カラヴァッジョの作品との出会いを求め、ローマからナポリへ足を延ばした話の続き。
< スカッパ・ナポリ>とある聖堂の前、道を挟んで駐車場と化した小さな広場にオベリスク、古代エジプトの太陽の神を象徴する石柱(上)がある。
この辺り一帯がギリシャ、ローマ時代の遺跡、地下ナポリの上にある証でもある。
ピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディア聖堂。
この舌を噛みそうな名前の聖堂、広場から見ると敷地に余裕がないのか随分と立て込んで見える。
正面はアーケード(中)により開かれているファザードがあって二階は美術館になっている。
最晩年に手がけたナポリのサン・マルティーノ修道院の天井装飾画の傑作 「ユディトの勝利」を描いたルカ・ジョルダーノをはじめ、バロック期ナポリ派の画家による作品が展示されているらしいのだけれど、馴染みがない作者ばかり。
車一台ほどの路地から建物の中庭への通路があって、その途中の右手に通用口みたいな小さな扉があった。
扉は開いており、廊下の突き当たりに小ぢんまりとした切符売り場を兼ねた売店がある。
話は少し逸れるが、「ナポリ娘ってどうしてこうも可愛いんだろう」と鼻の下を伸ばす誰か?
確かにペトロ ならずとも 「可愛いな」と思う女性に 「チケットを」と告げると、「二階の美術館は有料だけど聖堂だけなら無料よ」と微笑まれた。
それを見ていて 「嬉しいじゃないか、このご時勢に無料なんて」と頬が緩んだままの誰かに匙を投げ、さっさと入堂した。
売店右手の小さな扉を開けると直ぐに八角形の構造の礼拝堂(下)、採光がいき届きナポリの陽光を受け眩しいほどに明るく、その佇まいにちょっぴり戸惑いを覚えるほどだった。
キリスト教では 「8」の数字は復活の意味を示すとされ、フィレンツィエやピサのサン・ジョヴァンニ洗礼堂など八角形に造られた建物が多い。
その八角形の内陣、アンドレア・ファルコーネによる 「聖水盤」があって、正面祭壇にカラヴァッジョの傑作のひとつ 「慈悲の七つの行い」があった。
殺人という大罪を犯しローマからナポリへと逃亡したカラヴァッジョ。
その彼が、ミゼリコルディア同信会の依頼により描いた縦4メートル近い大作は、彼がマタイの福音書 「六つの慈悲の行ない」(マタイ25章35)に、死者の埋葬を加えて描いた本作。
その七つの場面をひとつのキャンバスに置くという、極めて斬新な構図が取られていた。(続く) ()
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます