雲南省の山間部の寒村。まじめを絵に描いたような中年夫婦。彼らが外国産の5000元もする羊を2匹飼うことになる。(町に、たった1頭の自分たちが持っていた羊を売りにいくと200元だったのに!)村長の命令で、県からの依頼のもとモデルケースとして飼うことを任されたのだ。
映画は彼ら夫婦がこの〈羊さま〉を育てる奮闘ぶりがユーモラスに描かれていく。なんだかのんびりした映画で、話は何もない。かなり期待して . . . 本文を読む
昔、高校生だった頃、貪るようにして萩尾望都のマンガを読んでいた。あの頃、どうしてそんなに夢中になったのか、今ではよくわからない。もちろん、少女マンガであるにも関わらず他の誰のよりもおもしろかったのは事実だ。だいたい僕はマンガはあまり好きではなかった。だから少年漫画なんかほとんど読まなかったが、つげ義春と萩尾望都、そして手塚治虫の3人だけは別格だった。
あれから30年もの月日が経ち、なぜか今、 . . . 本文を読む
この本を読みながら石川さんがここで取り上げる映画はほぼ全部リアルタイムで見ていることに気付く。なんだか懐かしい。彼女は僕より少し年上なので、最初のほうは少し苦しいが、おぼろげな記憶はある。70年代から映画を見始めた。
本格的に外国映画を見たのは74年のことだ。忘れもしない。ウイリアム・フリードキンの『エクソシスト』である。この1本で完全に映画に嵌った。僕は怖がりなのでホラーなんてお断りだった . . . 本文を読む
ガス・ヴァン・サントのこのインディペンデント映画を見ていると、ほっとさせられる。アメリカ映画の良心を見せられた気分だ。ハリウッドのおバカな映画ばかりがアメリカ映画だなんて思ってはならない。メジャーな映画も撮るが彼はあくまでも自己に忠実な誠実な映画を作り続ける。
これは単純なアート系映画なんかではない。作家として彼が今思うことを自分の表現で語る。少年の心の中に分け入って、彼の中にぽっかりできた . . . 本文を読む