ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

女性ならお任せ ‐ ウフィツィ美術館

2011年06月08日 |  ∟イタリアの美術館

 女性を描かせればこの画家の右に画家なしと、ペトロ は思っている。

 イタリア・盛期ルネサンス、ヴェツィア派最大の巨匠にして、色彩の錬金術師とも呼ばれ、画業だけで言えばルネサンスの三大巨匠をも凌ぐともされるティツィアーノ・ヴェチェッリオ。

 Photo_2彼の作品には、この派の特徴である色彩の魅力が存分に発揮されている。
 その鮮やかな彩色は、この旅のミュンヘンのアルテ・ピナコテークで 「ヴァニティ」に感銘を受けたばかり。

 その彼の傑作、まずは 「フローラ」から。

 この作品は彼の代表作である 「聖愛と俗愛」(上/<ローマ・ボルゲーゼ美術館蔵>)にも示されるように、彼における人間賛歌を高らかに謳ったものとされている。

 Photo_5ところで、「聖愛と俗愛」の女性、どちらが聖愛でしょうか? その答えは<理想の女性?>の稿に。

 話がそれたが、この 「フローラ」(中)、娼婦を描いたものだと考えられていた時代もあったという。
 それまでの女性の描き方とはあきらかに違う成熟した女らしさ、衣服をはだけ、ふくよかな胸をあらわにしたポーズがその一因とされる。

 しかし、よく眺めると左手でたぐったガウンで身をかばい(下‐左)、右手では葉のついた花を差し出している(下-右)。
 この女性が花の女神・フローラとされる所以である、と美術書は解説する。

 うっすらと朱に染めた頬(下‐下)、内側から輝きを発せんばかりの美しい胸、豊かに波打つ髪、この色彩の輝きこそがフローラ、女神が告げる春の輝きにほかならないと。

 2_21_2とはいえ、官能の歓びに満ちた女性であることは紛うことなきこと、この際 「女神でも娼婦でも、どっちでも構へン!」と見とれ、誰かに 「ほらほら、口元!と呆れられるのもまた現実である。

 Photo_6いづれにしてもこの絵には、当時の開明的な思想が顕著に表された作例のひとつとして、高い評価を得たとされる。

 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ。
 アドリア海に浮かぶ水の都ヴェツィア。
 東方貿易で栄え、自由な気風に満ちた街が、そこに暮らす人々が、こんなにも明るく鮮やかな色彩をキャンバスに紡ぐ画家を育てたのだと、「えらく力が入っていること?」と揶揄されようが、ペトロのおっちゃんは確信するのだ。 (この項続く)。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.336

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