ひょんなことから、多分フランクフルトへの機中だったか 「天使と悪魔」という映画を観た。
トム・ハンクス主演の前作 「ダ・ヴィンチ・コード」に連なる作品だが、ダン・ブラウンの原作はこちらが先に出版されたと思う。
舞台は、新教皇を選ぶ教皇選挙・コンクラーベのため枢機卿が召集されたヴァチカン市国(上)。
核を凌ぐエネルギーを持つ反物質が盗まれ、サン・ピエトロ寺院の何処かに仕掛けられたのと時を同じくして、新教皇の有力候補・プレフェリーティである四人の枢機卿の失踪を縦糸に、反物質の奪還と既に消滅したはずの秘密結社イルミナティに拉致、殺人予告をされた枢機卿の救出を横糸に画面は進む。
反物質が盗まれていた現場の死体に残るイルミナティのアンビグラム、上下左右逆さまにしても同じように対象化されたデザイン。の焼き印を手掛かりに、トム・ハンクス扮するラングドン教授と謎の暗殺者アサシンの息詰まる攻防が始まる。
アンビグラムからラファエロが眠るパンテオン(中)へと導かれた教授。
アンビグラムがバロック期の天才ベルニーニの彫刻を道標としていることを突き止め、デル・ポポロ教会、デッラ・ヴィットリア教会からナヴォ-ナ広場へと、人で溢れかえるローマ市内で十字架をなぞるような追跡劇を展開。
最後、サンタンジェロ城から続く地下通路を通ってサン・ピエトロ寺院の初代教皇聖ペトロが眠るカタコンベ・地下埋葬所へと戻る。
ざっとこの様な筋立てなのだが、舞台となったヴァチカン、「ダ・ヴィンチ・コード」と同様、間違っても撮影に協力する筈もないだろうと思うのだが、画面は紛うことなきサン・ピエトロ寺院。
教皇の地位を狙う首謀者の前教皇侍従・カメルレンゴが、こと敗れて最後に蜀台の油らしきものを被り焼身自殺を図る結末。
ましてやその場所が、ベルニーニの手になる教皇専用祭壇(下)の下となれば、これは、もう完全なハリウッド・シチュエーション、その旺盛なサービス精神に笑える。
この映画を見て数年前 「バロックの旗手を訪ねる旅」を思いたち、ローマに天才彫刻家ベルニーニと彼と同時代の奇才の画家カラヴァッジョを訪ね歩いたことを懐かしく思い出した。
このベルニーニとカラヴァッジョ、際立って天才・奇才であるが故に聖書の解釈は独断と恣意に満ち、時の絶対的権力者である西方ローマ教会が顔をしかめ、眉をひそめたのも度々、挙句、祭壇を飾ることを拒まれたことは想像に難くない。
一番観光客が少ないとされる2月のローマ、そこでのカラヴァッジョとベルニーニとの出会いを折々に綴ってみたい。
天才ふたりに興味のない方も、この機会に少しお付き合いを頂ければと思う。
ふたりの旅を始めるのは 「勝手にどうぞ、でもその導入にしては長くない!」 、然もありなん💦
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