ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

フェルメール 「中断されたレッスン」

2017年04月05日 |  ∟アメリカの美術館

 ※ NY/フリック・コレクション編 (9) ‐ DC&NYの美術館にみる泰西名画選 (22)

 17世紀オランダ絵画黄金期を築いたヨハネス・フェルメール(1632-1675)。
 彼は、ロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する 「<ヴァージナルの前に立つ女性>」(1669-1671年頃)や 「<ヴァージナルの前に座る女性>」(1675年頃)など音楽をモーフに何点か描いている。

 それらの中には弦楽器を用いた、「リュートを調弦する女」(1662-65年頃/メトロポリタン美術館蔵)、「合奏」(1665-66年頃/ボストン・ガードナー美術館蔵)などの作品も見られる。

 また、この時代に愛用された撥弦楽器シターンをモチーフにした 「<恋文>」(1670年頃/アムステルダム王立美術館蔵)も描いている。

 そのシターンを小道具に用いた 「中断されたレッスン」、別名 「稽古の中断」(1660-61年/39×44cm)が今回の作品。

 主題は、手紙か楽譜らしき一枚の紙を持った娘が、やや訝し気な表情でこちらを見つめている場面。

 画題からして稽古が中断されたのだろうが、彼女は勿論、本作を見る者もその理由が分らず、少なからず戸惑いを受けている。

 さらに、教師なのか恋人なのか傍らで紙に手を添える男は、中断されたことを気にかけている様子が聊かも窺えず、本作に曖昧な印象を与えている。

 本作を前にした者は、おそらく誰かが部屋に入ってきた気配を感じ取った男が、顔を上げてそちらを見る前に娘の視線と出会うという、フェルメールの仕掛けにまんまと嵌められていることに気付くのである。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1288


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