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ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

カラヴァッジョ 「キリストの埋葬」

2016年12月27日 |  ∟イタリアの美術館

 ※ 続・ローマとナポリにバロックの奇才を訪ねる旅 (4)

 右を向いても左を見ても、ベルニーニ(1598-1680)ばかりの<サン・ピエトロ大聖堂>。
 序と言っちゃ何だが、ヴァチカン博物館のピナコテーカ・絵画館に架るカラヴァッジョ(1573-1610)の傑作を回っておきたい。

 その傑作とは、小編、再登場の 「<キリストの埋葬>」(1602-04年)。

 彼の 「<キリストの笞打ち>」(ルーアン美術館蔵など)に連なる本作、磔刑に処されたイエスの遺体をゴルゴダの丘の麓の “ だれもまだ葬られたことのない新しい墓 ” (ヨハネ19章)へ埋葬する場面。

 イタリアの司祭フィリッポ・ネリ(1515-1595)が創設した “ 司祭と信徒の共同体オラトリオ会のサンタ・マリア・イン・ヴァリチェッラ聖堂の礼拝堂ために描かれた ” (カラヴァッジョ/西村書房刊)とされている。

 主題は、“ わたしたちは洗礼によってキリストと共に葬られる ” (聖パウロのローマの信徒への手紙6章)。
 ちなみに、埋葬にイエスの弟子の十二使徒はひとりも立ち会っていない。

 本作、“ かつてある夜、イエスのもとに来たことのあるニコデモ ” (ヨハネ19章)を除いて、聖母マリアの妹が天に差し伸べた左手からマグダラのマリア、聖母マリア、 “ イエスの遺体を取り降ろしたいとピラトに願い出たアリマタヤのヨセフ ” (同19章)まで、弧を描く構図で表現されている。

 それは、礼拝堂の祭壇に架る本作を見た礼拝者が、恰もイエスが墓に安置されるかのように見えることを意図した、とされている。

 美術評論家は、“ 写実性から古典的様式へ作風の変化が示された作品 ” とも、 “ 浮き彫りを感じさせる彫刻的な表現 ” とも言う。

 とは言え、漆黒の背景の中で光を当てられた登場人物、イエスの手の甲、脇腹の傷を広げるように掴むヨセフの手、下半身を抱えるニコデモの足、そしてベールを被る<聖母マリアの表情>など、徹底した写実性、拡大してご覧下さい。を、抜きにして語ることはできない。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1235


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