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映画・演劇のレビュー

『 Life』

2010-06-26 23:00:09 | 映画
 綾野剛という人が主演する『 Life』という映画をなんとなく見た。監督は佐々木紳という人。全く無名の若手作家による作品に手を出すのはかなりリスキーだ。ひとりよがりのつまらない低予算映画の凡作を見せられる可能性が大だからだ。本作もそんなタイプの1作。

全く期待はしなかったが、もしかしたら誰も知らない傑作に出会えるのでは、なんていう淡い期待をしていた自分の甘さが恨めしい。貴重な時間をこんなレベルの映画のために使うべきではなかった。これみよがしなドラマと展開、でも、それが、結果的には何にも描けていない。気取ったタッチにも何の意味もない。だらだらした描写が続くだけで、退屈だ。こういう自主映画をわざわざ見てもしかたない。

 主人公のキャンドルアーティストが何をしたいのか、まるでわからない。自殺志願の女子高生との話が、メーンとなるのだが、彼女とつき合うことで何を感じたのか。同窓会をすっぽかしてまでこの子と付き合うのはなぜか。彼女が可愛いから、とか彼女が危ういから、というのはこの際なしにしよう。そういう商業映画のような安易な作り方はしていないはずだ。だが、それならそれでやり方があると思う。

 きっかけとなる通り魔事件の意味もわからない。久々に同窓会でかつての仲間と再会してどう思ったのか。それもおざなりだ。茨城の田舎での生活や、隣に住む中国人の少女との交流、アーティストが集う工房、等々。基本となるイメージは悪くはないのだが、それだけ。1本の映画として、この作品が突きつけてくるものが、これでは何も見えてこないのだ。

 監督の佐々木紳さんはPFFで賞を取ってこの作品で商業映画デビューしたらしい。自主映画、と先に書いたが、一応劇場用商業映画らしい。プロの役者も参加している。主演の綾瀬剛も僕が知らなかっただけで、彼が出ていた映画の何本かは見ている。

 決して悪い映画ではない。雰囲気はある。だが、それだけだ。但し、そこにもう少し「何か」があれば、この映画は凄い映画になったのかもしれない。そんな可能性は確かにある。



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