
鶴橋のビルの一室を劇場に仕立て直し、公演をされているらしい。既に5年目に突入。キャパは最大30。そんなイズムスタジオというところに今回初めて行く。開演前には作・演出の太田浩司さんによる(ギターを弾きながらの)おしゃべりがある。
水族館を舞台にしたライトコメディ。40分の作品2本立て。途中15分の休憩も入る。囲み舞台。音響照明は使わない。もちろんセットも(ほぼ)ない。カーテンも閉めないから窓からは外の光が入るし、外のビルが見える。芝居自体はたわいないお話。終業前の水槽内。新しい水槽の掃除をしているスタッフ。実はメンバーのふたりをくっ付けるための計画が。
パントマイムで水槽を磨く。周囲の観客の目の前には水槽のガラスがあるという設定だ。だから目の前数10センチのところに役者さんたちがやって来て雑巾でゴシゴシするのにはいささかドキドキする。シチュエーションコメディだけど、あまりにお話が杜撰でツッコミどころは満載。だけどこれはこれで可愛い。私設の水族館なんてあるのか、と思うけど、なかよしスタッフはいつも和気藹々として、仲間の恋バナを応援する。なんかほのぼのしていいかも。それってこの芝居のメンバーたちの日々を投影させているのではないか、なんて思わせるくらいのさりげなさ。
前半が終わった後、休憩が後少しで終わる頃にまた太田さんがギターを抱えて登場して雑談を始める。5分後くらいに再開。前半部分のエピソードから9時間くらい前の時間、始業前の水槽。好きあっているけどもどかしいふたりをくっ付ける作戦会議が描かれる。
時間の逆転した2本をセットにして1本の作品を提示する。こんなにもたわいない、さりげない出来事を大騒ぎして描く小さな芝居。それこそ、「どないやねん!」と笑って言いたくなるようなそんな芝居だった。