goo blog サービス終了のお知らせ 

習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『メイジーの瞳』

2015-01-01 22:28:40 | 映画
 年末である。そこで今年逃した映画を見るため、DVDを先日10本借りてきた。1週間の間で見なくてはならない。だから、もう映画館には年末年始は人が多いし、行かないことにした。といいつつも、本当は30日に『ゴーン・ガール』が見たくて劇場まで行ったのだが、満席で見れなかったのだ。悔しい。まぁ、でも構わない。家には凄い映画がちゃんとまだあるからだ。

 さて、そのDVD群なのだが、実は既に昨晩(31日)でもう8本を見た。しかも、一部はもうここに書いている。(『フルートベール駅で』)でも、大多数はまだ見ただけなので、このお正月、時間があれば順次感想を書いていこうと思う。いずれも傑作ぞろいだ。僕の選択眼には狂いがない。(なんだか、偉そうです。えっへん!)
 
さて、まず、その中で1番素晴らしかったのを紹介しよう。もちろん、それが、この作品である。劇場で見たかった。

ひとりの女の子が、両親の離婚に巻き込まれて、そこで見たもの、感じたことが綴られていく。彼女の瞳に映った真実だけが、そのまま描かれていくのだ。だが、それはかわいそうなお話ではない。

彼女は泣かないし、ありのままを受け入れるしかない。たった6歳の少女(昨日見たコトリ会議のたっくんと同じだ)が、現実を受け入れて生きている姿を見続けることになる。

 わがままな両親たち。ふたりの勝手な行為に振り回される少女は、でも、何も言わない。まだ子供だから、というわけではない。冷静に現実を受け止めているからだ。彼女方がずっと大人だ。だが、いかんせんまだ、幼い。だから、自分の意志で生きるわけにはいかない。ただ、周囲に振り回されるばかりだ。10日ずつ父と母の家を往復して暮らすなんて、そんなバカな判決を裁判所は下したようだ。両親はふたりともただのガキと同じだ。メイジーのことを愛しているけど、それだけ。彼女の幸せなんて考えてない。唯、自分の都合で彼女をかわいがる。

 彼女の世話をしていた女の子と父親が再婚する。その面当てのように、母親はかなり年下のバーテンダーと再婚する。実はこの若い2人の男女の方が実の両親よりも彼女のことを理解しているし、ちゃんと大切にする。とてもいい人たちなのだ。映画は、次第にこのふたりとメイジーとの話になる。そこに、邪魔するように両親がそれぞれ自分の都合で関与してきて、かきまわす。

 少女の目に映った真実について、彼女は何も言わない。愚かな両親を見限るわけではない。だって、彼らは彼らなりに彼女を愛している。それは事実で、彼女も知っている。


ラストで彼女は母親の誘いを断る。「明日は、船に乗る約束をしているから」と。それは母親への面当てではない。自分の意志からだ。いつまでも親の勝手に振り回されるのではない。そんな彼女の拒絶に、母は衝撃を受ける。当たり前の事実を今頃知る。子供はあなたのおもちゃではない。
 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 小路幸也『すべての神様の十月』 | トップ | 2014年 映画ベストテン »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。