ルーカス・ドン監督が前作『Girl ガール』に続いて放った作品。LGBTを扱うけど、些細な行き違いが生む悲劇としてもとらえられる。
13歳のレオとレミは大の仲よし。いつもふたりで戯れあっていた。だけど、中学になって、クラスメートからふたりはホモではないかと疑われてから関係はぎくしゃくしてくる。レオはレミを避けるようになり、レミは怒りをぶつける。
ふたりのそれからが周囲との関係性を通して描かれるのかと思ったら、あっけなくレミが死ぬ。そんな、と思うほどにいきなりに。映画はたったひとりになったレオのその後が描かれる。ここからが本題になる。
この残酷な映画は、何も言わない。無言のシーンが続く。レオの瞳をずっと見続けることになる。カメラは彼を追いかける。映画はひたすら彼の視点を貫く。周囲がどう思ったかではなく、彼がどう感じたのか、何を思うのかが、一切言葉にはされずに描かれていく。その禁欲的な描写は息苦しいほどだ。レオの後悔。誰にも言えない想い。それが映画の根底にはある。レミに対して彼が取った行動は仕方ないことだ。だが、それがレミの死に至るなんて思いもしないし、そうなるとわかっていたならどんなことでもする。だから今はただ、たすら後悔だけがある。もう少し何かができたはず。美しい風景を背景にして静かな映画はレオを見つめ続ける。
同性愛ではない。無邪気な友情だ。大切な友人を大事に思う気持ち。だけどそこには密かな愛情があったのかもしれない。でも、彼らはまだ13歳になったばかりで、自分の想いが何なのかをちゃんと受け止められない。映画は何も語らない。言葉にはしないから余計にその痛みが染みてくる。