クリムト(1862-1918/オーストリア/象徴主義・ウィーン分離派)の代表作とされる「接吻」が見当らない。
館員に「何処にありますか?」と聞くと、曰く、「下宮でクリムト展を開催しており、そこに行っている」とのこと。
そういえば、ウィーン観光局のHPに、“ グスタフ・クリムトの黄金の『接吻』は、丁度100年前初めて展覧会に登場。ベルヴェデーレ宮殿では、2008年10月から、特別展『グスタフ・クリムトと1908年の美術展』を開催 ” とあったことを思い出した。
上宮を後にしながら、ここまで来てこの作品を、「見ないということはないよね」と下宮に向かった。
特別展の影響なのだろうか、上宮に劣らず人が集まっているよう。
余り広くない展示フロアに、誰の手になるものなのか判然としない作品が並んでいる一番奥の一角に目指す「接吻」(上/左)は架かっていた。
この作品の解説、ペトロ には手に余るので、美術書を借りることとする。
まず、“ 眩いばかりの黄金の中に〈溶け合う男と女〉(下/左)、非現実的でありながらも、極めて深い思想と官能性に満ちている ” のだそう。
それは、“ 平面的に描かれる〈男性の纏う衣の装飾の四角と女性の纏う衣の装飾の円形〉(下/中)が補完し、同時に男女の間に潜む敵意をも表しているからに他ならない “ と続く。
また、“ 男女が立っている色彩豊かな〈花の咲く崖〉(下/右)が、愛の絶頂期においても愛や幸せと疑心や不安が紙一重であることを示し、否が応にも見る者にその先に待つ悲劇を予感させる ” のだそうだ。
もう一作品の「水蛇Ⅱ」(上/右)、これも「接吻」同様、「判ったような、判らないよう・・・な」、いずれにしても、「何かを感じさせる」、傑作「接吻」ではありました。
金と茶を多用したふたつの作品、少し輪郭がぼやけて見えます、是非、拡大してご覧下さい。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1007
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