習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

咲くやこの花高校『少女瓶詰』

2023-07-30 20:20:00 | 演劇

これは大胆で凄いタイトルだ。高校生がこんなタイトルの芝居を作るなんて、ないわぁと思った。しかも女の子が書いたようだ。これは絶対見たいと強く思った。タイトルから明らかに夢野久作に影響された作品だと思う。ということはHPFでアングラ芝居をするのか、出来るのか、それとも、これは夢野久作ではなくただの甘いファンタジーか、想像がつかない。

やはり夢野久作の影響下の作品であるようだ。人魚、島、火事。旧弊な村に死んだ女とまるで瓜二つの女性がやって来て、死者の秘密を嗅ぎ回る。彼女は何者なのか。やがて、散りばめられた謎が解き明かされるはずだったが。
 
あまりにストーリー展開に無理があり、よくわからないままで、収束しない。丸投げして終わる。実に乱暴な芝居。説明せずに有無を言わさない大胆さ。如何にも高校生らしいと言えば、らしい作品である。嫌いではないが独りよがり。
 
実は僕も高校生の頃、こんな感じのわがままな映画を作っていた。わからないやつは相手にしない独りよがり。自分ワールドに浸っている。つげ義春や林静一を信奉して、寺山修司や唐十郎に憧れて、自分は中原中也の生まれ変わりだと思っていた。(嘘です。言い過ぎました。いくらなんでもそこまでの傲慢さはないけど)
 
お話を収めることなく、散らかしたままで投げ出した。それがいいと思ったか否かは知らないけど、やりたい放題の放置プレイ。でもそれは見ていてなんだか微笑ましい。板付きで開演からずっと舞台中央に君臨して芝居が始まっても、ほぼ最後まで何もしないヒロインの人魚(この戯曲の作者八島由佳さんが演じる)も大胆だ。彼女は人間になり恋をするわけではなく、ただ動くことなくここでこの世界を見守る。
 
大胆と未熟のコラボレーションを満喫した。これはHPFだから可能な75分の衝撃。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『クロース』 | トップ | 僕のマリ『いかれた慕情』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。