかに見えてくる、痛み、悲しみの数々に、一瞬触れた気になる。でも、ほんとうはそんなものではない。
彼らの想いは、心の中に秘められたまま、頑なに心を閉ざすわけではない。そこまで強くもない。だが、あきらめている。病気と闘い、自分の命と向き合いながら、そんな日々に疲れている。もちろん負けたのではない。ただ、このひととき、身も心も休ませているだけだ。そのための屋上なのだから。
再演だが、まるで新作のように刺激的だ。ここには深津さんの今がしっかりと描かれてある。かって作って好評を博した芝居をもう一度見せるというのではなく、今の気持ちをそこにちゃんと乗せて、新鮮な文体で見せていく。別に特別新しい演出をしたとか、いうのではない。何度見ても新鮮なのはそこにあるのが、物語ではなく、彼らの今だからだろう。彼らと言うのはもちろんこの芝居の登場人物たちのことだが、それがイコールで深津さん自身であることは先に述べて通りだ。この場の空気や感触さえ伝わってくる。傑作である。